【OEK定期266PH】岩城宏之メモリアルコンサート
この日からOEK定期公演の2009-2010シーズンが開幕します。昨年と同様、シーズン最初の定期公演は、岩城宏之音楽賞受賞者による協奏曲と、OEK委嘱作品の世界初演がプログラムに盛り込まれた「岩城宏之メモリアルコンサート」から始まります。指揮はもちろん井上道義音楽監督。
上島淳子さん(Vn)、石黒靖典さん(Va)、大澤明さん(Vc)によるロビーでのプレコンサート(モーツァルトとベートーヴェンの若々しい弦楽三重奏曲)、今年度のOEKコンポーザー・イン・レジデンス、ロジェ・ブトリーさんによるプレトーク(通訳は第2ヴァイオリン首席奏者の江原千絵さん)のあと、岩城宏之音楽賞の授賞式が行われ、いよいよコンサートの始まりです。
1曲目はハイドンの交響曲102番。僕は先日ハイドンの交響曲全集(ドラティ版)を購入しまして、まあ1番から順に聴いていたわけですが、とりあえず今公演のために102番を先に聴いていたところ、とてもチャーミングで気に入りました。ザロモン・セットのひとつでありながら標題もなく有名曲ではありませんが、あなどれない隠れた名曲といえましょう。本日のOEKも、井上マエストロが適度にメリハリをきかせ、マエストロダンスも含め、とても気持ちのいい演奏でした。ただ、この曲の終楽章は華々しくスカッと終わるのでなく、なにかコッソリ終わるような感じです。なので、ハイドン先生にしては多少物足りなさが残るともいえますが、1曲目としてはそれもアリなのかなと思います。
休憩をはさんで2曲目は岩城宏之受賞者の豊永美恵さんによるモーツァルトのクラリネット協奏曲。モーツァルトのクラリネット協奏曲といえば、今年のラ・フォル・ジュルネ金沢におけるポール・メイエさんの名演が記憶に新しいところです。世界の名手と比較するのはさすがに酷というものですが、豊永さんもじゅうぶんステキな演奏を聴かせてくれました。第1楽章こそ丁寧な演奏ながらも少々元気のない感じだったように見受けられましたが。個人的に大好きな第2楽章は緊張もほぐれたのか、伸びやかで美しい音色を聴かせてくれました。第3楽章はさらに躍動感にあふれた熱演で、とても好ましかったです。OEKも懸念のホルンが破綻を起こすこともなく、まとまりのある綺麗な演奏で満足しました。
そして最後はロジェ・ブトリー氏による新曲「アルトおよびソプラノのサクソフォンと管弦楽のための協奏曲」。サクソフォン独奏の須川展也さんが、アルトサックスとソプラノサックスを持ち替えつつ演奏します。緊張と高揚が交互に現れる曲想は、現代音楽の難解さはさほど感じませんが、かといってキャッチーで平易な曲などでは決してなく、なるほど吹奏楽系の奏者が挑戦したくなる曲なのかもしれません。須川さんの熱演はさすがでした。
なお、休憩中に、N響コンサートマスターのマロ様こと篠崎史紀さんをロビーにて発見。なぜ金沢に? と思いましたが、岩城さんと親交があったのだと思い出し、勝手に納得しました。この日9月6日は岩城宏之さんの誕生日。存命なら喜寿を迎えていたとのこと。OEKの大恩人、岩城さんに思いを馳せる日曜の午後でした。
上島淳子さん(Vn)、石黒靖典さん(Va)、大澤明さん(Vc)によるロビーでのプレコンサート(モーツァルトとベートーヴェンの若々しい弦楽三重奏曲)、今年度のOEKコンポーザー・イン・レジデンス、ロジェ・ブトリーさんによるプレトーク(通訳は第2ヴァイオリン首席奏者の江原千絵さん)のあと、岩城宏之音楽賞の授賞式が行われ、いよいよコンサートの始まりです。
1曲目はハイドンの交響曲102番。僕は先日ハイドンの交響曲全集(ドラティ版)を購入しまして、まあ1番から順に聴いていたわけですが、とりあえず今公演のために102番を先に聴いていたところ、とてもチャーミングで気に入りました。ザロモン・セットのひとつでありながら標題もなく有名曲ではありませんが、あなどれない隠れた名曲といえましょう。本日のOEKも、井上マエストロが適度にメリハリをきかせ、マエストロダンスも含め、とても気持ちのいい演奏でした。ただ、この曲の終楽章は華々しくスカッと終わるのでなく、なにかコッソリ終わるような感じです。なので、ハイドン先生にしては多少物足りなさが残るともいえますが、1曲目としてはそれもアリなのかなと思います。
休憩をはさんで2曲目は岩城宏之受賞者の豊永美恵さんによるモーツァルトのクラリネット協奏曲。モーツァルトのクラリネット協奏曲といえば、今年のラ・フォル・ジュルネ金沢におけるポール・メイエさんの名演が記憶に新しいところです。世界の名手と比較するのはさすがに酷というものですが、豊永さんもじゅうぶんステキな演奏を聴かせてくれました。第1楽章こそ丁寧な演奏ながらも少々元気のない感じだったように見受けられましたが。個人的に大好きな第2楽章は緊張もほぐれたのか、伸びやかで美しい音色を聴かせてくれました。第3楽章はさらに躍動感にあふれた熱演で、とても好ましかったです。OEKも懸念のホルンが破綻を起こすこともなく、まとまりのある綺麗な演奏で満足しました。
そして最後はロジェ・ブトリー氏による新曲「アルトおよびソプラノのサクソフォンと管弦楽のための協奏曲」。サクソフォン独奏の須川展也さんが、アルトサックスとソプラノサックスを持ち替えつつ演奏します。緊張と高揚が交互に現れる曲想は、現代音楽の難解さはさほど感じませんが、かといってキャッチーで平易な曲などでは決してなく、なるほど吹奏楽系の奏者が挑戦したくなる曲なのかもしれません。須川さんの熱演はさすがでした。
なお、休憩中に、N響コンサートマスターのマロ様こと篠崎史紀さんをロビーにて発見。なぜ金沢に? と思いましたが、岩城さんと親交があったのだと思い出し、勝手に納得しました。この日9月6日は岩城宏之さんの誕生日。存命なら喜寿を迎えていたとのこと。OEKの大恩人、岩城さんに思いを馳せる日曜の午後でした。
オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第266回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 266th Subscription Concert / Philharmonie-serie
日時:2009年9月6日(日)15:00開演 Sunday, 6 September 2009 at 15:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
コンサートマスター:サイモン・ブレンディス Concertmaster: Simon Blendis
■フランツ・ヨーゼフ・ハイドン F. J. Haydn (1732-1809)
交響曲 第102番 変ロ長調 Hob. I-102
Symphony No. 102 in B-flat major, Hob. I-102
---休憩---
■ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト W. A. Mozart (1756-1791)
クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622
Clarinet Concerto in A major, K. 622
~クラリネット:豊永美恵《第3回岩城宏之音楽賞受賞者》 Clarinet: Yoshie Toyonaga
■ロジェ・ブトリー R. Boutry (1932-)
アルトおよびソプラノのサクソフォンと管弦楽のための協奏曲
(オーケストラ・アンサンブル金沢2009年委嘱作品・世界初演)
Concerto for Alto & Soprano Saxophones (one performer) & Symphony Orchestra
(Commissioned by OEK in 2009, World Premiere)
~サクソフォン:須川展也 Saxophone: Nobuya Sugawa