かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期282M】クリストプロス指揮南西ドイツフィル&庄司紗矢香(2010/06/16)

今回のOEK定期公演、管弦楽はOEKではなく、南西ドイツ・フィルハーモニー交響楽団。井上監督の意向なのか、OEKの労働事情の関係なのかよくわかりませんが、OEKの出ないOEK定期公演なんて、そんなことがあるのですね。ただ、南西ドイツフィルのエグゼクティブ・ディレクター、フロリアン・リイムさんは、以前OEKのチェロ奏者(その後OEKヴァイス・ゼネラル・マネージャー)でした。そういう関係で、このオケの日本公演のひとつとして金沢公演が実現したという面もあるのでしょう。指揮はヴァシリス・クリストプーロスさん。彼の指揮は今年2月にOEK定期公演石川県学生オケとOEKの合同演奏で聴いたばかりですが、いずれもいい印象を持っているので楽しみです。

1曲目はモーツァルトの「パリ」。冒頭の華やかな部分こそ少々ばたついたように聴こえましたが(ここが好きなんだけどなー)、その後は安定し、じゅうぶん満足できる演奏でした。少々色気には欠ける気がしますが、相当きっちりした楽団なのだなあと思います。バロックティンパニなど古楽器を使用し、弦はノン・ヴィブラートの対向配置。ピリオド・アプローチを意識した奏法で、一音一音の輪郭がクリアです。かといってシャープに過ぎるわけではなく、誠実で丁寧な印象。

さて次はお待ちかね、庄司紗矢香さんの登場。なんといっても今回の目玉ですね! 僕にとっては、2007年OEK定期初登場でのチャイコフスキーLFJK2008でのベートーヴェン(ステージ席!)に続いて、3度目の庄司さんのコンチェルトです。今回はプロコフィエフ。個人的にはあまり聴きなれない作曲家なのですが…。

第1楽章。冒頭の独奏からやはり心を奪われてしまいました。赤のドレスで登場した庄司さんは、不安げな主題を正面から見据えるように…しかし肩に力が入りすぎることなく、哀愁と艶に満ちた音色を響かせました。決して力むことなく、それでいてしっかりとした存在感。いやあ、さすが紗矢香嬢! 心震えっぱなしです。第2楽章は一転、甘美にして優しげ。第1楽章の終わりからピツィカートが実に楽しい。そしてやはり庄司さんといえば、エッジ鋭い高音の泣きたくなるような美しさ…! 第3楽章は圧巻!! 民俗舞踊のリズムが繰り広げられる中、紗矢香嬢の演奏は凄みを増していきます。不動の姿勢で鬼気迫る緊迫感。ドキドキが止まらない…!!

うひゃあ庄司さんさすがです。また、この曲自体すごくエキサイティングで素晴らしい…プロコさん、いままであまり聴いてなくてスミマセンでした。アンコールはバッハ無伴奏パルティータ第1番よりブーレ。果てしなく甘く美しい響き。こういう一面もあるんですよねえ。これまた感動…。

休憩。というか、もうすでに充分満足。本日の目的は達成したといってもいいんですが(笑)。別の席で鑑賞していたCamillaさんに遭遇。同様に満足した様子でしたが、後半のドヴォ8も注目だと進言されました。ほうほう。。。

ドヴォルザーク交響曲第8番。これもほぼ初聴。この音楽会の前に流し気味に聴いた程度です(新世界のカップリングでたまたま持っていた)。庄司さんが好きすぎてこの曲にはあまり気が回っていなかったのが実情なんですが、まあドヴォルザーク自体そもそもあまり詳しくないんですよ。思い起こせば音楽会に行き始めて2回目のときにドヴォルザークのチェロ協奏曲が演奏され、「恥ずかしながら初めて聴いたのだけど、素晴らしい!これ、すっごい好みだ。」とか書いてた。今思うと相当恥ずかしいですね。なお、この曲からOEKのメンバーが各パートに何人かずつ加わっています。これでいちおうOEKの定期公演という体裁にはなったかな(苦笑)。

ともあれ、ドヴォ8です……これは(・∀・)イイ!!
ああ、また軽率に言ってしまった?でも心からホントにそう思いました。南西ドイツフィルの演奏はさきほどのとおり実直ですが、この曲ではくわえて情感たっぷり。冒頭のチェロ合奏からすでにドヴォルザークボヘミアンな叙情性がしみじみと伝わってきます。そして躍動感。みなぎる生命力。チェコの牧歌的な風景が目にうかぶような…。そもそもこのドヴォ8という曲自体が素晴らしいというべきなのかもしれないけれど、この弦の洪水を若きマエストロは華麗にドライヴさせます。第3楽章のワルツとか美しくて泣きそうですよ。第4楽章。トランペットの高らかなファンファーレ…チェロによる美しい主題…フルートの歌謡…コガネムシは金持ちだ(と聴こえるトルコ風の旋律)…なんと表情豊かで素敵な楽曲…!心踊るとはまさにこのこと!

アンコールはスラヴ舞曲第8番。これも燃えました!大満足です!庄司さんさえ聴ければそれでいいとか言ってスミマセンでした!
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終演後、Camillaさんが満面の笑みを浮かべているのをみて、やはり素晴らしいコンサートだったんだと実感。ホントは駆け寄ってハイタッチしたかったですけど、それは他の客の手前自重しました(苦笑)。さらに階上で鑑賞していたIさんも合流。いっしょに食事をしながら、このステキな音楽会の余韻を楽しんだのでした。

オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第282回定期公演マイスター・シリーズ
The 282nd Subscription Concert / Meister-serie
 
日時:2010年6月16日(水)19:00開演 Wednesday, 16 June 2010 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:ヴァシリス・クリストプーロス Conductor: Vassilis Christopoulos
ヴァイオリン:庄司紗矢香 Violin: Sayaka Shoji
管弦楽:南西ドイツ・フィルハーモニー交響楽団 Orchestra: Southwest German Philharmonic
コンサートマスター:谷野響子 Concertmaster: Kyoko Tanino

モーツァルト W.A.Morart (1756-1791)
 交響曲 第31番 ニ長調 K.297「パリ」
 Symphony No.31 in D major, K.297, "Paris"

プロコフィエフ S.Prokofiev (1891-1953)
 ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
 Violin Concerto No.2 in G minor, op.63
 ~ヴァイオリン:庄司紗矢香 Violin: Sayaka Shoji

(アンコール Encore)
J.S.バッハ J.S.Bach
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002 より ブーレ
 Partitas for solo violin No.1 in B minor, BWV 1002 - Bourree
 ~ヴァイオリン:庄司紗矢香 Violin: Sayaka Shoji

--- 休憩 Intermission ---

ドヴォルザーク A.Dvo������k (1797-1828)
 交響曲 第8番 ト長調 作品88
 Symphony No.8 in G major, op.88

(アンコール Encore)
ドヴォルザーク A.Dvo������k (1797-1828)
 スラヴ舞曲 第8番 ト短調 作品46-8
 Slavonic Dances No.8 in G minor, op.46-8