かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

のだめカンタービレ 最終楽章 後編

テレビ連続ドラマ、ドラマスペシャルを経て、「最終楽章 前編」が劇場公開されたのが昨年末。そしていよいよ今回の「最終楽章 後編」で「のだめカンタービレ」も完結編を迎えました。原作の残りの部分(そうとう多い)をどうやって2時間で収束させるのか気になっていましたが、いままでの作品同様、時間的制約のあるなか、登場人物(千秋父など)やエピソードを大胆にカットしつつ、今回も破綻なくとてもうまくまとめられていました。

前作「最終楽章 前編」では、マルレ・オケの常任指揮者に正式就任した千秋が、指揮ばかりでなくバッハのピアノ協奏曲の弾き振りも見事に成功。のだめは千秋との圧倒的な力量の差に愕然とし、他方、千秋はさらに高みを目指すべく、集中して勉強できる環境を求めてのだめと離れて暮らす決心をします。

そして後編。千秋はますます自らの音楽を高めていきたい。そしてのだめにも音楽家として音楽の高みという場所に連れていってやりたい。他方、のだめは…? 千秋との差を感じての絶望、焦り。あるいは千秋とのコンチェルトを実現させ、音楽家としての歩みをはやく終わらせたがっている…? 音楽家としての欲求とそれにともなう試練に、互いの恋模様が絡まり、物語は進んでいきます。清良と峰、黒木君とターニャも同じく音楽への試練と相手への想いの間で苦悩しますが、彼らはうまく相乗効果が働き、互いに音楽も恋も高め合うことができています。そしてラスト。原作とは少々趣きが異なりますが、音楽と恋の狭間に悩んだ千秋とのだめに、実に清々しい結末が用意されていました。

人はこの「後編」を恋の物語といいますが、それに加え、若き音楽家たちの、自らの芸術に対する熱い想いがよく現れていると思います。それゆえ自らの恋に対しても葛藤し、あるいは希望を抱くわけで。

なお、今回は俳優陣の「演奏」も素晴らしかった。上野樹里さんはさすがです。ラン・ランのピアノを我が物顔で「弾いて」います。千秋役の玉木宏さんも指揮姿が一段とさまになっています。特筆すべきは清良がコンクールファイナルで弾いたブラームスのヴァイオリン協奏曲。水川あさみさんの演奏姿はまさに完璧。立ち振る舞いの美しさも相まって、本物のスターソリストを思わせました。拍手です。

そんなわけで完結した「のだめ」ですが、ホントすばらしい作品でした。もういちどドラマから全編通して一気に見直してみたいです。まずは原作の漫画を全巻通して読み返しましょうか。そしてなにより思ったのが、若き音楽家たちが音楽を愛する姿。音楽を志し、音楽に挑み、音楽に泣き、音楽に喜ぶ彼ら彼女らのさまが崇高で、とても素敵だなあということ。ぼくもただ聴くだけでなく、自ら音楽の主体となってみたいと痛切に思います。といっても、ぼくができそうな楽器といえば、中学生の時に1年間だけ吹いていたフルートだけ。でもやっぱりいまさら遅いかな…。音楽をやり始めるとそうとう時間を費やすものなので、そんなことをしとる場合やないやろと言われそうです。それでも、音楽をしたいという衝動に駆られています。困りましたね。

★★★★★

(2010/04/30@ユナイテッド・シネマ金沢)