【OEK定期281PH】井上道義指揮OEK&PAC合同公演「グランド・キャニオン」(2010/05/25)
今回のOEK定期公演は、兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)を招いての合同演奏会。ぼく個人はOEKの合同公演といえば、2006年11月、石川県立音楽堂5周年記念にて大阪センチュリー交響楽団を招いたショスタコーヴィチ「森の歌」、2008年6月、群響とのオールチャイコフスキー、2008年9月、ギドン・クレーメルさん率いるクレメラータ・バルティカを招いてのOEK設立20周年記念「第九」、およびシベリウス&グリーグ。2009年11月、新日本フィルとのマーラー第3番などを聴かせてもらいましたが、ほとんどがふだん室内オケのOEKでは聴けないような大曲がずらり。しかも、そういえば指揮は毎回、井上道義さん! そして今回も井上さんの指揮により、壮大な組曲「グランド・キャニオン」が合同演奏されるのであります!
前半は各オケによるそれぞれの演奏。まずはOEKが得意のモーツァルトから「プラハ」。第1楽章の序奏をゆったりしたテンポでたっぷりと聴かせたあと、主題部に流れ込むと一転、快速。コンマスのヤングさんは気持ちよく体を揺らしながら、その推進力と美しい響きでオケをぐいぐい引っ張っていきます。井上さんの踊る指揮も健在。これですよ!これこれ! 基本はすっきりと引き締まった響きですが、そこにはきちんと表情がある。プラスときおり暗く刺すようなキレ味や、心地よいセンチメンタリズムが交差する。井上さんが振るプラハは初めて聴くはずなのですが、すでに何度も聴いたことがあるような錯覚に陥ります。ぼくにとってモーツァルトの交響曲といえば、もはや井上さん×ヤングさんのコンビの演奏がデフォルトになっているなあ。
次はPACのみなさんが登場。OEKより弦が1プルトずつ多い感じ。そしてOEKより平均年齢は明らかに若そう(笑)。演奏曲はベートーヴェンの8番交響曲。緩徐楽章のない若々しい快活な曲で、まさにPACにふさわしい。華麗な冒頭もばっちり決まり、以降、元気のいい演奏が繰り広げられました。大好きな曲なので、心躍るいい演奏をしてくれて嬉しかったです。
休憩を挟んで後半はいよいよ「グランド・キャニオン」。「山道を行く」くらいは知っているけど他はたぶん知らないし、全曲通して聴くというのは当然初めてです。OEKとPACの楽員さんたちが続々と入場し、ステージ上は多くの打楽器とともに両オケのメンバーで埋め尽くされました。第1ヴァイオリンなどは18人(たぶん)もの大所帯。そして颯爽と井上さんが登場。
第1曲「日の出」。ティンパニと弦の弱音から、次第にクレッシェンドとともに日が昇り、輝かしくゴージャスな朝を迎えます。この大音響のド迫力。一発で目が覚めるみたいな(笑)。第2曲「赤い砂漠」はどことなく神秘的。そして第3曲「山道を行く」。ヤングさんの美しいヴァイオリン独奏に続いて、ロバがポッカポッカと歩く例の場面。ぼくの座席からはステージ奥にある打楽器セクションが見づらいのですが、会場上方から鑑賞していたCamillaさんによれば、4つの半球状の楽器をまさに四本足に見立てて、ロバが歩くが如く交互に打ち鳴らしていたのだそうです(ココナッツシェルという楽器とのこと)。牧歌的な雰囲気が効果的に現れていましたね。心地よい。第4曲「日没」はボリューム満点。雄大な自然!これがアメリカだー! 第5曲は「豪雨」。日没の余韻からやがて雲行きが怪しくなり、ヒュルヒュルと風が巻き起こります。風の音に使われた楽器はその名も「ウィンドマシーン」!(そのまんま!) これも例によってぼくからは見えず、Camillaさんによれば、円筒状の器械のハンドルをぐるぐる回し、摩擦音を発しているとのことでした。さらにステージ上手後方にあった縦長のスクリーン状の謎の設備。照明が一瞬暗くなったとき、そのスクリーンに雷光がピカッと走りました。これが「ライトニングマシーン」!(そのまんま!…って、コレは楽器なのでしょうか) ともあれ、ケレンたっぷりな第5曲が終了。ステージ釘付け、まるで映画でも観ているかのような、色鮮やかで目でも楽しめる夢のような演奏でした。
盛大な拍手にこたえて、井上さんがロサンジェルスエンジェルスの赤いキャップをかぶって、片手には赤いラベルのコカコーラを持って再登場(笑)。うふふ、アメリカですね! で、井上さんのMCタイムです。「この金沢公演の前に兵庫で何回か同じ公演をしたが、いずれも満席。なのに金沢は(LFJ疲れもあるかもしれないが)空席があって残念。ぜひ会員になって、あるいは友達を誘って、いっぱいにしてください」とアピール。たしかに今回の公演はじゅうぶん聴く(観る)価値のある音楽会だったと思いますねー。
そしてアンコールです。「星条旗よ永遠なれ」! 燕尾を脱いだ井上さんのシャツは、なんと背中にミッキーマウス! 袖は水色の水玉! 井上さん…いやミッキーの本領発揮です! 今日は最後まで徹底的にアメリカーンな感じでいくのですね。お客さんも手拍子でノリノリ。するとやがてミッキーは指揮台の下から長い棒をとりだし、それをくるくると解くと、なんとホンモノの星条旗が! 盛大な拍手の中、星条旗を振り回しながら狭いステージを井上ミッキーが練り歩きます。なんともシアワセな、底抜けに楽しい音楽会でした。いやあ、こういうコンサートこそ、初心者やお子さんに見せてあげたいですねえー!!
前半は各オケによるそれぞれの演奏。まずはOEKが得意のモーツァルトから「プラハ」。第1楽章の序奏をゆったりしたテンポでたっぷりと聴かせたあと、主題部に流れ込むと一転、快速。コンマスのヤングさんは気持ちよく体を揺らしながら、その推進力と美しい響きでオケをぐいぐい引っ張っていきます。井上さんの踊る指揮も健在。これですよ!これこれ! 基本はすっきりと引き締まった響きですが、そこにはきちんと表情がある。プラスときおり暗く刺すようなキレ味や、心地よいセンチメンタリズムが交差する。井上さんが振るプラハは初めて聴くはずなのですが、すでに何度も聴いたことがあるような錯覚に陥ります。ぼくにとってモーツァルトの交響曲といえば、もはや井上さん×ヤングさんのコンビの演奏がデフォルトになっているなあ。
次はPACのみなさんが登場。OEKより弦が1プルトずつ多い感じ。そしてOEKより平均年齢は明らかに若そう(笑)。演奏曲はベートーヴェンの8番交響曲。緩徐楽章のない若々しい快活な曲で、まさにPACにふさわしい。華麗な冒頭もばっちり決まり、以降、元気のいい演奏が繰り広げられました。大好きな曲なので、心躍るいい演奏をしてくれて嬉しかったです。
休憩を挟んで後半はいよいよ「グランド・キャニオン」。「山道を行く」くらいは知っているけど他はたぶん知らないし、全曲通して聴くというのは当然初めてです。OEKとPACの楽員さんたちが続々と入場し、ステージ上は多くの打楽器とともに両オケのメンバーで埋め尽くされました。第1ヴァイオリンなどは18人(たぶん)もの大所帯。そして颯爽と井上さんが登場。
第1曲「日の出」。ティンパニと弦の弱音から、次第にクレッシェンドとともに日が昇り、輝かしくゴージャスな朝を迎えます。この大音響のド迫力。一発で目が覚めるみたいな(笑)。第2曲「赤い砂漠」はどことなく神秘的。そして第3曲「山道を行く」。ヤングさんの美しいヴァイオリン独奏に続いて、ロバがポッカポッカと歩く例の場面。ぼくの座席からはステージ奥にある打楽器セクションが見づらいのですが、会場上方から鑑賞していたCamillaさんによれば、4つの半球状の楽器をまさに四本足に見立てて、ロバが歩くが如く交互に打ち鳴らしていたのだそうです(ココナッツシェルという楽器とのこと)。牧歌的な雰囲気が効果的に現れていましたね。心地よい。第4曲「日没」はボリューム満点。雄大な自然!これがアメリカだー! 第5曲は「豪雨」。日没の余韻からやがて雲行きが怪しくなり、ヒュルヒュルと風が巻き起こります。風の音に使われた楽器はその名も「ウィンドマシーン」!(そのまんま!) これも例によってぼくからは見えず、Camillaさんによれば、円筒状の器械のハンドルをぐるぐる回し、摩擦音を発しているとのことでした。さらにステージ上手後方にあった縦長のスクリーン状の謎の設備。照明が一瞬暗くなったとき、そのスクリーンに雷光がピカッと走りました。これが「ライトニングマシーン」!(そのまんま!…って、コレは楽器なのでしょうか) ともあれ、ケレンたっぷりな第5曲が終了。ステージ釘付け、まるで映画でも観ているかのような、色鮮やかで目でも楽しめる夢のような演奏でした。
盛大な拍手にこたえて、井上さんがロサンジェルスエンジェルスの赤いキャップをかぶって、片手には赤いラベルのコカコーラを持って再登場(笑)。うふふ、アメリカですね! で、井上さんのMCタイムです。「この金沢公演の前に兵庫で何回か同じ公演をしたが、いずれも満席。なのに金沢は(LFJ疲れもあるかもしれないが)空席があって残念。ぜひ会員になって、あるいは友達を誘って、いっぱいにしてください」とアピール。たしかに今回の公演はじゅうぶん聴く(観る)価値のある音楽会だったと思いますねー。
そしてアンコールです。「星条旗よ永遠なれ」! 燕尾を脱いだ井上さんのシャツは、なんと背中にミッキーマウス! 袖は水色の水玉! 井上さん…いやミッキーの本領発揮です! 今日は最後まで徹底的にアメリカーンな感じでいくのですね。お客さんも手拍子でノリノリ。するとやがてミッキーは指揮台の下から長い棒をとりだし、それをくるくると解くと、なんとホンモノの星条旗が! 盛大な拍手の中、星条旗を振り回しながら狭いステージを井上ミッキーが練り歩きます。なんともシアワセな、底抜けに楽しい音楽会でした。いやあ、こういうコンサートこそ、初心者やお子さんに見せてあげたいですねえー!!
オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第281回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 281st Subscription Concert / Philharmonie-serie
日時:2010年5月25日(火)19:00開演 Tuesday, 25 May 2010 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
共演:兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)
Guest Orchestra: Hyogo Performing Arts Center Orchestra(PAC)
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング(OEK)、岩谷祐之(PAC)
Concertmaster: Abigail Young (OEK), Sukeyuki Iwatani (PAC)
《オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa》
■モーツァルト W.A.Mozart (1756-1791)
交響曲 第38番 ニ短調 K.504 「プラハ」
Symphony No.38 D minor K.504, "Prague"
《兵庫芸術文化センター管弦楽団 Hyogo Performing Arts Center Orchestra》
■ベートーヴェン L.v.Beethoven (1770-1827)
交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
Symphony No.9 F major Op.93
-- 休憩 Intermission ---
《OEK & PAC》
■グローフェ F.Grofe (1892-1972)
組曲「グランド・キャニオン」
Grand Canyon Suite
1.日の出 Sunrise
2.赤い砂漠 Painted Desert
3.山道を行く On the Trail
4.日没 Sunset
5.豪雨 Cloudburst
(アンコール Encore)
■スーザ J.P.Sousa (1854-1932)
星条旗よ永遠なれ
Stars and Stripes Forever