【OEK定期261PH】マエストロ広上淳一と新星・ジョルジ・カラゼ
今回の定期公演は広上淳一さんが登場。広上さんは岩城前音楽監督の逝去直後の定期公演(2006年6月)に出演されていますが、ぼくはそのときは予定が合わず行けませんでした。なので個人的には初・広上マエストロであります。
果たして、広上さんは実に個性的な魅力にあふれた指揮者でありました。演奏中に「はあ~っ!」とか「ふンッ!ふンッ!」とか気合を発し、現に声が聴こえてきます。各パートに向けて、全身で明確に合図をします。同じアクション派でも、井上さんの踊るようなオシャレな指揮とは異なり、少々泥臭いですけど情熱的で明確な意図を持った指揮といえます。そのおかげか、1曲目のメンデルスゾーンからとても表情豊かな演奏を聴くことができました。
面白かったのは後半のハイドン交響曲第60番。劇音楽の再構成版とのことで、6つの楽章から成ります。この曲は「うつけ者」という通称があり、その名の通りときどき突拍子もない展開が起こります。軽いところでは第2楽章。緩徐楽章と思いきや突如として打楽器が連打されたりします。そして極めつけは第6楽章。はじまって間もなく、コンサートマスター(今日のコンマスはシュテファン・スキバさんという白髪の方…初めてお目にかかります)がいきなり怒りの顔で立ち上がって指揮者に詰め寄り、楽団員たちが各自チューニングし直し始める…という演出です。コンマスに詰め寄られた広上さんも、まずハンカチで自らの汗を拭き、次いでコンマスの額の汗も拭くというお芝居を演じていました。そういうことも含めて、全体的にはハイドンらしく明るく快活なシンフォニー、おおいに楽しめました。
忘れてはいけないのは、本日のソリスト、チェロのジョルジ・カラゼさんです。彼が独奏をつとめたハイドンのチェロ協奏曲第1番。これがまったくなんとも素晴らしい名演だったのです。序盤は多少走りぎみな感がありましたがすぐに回復。ハイドンの屈託のない軽快な楽想はそのままに、ロマンティックな演奏が繰り広げられました。歌謡旋律の優美な調べといい、快速技巧の的確な仕事といい、すべてパーフェクト。思わず聴き惚れてしまいました。グルジア人のカラゼさんは、まだ20代前半ですが、実はギドン・クレーメルさんが推薦する新進気鋭のチェリスト。金沢はもちろんおそらく日本初登場だとのことで、なにか新スターを自ら発見したような気分です。演奏後の拍手も盛大で、何回もカーテンコールが繰り返されました。アンコールはバッハの無伴奏第3番から第6楽章のジーグ。若々しい疾走感に溢れ、しめくくりも素晴らしい演奏でした。
本編のほうのアンコール、ハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」第2楽章も良かった。ドイツ国家になっているこの曲ですが、本日は弦5部による合奏編曲版。主題が次々と受け渡されていき、OEK弦楽アンサンブルの美しさが最大限に引き出された感じ。すっかり満足しました。
果たして、広上さんは実に個性的な魅力にあふれた指揮者でありました。演奏中に「はあ~っ!」とか「ふンッ!ふンッ!」とか気合を発し、現に声が聴こえてきます。各パートに向けて、全身で明確に合図をします。同じアクション派でも、井上さんの踊るようなオシャレな指揮とは異なり、少々泥臭いですけど情熱的で明確な意図を持った指揮といえます。そのおかげか、1曲目のメンデルスゾーンからとても表情豊かな演奏を聴くことができました。
面白かったのは後半のハイドン交響曲第60番。劇音楽の再構成版とのことで、6つの楽章から成ります。この曲は「うつけ者」という通称があり、その名の通りときどき突拍子もない展開が起こります。軽いところでは第2楽章。緩徐楽章と思いきや突如として打楽器が連打されたりします。そして極めつけは第6楽章。はじまって間もなく、コンサートマスター(今日のコンマスはシュテファン・スキバさんという白髪の方…初めてお目にかかります)がいきなり怒りの顔で立ち上がって指揮者に詰め寄り、楽団員たちが各自チューニングし直し始める…という演出です。コンマスに詰め寄られた広上さんも、まずハンカチで自らの汗を拭き、次いでコンマスの額の汗も拭くというお芝居を演じていました。そういうことも含めて、全体的にはハイドンらしく明るく快活なシンフォニー、おおいに楽しめました。
忘れてはいけないのは、本日のソリスト、チェロのジョルジ・カラゼさんです。彼が独奏をつとめたハイドンのチェロ協奏曲第1番。これがまったくなんとも素晴らしい名演だったのです。序盤は多少走りぎみな感がありましたがすぐに回復。ハイドンの屈託のない軽快な楽想はそのままに、ロマンティックな演奏が繰り広げられました。歌謡旋律の優美な調べといい、快速技巧の的確な仕事といい、すべてパーフェクト。思わず聴き惚れてしまいました。グルジア人のカラゼさんは、まだ20代前半ですが、実はギドン・クレーメルさんが推薦する新進気鋭のチェリスト。金沢はもちろんおそらく日本初登場だとのことで、なにか新スターを自ら発見したような気分です。演奏後の拍手も盛大で、何回もカーテンコールが繰り返されました。アンコールはバッハの無伴奏第3番から第6楽章のジーグ。若々しい疾走感に溢れ、しめくくりも素晴らしい演奏でした。
本編のほうのアンコール、ハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」第2楽章も良かった。ドイツ国家になっているこの曲ですが、本日は弦5部による合奏編曲版。主題が次々と受け渡されていき、OEK弦楽アンサンブルの美しさが最大限に引き出された感じ。すっかり満足しました。
オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第261回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 261th Subscription Concert / Philharmonie-serie
日時:2009年5月23日(土)15:00開演 Saturday, 23 May 2009 at 15:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:広上淳一 Conductor: Junichi Hirokami
コンサートマスター:シュテファン・スキバ Concertmaster: Stephan Skiba
■フェリックス・メンデルスゾーン F. Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)
交響曲 第1番 ハ短調 Op.11
Symphony No. 1 in C minor, Op. 11
第1楽章 アレグロ・ディ・モルト
1st. Mov. Allegro di molto
第2楽章 アンダンテ
2nd. Mov. Andante
第3楽章 メヌエット、アレグロ・モルト
3rd. Mov. Menuetto, Allegro molto
第4楽章 アレグロ・コン・フォーコ
4th. Mov. Allegro con fuoco
■フランツ・ヨーゼフ・ハイドン F. J. Haydn (1732-1809)
チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob. VIIb-1
Cello Concerto No. 1 in C major, Hob. VIIb-1
~チェロ独奏:ジョルジ・カラゼ
Cello: Giorgi Kharadze
第1楽章 モデラート
1st. Mov. Moderato
第2楽章 アダージョ
2nd. Mov. Adagio
第3楽章 アレグロ・モルト
3rd. Mov. Allegro molto
(アンコール Encore)
■ヨハン・ゼバスティアン・バッハ J. S. Bach (1685-1750)
無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009 より 第6楽章 ジーグ
Cello suite No. 3 in C major, BMV 1009 - 6th Mov. gigue
---休憩---
■フランツ・ヨーゼフ・ハイドン F. J. Haydn (1732-1809)
交響曲 第60番 ハ長調 Hob. I-60 「うつけ者」
Symphony No. 60 in C major, Hob. I-60 'Distratto'
第1楽章 アダージョ~アレグロ・ディ・モルト
1st. Mov. Adagio - Allegro di molto
第2楽章 アンダンテ
2nd. Mov. Andante
第3楽章 メヌエット、ノン・トロッポ・プレスト&トリオ
3rd.Mov. Menuetto, Non troppo presto - Trio
第4楽章 プレスト
4th. Mov. Presto
第5楽章 アダージョ(ラメンタツィオーネ)~アレグロ
5th. Mov. Adagio (di Lamentatione) - Allegro
第6楽章 フィナーレ、プレスティッシモ
6th. Mov. Finale, Prestissimo
(アンコール Encore)
■フランツ・ヨーゼフ・ハイドン F. J. Haydn (1732-1809)
弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 Hob. III-77 「皇帝」 より
第2楽章 ポコ・アダージョ、カンタービレ
String Quartets No. 77 in C major, Hob. III-77 "Kaiser"
- 2nd Nov. Poco Adagio. Cantabile