かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

ホルテンさんのはじめての冒険

ホルテンさんはパイプをこよなく愛する勤続40年のきまじめな電車の運転手。ところが定年退職の日に人生初の遅刻をしてしまい、そこから今までの地味な生活からは思いもよらないような展開に出くわしていきます。

といっても「はじめての冒険」という字面から連想されるようなドタバタコメディではありません。淡々としつつもなにか歯車がずれていくような感じで、どちらかといえばシュールな雰囲気も漂います。妙な出来事が起こっても、ホルテンさんは最初に少々取り乱すものの、その後は粛々とその事態を受け入れていきます。なので、随所にくすくす笑いは起こりますが、全体的に展開がどこか落ち着いているのです。眠くなってしまう人もいるかもしれませんが、この枯れ具合が当作品の味となっています。

ホルテンさんが出会った「人生はいつも手遅れだ」という言葉。これは決してネガティブなものではなく、「だからこそいつでも始めることができる」というメッセージでした。ホルテンさんはずっと心に引っかかっていた人生の忘れ物をやり直します。そうして迎えたエンディング。ホルテンさんが本当の意味で新たな人生を歩み始めました。その表情は極上です。

(2009/06/11@シネモンド)

★★★★