【OEK】岩城宏之メモリアルコンサート - 邦楽器とオーケストラ/ヤング・カンタのサン=サーンス(2017/9/2@石川県立音楽堂コンサートホール)
故・岩城宏之永久名誉音楽監督の功績を記念して、毎年この時期に開かれるコンサート。1曲めは、岩城さんの音大時代の同級生・三木稔氏の作曲による邦楽器とオーケストラの共演で「序の曲」。オケはほぼ伴奏と言った感じで、尺八・二十絃箏・太棹三味線がかなりイレギュラーで技巧的な演奏を組み合わせてきます。岩城さんが好みそうな意欲的なプログラムでした。もっとも、この曲の演奏後、井上さんがお客さんに対して楽器の説明をしつつ邦楽のススメみたいな話をしていましたが、今日のような特殊な演奏を聴いて邦楽器をやろうと思う人はあんまりいないんじゃないかと思います…。
このメモリアルコンサートでは、毎年、北陸ゆかりの音楽家に贈られる「岩城宏之音楽賞」の受賞者がOEKと共演することになっていますが、今年の受賞者はなし、とのこと。かわりに、ともに過去の受賞者であるOEKコンマスのアビゲイル・ヤングさんと、首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんが独奏者としてOEKと共演。サン=サーンスの「ミューズと詩人」が演奏されました。穏やかで美しい旋律が奏でられ、最後は一気に盛り上がるサン=サーンスらしい楽曲でした。
後半はモーツァルトのジュピター。祝祭感があふれるおなじみの曲を井上さんは暗譜で指揮。冒頭はゆったり(じっくり)としたテンポではじまり、流麗な部分と歯切れよさ、力強さといったメリハリをつけ自在にオケを操ります。まさに十八番といった感じの本格的な演奏を堪能しました。
アンコールは、ヴィオラ隊が笛や太鼓に持ち替えての「おもちゃの交響曲」。なお、井上さんはこの曲の作曲はモーツァルトのお父さんと言っていましたが、近年はエトムント・アンゲラーというドイツの作曲家の作品であるというのが定説らしいです。
アンコールをもう1曲。モーツァルトのディヴェルティメントK.136 から第3楽章。サラッとスカッと快速快活な演奏で締め。かえすがえすも井上さんの退任は残念だなあ…
オーケストラ・アンサンブル金沢 岩城宏之メモリアルコンサート
2017年9月2日(土)14:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール指揮:井上道義
■三木稔:序の曲
三橋貴風(尺八)/野坂操壽(二十絃箏)/本條秀慈郎(太棹三味線)■サン=サーンス:ミューズと詩人 op.132
アビゲイル・ヤング(ヴァイオリン)/ルドヴィート・カンタ(チェロ)■モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
(アンコール)
■エンゲラー:おもちゃの交響曲 より 第1楽章
■モーツァルト:ディヴェルティメント K.136 より 第3楽章