かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

金澤攝「ピアノ・エチュード大観」ー 1830年代のエチュード史 ー 第2景 フレデリック・ショパン/ジギスモント・タールベルク(2010/10/01)

先日の第1景(フェルディナント・ヒラー)から始まった金澤攝さんのピアノ独奏シリーズ「ピアノ・エチュード大観」。今夜取り上げる作曲家はショパンとタールベルクです(タールベルクって知らないなあ)。

というわけで、今夜も演奏がはじまったのですが…うーむ、ちょっとこれはひどいなあ…金澤攝さんのピアノ。早いパッセージに指がまったくついていけてません。あと、ときおり違和感の強い音が聴こえてきたり。曲中でたまに不自然な間が生じるのは、別にタメを作っているわけではなく、単に指が止まっただけだと思われます。前回のヒラーの時もそうした傾向は少々見られたものの、今回はとりわけひどい。前回、そういったコンクール的な技巧というより、知られざる作曲家を世に紹介するのだという気迫が感じられ、それでいいのだ…みたいなことを書きましたが、今回の演奏では、そういうことを言える前提すら欠けると申しましょうか…

前半のショパン。「知られざる作曲家を世に紹介する」までもないでしょうに、これでは演奏の出来だけに注意が集まってしまいます。そうなると、金澤攝さんの技巧では満足なものは到底期待できない…。あと、第3曲「別れの曲」は、テンポがものすごくはやいです。プログラム解説には「これまでとは違ったテンポ感や聴き慣れない音がしばしば現れるが、初版譜の記載に従ったものであることを予め申し述べておきたい。」と書かれてあるので、そういうことなのかな…とも思いましたが、さにあらず。プログラムの記載によればこの曲は「Lento ma non troppo」(「遅く、しかし、はなはだしくなく 」)であるのに、少なくとも「遅い」という領域のテンポでは断じてありませんでした。これでは「初版譜の記載に従った」とはまるで言えませんよね。

後半のタールベルク。知られざる作曲家によるエチュードが取り上げられていましたが、今度は演奏のあまりの拙さが気になってしまうのです。第4曲目くらいかな。高音部の音の外しがとても気持ち悪い。どうにも居心地が悪かったです。これでは、前回のヒラーの時のように演奏は度外視して曲自体の面白みを知る、という楽しみ方すらできますまい。

ああ、久々にダメーなコンサートにあたりましたなあ。次回11/19の「第3景」は、当日OEKの定期公演があるのでもともと行けないのですが、その次、12/21の「第4景」はどうしようか思案中。…おそらく、行かないかなあ。その日はドイツ・エッセン市立歌劇場バレエ団とOEKによるバレエ「くるみ割り人形」公演もあるので、そちらのほうに行こうかなあと考えています。というか、このシリーズ自体、今後もう行かないかもしれません(最終回のリストはどんな惨状になるのか逆に聴いてみたい気もしますが)。

耳直しにアシュケナージによるショパンエチュードを。
B001RVITOUショパン:練習曲集(全27曲)
アシュケナージ(ヴラディーミル)
ユニバーサルクラシック 2009-05-20

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