オラファー・エリアソン展/music@rt Season III vol.4 光の散策@金沢21世紀美術館(2010/03/22)
21世紀美術館で開催されている展覧会「オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき」はこの日が最終日。いままでの会期中に一度しか行けなかったのですが、最終日に滑り込みで再訪できました。
■一色の部屋 Room for one colour
いちばんのお気に入り。部屋全体を黄色い光が支配する空間はすべての色を奪い去ります。ぼくはこの部屋の角にしばらく座り込み、入室してくるモノクロの人々をぼんやりと眺めていました。
■ゆっくり動く色のある影 Slow-motion shadow in colour
対面の壁を照らす6色の光。壁の前に立つ人の影も6色に揺れます。これも自ら影を揺らすよりも、入室してくる人…特に子どもが自分の影が動くことを発見し、それを面白がってさまざまに試している様子がまた面白い。平行に光を放つライト群の真横に立って、そんな子どもたちのさまを観ているのです。
■動きが決める物のかたち Object defined by activity
暗室の中に、半球状に散りばめられた氷の結晶群が3つ。だがよくみるとそれらはすべて実際に水が噴き出ている噴水で、点滅するストロボライトによって静止した結晶のように見えたのでした。
■水の彩るあなたの水平線 Your watercolour horizon
真っ暗な円形展示室に足を踏み入れると、浅く水が張られた大きな円形のプールがゆらゆら水面を揺らしています。そして、プールの中心から水面に向かって細く照らす光が、揺れる水面に反射して、暗い内壁に投射されています。内壁にゆらゆら漂う光の波は、水面の揺れに同期して、さらに不思議に漂うのでした。これも長時間その空間に在って飽きることがありません。
■あなたが創りだす大気の色地図 Your atmosphere colour atlas
部屋中に充満する3色の霧。不快なはずの湿気もやわらかな色彩のおかげで心地よい潤いに。
なお、屋外正面入口付近に、オラファー・エリアソンによる新たな常設展示作品「Colour activity house(カラー・アクティヴィティ・ハウス)」が完成していました。半円形の3色のガラスが重なりつつ渦巻状に立っており、見る角度によってさまざまな色の見方がします。
***
さて、この日は井上道義さん&OEKプロデュースの金沢21世紀美術館ミニコンサート「music@rt SeasonIII vol.4 光の散策」も開催されます。オラファー・エリアソンにちなみ、光をテーマとした音楽を演奏。光の輝きのような鍵盤楽器「ジュ・ドゥ・タンブル」も登場するとのこと。ぼくは14時と15時の2回を鑑賞しました。
第2回(14時)
第3回(15時)
全編通して井上マエストロが進行役を務めます。1曲目は、このコンサートのチラシにも使われているルノワールの絵画「森の中の小路」をモチーフとした楽曲。OEKオーボエ奏者の加納さんが伸びやかに独奏。まさに絵の雰囲気そのままに、森の葉の間から光がふんわりこぼれてくる感じ。演奏中、井上マエストロが加納さんにちょっかいをかけてきますが(やりたい放題!笑)、加納さんは笑顔で切り返しながら吹き通していました。
引き続き井上さんのパフォーマンスは途切れることがありません(笑)。ドラティ「ゆりかご」では演奏スペースに置かれていたホンモノのゆりかご。観客の子どもに寝てみたらと誘ったり、しまいには自ら入ろうとしてみたり。
ブリテンの「パン」という曲は、ギリシャ神話にある水の妖精シュリンクスに恋をした牧神パンの逸話から。パンにつきまとわれたシュリンクスが水に飛び込んで葦に身を変えたところ、パンはその葦の茎を束ねて笛にして、シュリンクスのことを想いつつ吹き続けたのだとか。井上さんは演奏中にこの神話を忠実に(?)再現します。加納さんをシュリンクスに見立てて求愛し続けるマエストロ。やがて演奏スペースに準備してあった葦の茎(らしきもの)を拾い集めて笛にして、哀しげに吹く真似をしていました。
最後は金沢在住の作曲家・ピアニストの金澤攝さんが登場。加納さん、パーカッション奏者の大久保さんとともに、金澤さんの新作「光の踊り」の初演がおこなわれました。とりわけ今回のメダマは、金澤さんが演奏する「ジュ・ドゥ・タンブル」なる鍵盤楽器でありました。見た目はチェレスタやオルガンみたいですが、言ってみれば鍵盤付きの鉄琴とでも申しましょうか。硬質で透明感のある音色は、まさにキラキラと輝きながらこぼれ落ちる光のイメージそのものでした。
なお。
なお、当時ツイッターで時々会話を交わしていた @iiizmiii さんとこの会場でニアミス。ただし互いに顔を知らなかったため、直接お話しすることはなかったのですが(のちに対面を果たし、現在ではおかげさまで音楽&飲みで仲良くさせてもらってます)、演奏後、彼女が撮影に成功した井上マエストロの写真がコチラ。
↓
さすが井上さん!サービス精神満点ですね!
■一色の部屋 Room for one colour
いちばんのお気に入り。部屋全体を黄色い光が支配する空間はすべての色を奪い去ります。ぼくはこの部屋の角にしばらく座り込み、入室してくるモノクロの人々をぼんやりと眺めていました。
■ゆっくり動く色のある影 Slow-motion shadow in colour
対面の壁を照らす6色の光。壁の前に立つ人の影も6色に揺れます。これも自ら影を揺らすよりも、入室してくる人…特に子どもが自分の影が動くことを発見し、それを面白がってさまざまに試している様子がまた面白い。平行に光を放つライト群の真横に立って、そんな子どもたちのさまを観ているのです。
■動きが決める物のかたち Object defined by activity
暗室の中に、半球状に散りばめられた氷の結晶群が3つ。だがよくみるとそれらはすべて実際に水が噴き出ている噴水で、点滅するストロボライトによって静止した結晶のように見えたのでした。
■水の彩るあなたの水平線 Your watercolour horizon
真っ暗な円形展示室に足を踏み入れると、浅く水が張られた大きな円形のプールがゆらゆら水面を揺らしています。そして、プールの中心から水面に向かって細く照らす光が、揺れる水面に反射して、暗い内壁に投射されています。内壁にゆらゆら漂う光の波は、水面の揺れに同期して、さらに不思議に漂うのでした。これも長時間その空間に在って飽きることがありません。
■あなたが創りだす大気の色地図 Your atmosphere colour atlas
部屋中に充満する3色の霧。不快なはずの湿気もやわらかな色彩のおかげで心地よい潤いに。
なお、屋外正面入口付近に、オラファー・エリアソンによる新たな常設展示作品「Colour activity house(カラー・アクティヴィティ・ハウス)」が完成していました。半円形の3色のガラスが重なりつつ渦巻状に立っており、見る角度によってさまざまな色の見方がします。
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さて、この日は井上道義さん&OEKプロデュースの金沢21世紀美術館ミニコンサート「music@rt SeasonIII vol.4 光の散策」も開催されます。オラファー・エリアソンにちなみ、光をテーマとした音楽を演奏。光の輝きのような鍵盤楽器「ジュ・ドゥ・タンブル」も登場するとのこと。ぼくは14時と15時の2回を鑑賞しました。
第2回(14時)
第3回(15時)
全編通して井上マエストロが進行役を務めます。1曲目は、このコンサートのチラシにも使われているルノワールの絵画「森の中の小路」をモチーフとした楽曲。OEKオーボエ奏者の加納さんが伸びやかに独奏。まさに絵の雰囲気そのままに、森の葉の間から光がふんわりこぼれてくる感じ。演奏中、井上マエストロが加納さんにちょっかいをかけてきますが(やりたい放題!笑)、加納さんは笑顔で切り返しながら吹き通していました。
引き続き井上さんのパフォーマンスは途切れることがありません(笑)。ドラティ「ゆりかご」では演奏スペースに置かれていたホンモノのゆりかご。観客の子どもに寝てみたらと誘ったり、しまいには自ら入ろうとしてみたり。
ブリテンの「パン」という曲は、ギリシャ神話にある水の妖精シュリンクスに恋をした牧神パンの逸話から。パンにつきまとわれたシュリンクスが水に飛び込んで葦に身を変えたところ、パンはその葦の茎を束ねて笛にして、シュリンクスのことを想いつつ吹き続けたのだとか。井上さんは演奏中にこの神話を忠実に(?)再現します。加納さんをシュリンクスに見立てて求愛し続けるマエストロ。やがて演奏スペースに準備してあった葦の茎(らしきもの)を拾い集めて笛にして、哀しげに吹く真似をしていました。
最後は金沢在住の作曲家・ピアニストの金澤攝さんが登場。加納さん、パーカッション奏者の大久保さんとともに、金澤さんの新作「光の踊り」の初演がおこなわれました。とりわけ今回のメダマは、金澤さんが演奏する「ジュ・ドゥ・タンブル」なる鍵盤楽器でありました。見た目はチェレスタやオルガンみたいですが、言ってみれば鍵盤付きの鉄琴とでも申しましょうか。硬質で透明感のある音色は、まさにキラキラと輝きながらこぼれ落ちる光のイメージそのものでした。
なお。
なお、当時ツイッターで時々会話を交わしていた @iiizmiii さんとこの会場でニアミス。ただし互いに顔を知らなかったため、直接お話しすることはなかったのですが(のちに対面を果たし、現在ではおかげさまで音楽&飲みで仲良くさせてもらってます)、演奏後、彼女が撮影に成功した井上マエストロの写真がコチラ。
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さすが井上さん!サービス精神満点ですね!
井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢21世紀美術館シリーズ
music@rt Season III vol.4 光の散策
日時:2010年3月22日(月・振替)13:00-/14:00-/15:00- Monday, 22 March 2010 at 13:00/14:00/15:00
会場:金沢21世紀美術館 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
ナビゲーター:井上道義 Navigator: Michiyoshi Inoue
オーボエ:加納律子 Oboe: Ritsuko Kano
ジュ・ドゥ・タンブル:金澤攝 Jeu de Timbres: Osamu N. Kanazawa
パーカッション:大久保貴之 Percussion: Takayuki Okubo
■ジルヴェストリーニ Gilles Silvestrini
「6つの絵」より第4曲「森の中の小路(オーギュスト・ルノワール, 1874)」
"Sentier dans les Bois (Renoir, 1874)" from Six Tableaux pour hautbois solo
■ドラティ Antal Dorati
5つの小品より 第4曲「ゆりかご」
“Berceuse” from Five Pieces
■ブリテン Benjamin Britten
「オヴィディウスによる6つの変容」より第1曲「パン」
“Pan”from Six Metamorphoses after Ovid op.49
■金澤攝 Osamu N. Kanazawa
「光の踊り」(新曲)
“Danze Luminose”