かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

西本智実「ジーズニ」@石川県立音楽堂

チャイコフスキー未完成交響曲「ジーズニ」日本初演ツアー
金沢公演:石川県立音楽堂コンサートホール

指揮:西本智実
演奏:チャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団

チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調 作品64
チャイコフスキー 未完成交響曲「ジーズニ」変ホ長調

(アンコール)
 チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ

チャイコフスキー幻の交響曲「ジーズニ」。
ロシア語で人生、生涯といった意味をもつ。
第6番「悲愴」の前に手掛けられ未完に終わっていたが、
思いのほか希望に満ちたものとして今、私たちの前に示された。
第1楽章は軽快、第2楽章は優雅、第3楽章は華麗。
まことに幸福な気分。

もっとも、個人的なことをいえば、
前半の第5番ですでに充分感動していたのだった。
第5番はかなりゆったりとしたテンポで重厚に始まり、
その美しい旋律は変幻自在に表情を変えていく。
ぐーっと高揚した後のふっと浮き上がるような弦の響き。
このふんわりとした心地よさに何度鳥肌が立ったことか。

そしてやはり力説すべきは、西本さんの美しさ。

わたしの座席は1階右ブロックの前から2列目の一番左。
西本さんが舞台下手から入場するときは正面から見える。
演奏中は西本さんの一挙手一投足が間近で見える。
奏者に目で合図する横顔。
機敏に譜面をめくる手の動き。
ときおり髪をかきあげる仕草。
意外と小柄な体を指揮台で伸び上がらせ、
強固な意志で楽団を導いていた。

せっかく舞台の近くにいながら、
ほとんど西本さんしか見ていなかったような気がする(苦笑)。

アンコールの曲にはびびった。
当日会場に向かうマイカーでCDをかけたとき、
たまたまこの「アンダンテ・カンタービレ」が
特に意図したわけでもなく流れていたのだった。
これを奇跡と呼ばずして何と呼ぼうか!

柔らかく美しい調べのアンコール曲が終わった。
至福なる余韻。
会場の大拍手は長く止むことがなかった。