かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【LFJ金沢2009】ラ・フォル・ジュルネ金沢2009開幕!オープニングコンサート

待ちに待ったラ・フォル・ジュルネ金沢が、この日ついに開幕しました。当日午前3時まで歌謡曲を聴きながらバーボンを飲んでいたので、多少寝不足で頭が重いです。まあ要するに二日酔いなのですが、やむなく午前11時からのJR金沢駅でのオープニングファンファーレはパスして体力の回復を待ち、午後から出かけることにしました。まずは午後1時からJR金沢駅もてなしドーム鼓門下で、午後1時半から石川県立音楽堂正面広場で金沢市立泉野小学校のマーチングバンドによるファンファーレ演奏。「フィガロ」序曲やトルコ行進曲、アイネク、ジュピターなどモーツァルトの有名曲のメドレーです。雲ひとつない快晴の下、子どもたちの元気なブラスの響きのおかげでだいぶ目が覚めました。

 

さて次は音楽堂に入場し、いよいよオープニングコンサートです。座席は1階7列の1番。最も下手側の壁際です。今回は購入先着順に座席を機械的に割り当てるシステムで、自ら選ぶことはできません。なにしろ満席で補助席だけでなく立ち見までいらっしゃったようですから、贅沢はいえません。

コンサートに先立ち、実行委員会のオエラガタが壇上に勢ぞろいして開会式がおこなわれました。実行委員会の会長である第18代前田家当主・前田利祐さん、谷本正憲石川県知事、飛田秀一石川県芸術文化協会会長、そしてアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏が順にあいさつ。いずれのみなさんも、ぜひ今年も成功させて来年以降も恒例イベントとして定着させたいという意向をにじませていました。前田氏いわく実行委員会の会長とはすなわちお金を集める役目だと謙遜されていましたが、谷本知事が言うとおり、前田の殿様に頭を下げられたらむげに断るわけにもいきますまい。ぜひ来年も会長を引き受けていただきたいとフライング気味のラブコールを送られていらっしゃいました。

なお、この開会式およびオープニングコンサートの案内役(司会)は石川県立音楽堂洋楽監督の池辺晋一郎先生でした。池辺先生といえば当然「ダジャレ」なわけですけど、今回もこの大舞台で数々炸裂していらっしゃいました。たとえばこんな感じ。「私が今回の司会の池辺です。歯医者ではありません。歯科医ではなく司会です」「案内役というのはあまり出しゃばらずに寡黙にいかなければならないのですけど、今日は水曜日です。火木ではなくのでどんどんしゃべっていこうと思います」など(笑)。また、開会式中に祝電披露の時間が設けられていたそうですが、池辺先生の手元に電報が一通も届いていないというハプニングがありました。しかし池辺先生はとっさに、ニセ祝電をつくりあげて場を盛り上げました。「電報を1通紹介しましょう。『なぜ君ばかりがもてはやされるのか? うらやましい。でも、おめでとう。――アントニオ・サリエリ』」。さすがです!池辺先生!

さあ、いよいよコンサートの開始です。まずはピアノと管弦楽のためのロンド K. 382。これは先月尾高忠明さん指揮、小菅優さんのピアノによるOEK定期公演で聴いたばかりの曲です。今回のソリストは事前に発表がなかったので誰だろうと思っていたのですが(ひょっとして井上さんの弾き振りか?とも思っていたのですが)、会場で受け取ったプログラムシートによれば、なんとソリストは、中林理力(りりき)君という中学生の少年でありました。そういえばこの中林少年は、当LFJ金沢の一環、モーツァルト・ピアノ・マラソンにも出演しており、彼の演奏を僕はすでに聴いていたのでした(デュポールのメヌエットの主題による9つの変奏曲 K. 573)。ひじょうにやさしくスマートに弾ける子だなあと感心した覚えがあるのですが、どうやらこのピアノ・マラソンのオーディションで高評価を得て、今回のソリストに抜擢されたもようです(記事)。世界的な音楽祭の開幕コンサートの1曲目の協奏曲で地元の中学生がOEKと共演。これ自体すでにサプライズでありますが、さらにびっくりしたことに、当の中林少年が、白髪ウィッグに赤い衣装という神童モーツァルトの扮装をして登場したではありませんか! 会場から巻き起こるどよめきと盛大な拍手! お祭りらしい様相を呈してまいりました! 中林少年はピアノ・マラソンのときと同様、とてもやさしくやわらかい音色を奏でます。とても上品で気持ちのいいピアノです。しかし今回は力強さも随所に見られましたね。短めのカデンツァもしっかりこなして堂々と演奏終了。お辞儀のたどたどしさがまた初々しくていい感じです。ピアノの腕前だけでなくフェイスの方もキュートですので、10年後とかに地元出身の実力派イケメン・ピアニストとして大成してくれればいいなあ…と期待が膨らみます。

続いては歌劇「魔笛」からパパパのアリア。ソプラノのスタニスラヴァ・イヴァノヴァさんがセクスィーなボディコンワンピースで登場したあと、バリトンのヴェセリン・ストイコフさんは客席から歌いながら現れるという、これまた楽しい演出。モーツァルトといえばオペラですが、今回僕は本公演でオペラ・アリアを聴く予定はありませんので、これが唯一の機会でした。時間的には短かったのですが、モーツァルトのオペラらしいドタバタな雰囲気を味わえて良かったと思います。

さて本日の最後はジュピター交響曲。祝祭性とスケール感を兼ね備えた、音楽祭開幕にふさわしい名曲です。第1楽章から繰り返しもしっかりとおこない、力強くたっぷりじっくりの真っ向勝負でありました。井上マエストロのタクトからも真剣な意気込みが伝わってくるような気がいたします。第2楽章アンダンテ・カンタービレは優美で、愛らしい第3楽章メヌエットへと続きます。そして第4楽章。フーガ風の立体的な構成がゴージャスで、華々しく締めくくられました。

LFJは短時間低価格が特長なのでふつうアンコール演奏はおこなわないのだと思いますが(昨年のLFJ金沢ではたしかアンコールは1つもなし)、今回はなんとアンコールが演奏されました。オリジナル編曲のモーツァルトメドレーでした。たぶん開演前に泉野小学校の子どもたちが演奏したファンファーレの、管弦楽ヴァージョンではないかと思われます。

というような感じで、賑々しくラ・フォル・ジュルネ金沢2009の幕が開きました。本公演は5月2日から4日。僕は計14公演のチケットを確保しております。ただ現時点でもチケットはかなり売れ残っているらしいですね。今年は全席指定だから順番待ちする必要もなく、昨年のように長時間並ばないと入場できないというようなことはないのですが、それがあまり知られていないのではないかと思います(「全席指定」と宣伝しているのを見たことがない)。なので、昨年ほどの混乱はないようにも思いますが、もしかすると本公演ギリギリでばたばたっと売れていくのでしょうか? はたして「熱狂の日」再来となるのかどうか、まあ、すくなくとも僕自身はぞんぶんに堪能しますけどね! 昨年は本祭のあと、疲労が出て体調を崩しましたが、今年はそのようなことのないよう、休養をとりつつ万全の態勢でのぞみたいと思います。

ラ・フォル・ジュルネ金沢2009限定スイーツ。辻口博啓氏プロデュース「ピアノ・ソナタ」です。↓
 

ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2009
モーツァルトと仲間たち~
LA FOLLE JOURNEE de KANAZAWA 2009 - MOZART et ses amis

《オープニング・コンサート Opening Concert》
2009年4月29日(水・祝)14:00開演 石川県立音楽堂コンサートホール
Wednesday, 29 April 2009 at 14:00 Ishikawa Ongakudo Concert Hall

指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra: Orchestra Ensemble Kanazawa
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング Concertmaster: Abigail Young
案内役:池辺晋一郎 Navigator: Shinichiro Ikebe

■ヴォルフガンフ・アマデウスモーツァルト W. A. Mozart
 ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K. 382
 Rondo for Piano and Orchestra in D major, K. 382

~ピアノ:中林理力
 Piano: Ririki Nakabayashi

■ヴォルフガンフ・アマデウスモーツァルト W. A. Mozart
 歌劇「魔笛」K. 620より「パパゲーノとパパゲーナの二重唱」(パパパのアリア)
 "Pa Pa Pa Papagena" from 'Die Zauberflote' K. 620

~ソプラノ:スタニスラヴァ・イヴァノヴァ
 Soprano: Stanislava Ivanova
 バリトン:ヴェセリン・ストイコフ
 Baritone: Vesselin Stoykov

■ヴォルフガンフ・アマデウスモーツァルト W. A. Mozart
 交響曲 第41番 ハ長調 K. 551 「ジュビター」
 Symphony No. 41 in C major, K. 551 'Jupiter'

  第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
  1st.Mov. Allegro Vivace
  第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
  2nd.Mov. Andante Cantabile
  第3楽章 メヌエット(アレグレット)&トリオ:
  3rd.Mov. Menuetto (Allegretto) and Trio
  第4楽章 モルト・アレグロ
  4th.Mov. Molto Allegro

(アンコール)
 モーツァルト ファンファーレ