追悼・平尾昌晃さん…本ブログ掲載全9曲まとめ+おまけ1編
歌謡界の巨頭、作曲家の平尾昌晃さんが亡くなりました。謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。歌謡曲を愛好する本ブログでは、内輪で不定期開催している「昭和歌謡レコード鑑賞会」のセットリストを紹介したりしていますが、その中でも平尾昌晃作品がたびたび登場します。
そこで、本ブログで「平尾昌晃」という名前が登場した記事を探してみたところ、9つの記事がヒットしました。それらは見事に楽曲の重複がなかったので、その9曲を紹介したいと思います。国民的ヒット曲から知られざる名曲まで、結果的にけっこういいセレクトになっていると思います。
「草原の輝き」アグネス・チャン
作詞:安井かずみ/作曲:平尾昌晃/編曲:馬飼野俊一(1973年7月25日)
この回の鑑賞会では、ゲストのNさんがアグネス・チャンのファンだったということでアグネスコーナーを設け5曲続けて聴きました。この曲もその中の1曲。まさに彼女の不動の代表曲でしょう。
しかしこの5曲の作曲者が、森田公一(ひなげしの花)、井上忠夫(恋のシーソー・ゲーム)、平尾昌晃(草原の輝き)、加藤和彦(妖精の詩)、吉田拓郎(アゲイン)と、全員違うヒットメーカーだというのも面白いです。
「カナダからの手紙」平尾昌晃・畑中葉子
作詞:橋本淳/作曲:平尾昌晃/編曲:森岡賢一郎(1978年1月10日)
20111124 002カナダからの手紙
quackey.hatenablog.com
どういった経緯でこの曲をかけたのか、今となっては記憶は定かではありませんが…たぶん、長丁場のこの回、中盤に差し掛かり楽曲それ自体にパワーのある曲をかけようということで、松村和子「帰ってこいよ」の次にかけたような気もしますが、いずれにせよ、この次に畑中葉子「後ろから前から」をかけて、それならと、引き続きエロ歌謡コーナーに突入していったのでした笑。
ともあれ、私が平尾昌晃という人を認識したのはこのデュエットが最初でした。たしか、当時シングルレコードを買ったと思いますし、この「夜のヒットスタジオ」の動画にもあるように平尾さんがかなり後方の立ち位置にいたことだとか、このふたりはどういう関係なんだろうと子供ごころに思ってたこととか、なんだかとても思い出深い曲です。
「想春賦」千葉まなみ
作詞:なかにし礼/作曲:平尾昌晃/編曲:竜崎孝路(1980年1月20日)
歌手の秋元あきこさんをお迎えして開催された第8回。これは主宰のO先輩が薦めてくれた曲ですが、平尾昌晃作品の中でも知られざる名曲といえるのではないでしょうか。もっとも、平尾さんのメロディというより、なかにし礼のセクハラ趣味っぽい歌詞や、そしてなにより千葉まなみの歌唱力が印象に残りますね(すみません)。
なお、千葉まなみは1980年デビュー組。同期が松田聖子、河合奈保子、柏原芳恵、三原順子、浜田朱里、岩崎良美、松村和子ら錚々たる豊作の年だったため埋もれてしまった感があります。ちなみにこの回で「想春賦」の次にかけたのが「デジタル・ナイト・ララバイ」でしたが、唄っている石坂智子(金沢市出身)も1980年組だったりします。
「よこはま・たそがれ」五木ひろし
作詞:山口洋子/作曲・編曲:平尾昌晃(1971年3月1日)
これぞ平尾さんの代表曲ともいえる作品。ただしこの回の鑑賞会では、この曲を作曲ではなく「作詞の妙」の例として取り上げています(すみません)。AメロBメロまでが「よこはま」「たそがれ」「ホテルの小部屋」「くちづけ」「残り香」「煙草のけむり」「ブルース」「口笛」「女の涙」と、名詞句の羅列だけで一夜の物語を写実するという大胆な作詞術に注目してみたのでした。
もちろん、だからこそ、淡々と呟くようなAメロBメロと、「あの人は行って行ってしまった…!」と嘆き高ぶるサビのコントラストを際立たせた平尾さんの作曲術もまた効果的だったといえます。
なお、この曲は平尾さんが作曲だけでなく編曲も手がけていますが、それはなかなかレアなケースなように思います。
「愛がはじまる時」風吹ジュン
作詞:有馬三恵子/作曲:平尾昌晃/編曲:馬飼野俊一(1974年5月1日)
主宰のO先輩が私向けに薦めてくれた1曲(「かっきーのツボ」コーナー笑)。風吹ジュンさんは現在もっぱら女優として活躍していますが、デビュー当時は歌手だったのですね。しかも、なんというか、あまりお歌がお上手ではない笑。そういう意味で、いまとなってはちょっとしたレア曲であります。
ただ、その舌足らずで不安定な歌い方だからこそ、「愛がはじまる時」という曲のコンセプト…純粋さにふさわしいともいえ、平尾さんの幸福感あふれる曲調がその雰囲気をしっかりと支えているように思います。
「グッド・バイ・マイ・ラブ」アン・ルイス
作詞:なかにし礼/作曲:平尾昌晃/編曲:竜崎孝路(1974年4月5日)
第12回。この回は鑑賞会の様子をUstreamで配信しており、見ていた方からtwitterでリクエストをいただいたのでした。その中の1曲がこれ。聴いたことはあるものの、平尾さんの曲だとは知りませんでした。今言われてみれば、たしかにメランコリック風味な平尾さんのメロディだなあと思えます。
「夜空」五木ひろし
作詞:山口洋子/作曲:平尾昌晃/編曲:竜崎孝路(1973年10月20日)
第13回。この回は、鑑賞会の仕掛け人の友人K氏によるリクエスト特集。K氏が思い入れの強い歴代レコード大賞曲を続けて聴くという趣向があり、その中の1曲でありました。「夜空」は1973年のレコード大賞受賞曲。先ほどの「よこはま・たそがれ」と同じく作詞・山口洋子とのコンビです。
なお、この曲は、O先輩によると、歌謡曲初のシンセサイザー使用曲とのことですが、残念ながら「よこはま・たそがれ」とは異なり、編曲は平尾さんではなく盟友・竜崎孝路さんであります。
「やさしさ紙芝居」水谷豊
作詞:松本隆/作曲:平尾昌晃/編曲:石川鷹彦(1980年7月21日)
3年前、作詞家の松本隆さんの誕生日に合わせて松本隆さんの記事を書いたものです。このときは厳選10曲を紹介したのですが、じつはこの曲はその10曲には入っておらず(すみません)、次点曲の1つとして紹介しています。
こちらはドラマ「熱中時代」第2シリーズの主題歌でした。なお、「熱中時代」シリーズ全体の音楽も担当しており、第1シーズン主題歌の「ぼくの先生はフィーバー」(原田潤)、「熱中時代・刑事編」主題歌の「カリフォルニア・コネクション」も平尾さんの作曲でした。
「ぶっちぎりの青春」ささきいさお
作詞:茜まさお/作曲:平尾昌晃/編曲:飛沢宏
14夏 市立川口 「ぶっちぎりの青春(川口オート)」→「中日チャンステーマ3」 140714
つい先日…1ヶ月ほど前の記事より。川口オートのテーマソングなのですが、ラジオで川口の話題になったときに思い出して思わず記事化してしまいました。実はこの「ぶっちぎりの青春」をもとにした中日ドラゴンズのチャンステーマが以前存在し、私はそちらのほうを先に知ってりおりました。原曲は後に知ったという次第。
平尾さんはオートレースの大ファンでもあり、川口オートには年間シートまで持ってたそうですね。
以上、本ブログに掲載実績のある平尾昌晃作品全9曲のご紹介でした。
あと…これをまとめるにあたってYouTubeで平尾作品を聴き漁っていたところ、これら9曲のほかにもグッときた楽曲陣がありました。それがこちら。
平尾さんは「熱中時代」より前から、「必殺シリーズ」のドラマ音楽を担当しており(大半は竜崎孝路さんが実作したという話も聞きますが)、特に第1作「必殺仕掛人」のエンディング主題歌「荒野の果てに」(山下雄三)は、以後のシリーズ全体で使われることになる印象的なフレーズを残してくれました。
さらに、シリーズ6作目「必殺仕置屋稼業」のエンディング「哀愁」を唄った葵三音子が「荒野の果てに」をカヴァーしたバージョンを発見。けっこう良い感じなのでこちらも。
「必殺!」ファンとしては、これら心シビれる音楽をつくってくれてありがとうとあらためて申し上げたいです。
合掌。