かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期253PH】オール・ベートーヴェン・ニューイヤーコンサート

今年のOEKニューイヤーコンサートはオール・ベートーヴェン・プログラム! 従来は他の多くのオーケストラと同様にウィンナ・ワルツを演奏しており、昨年は井上さんが指揮になって多少毛並みが変わったものの、やはりワルツやポルカ中心のプログラムでした。ところが、今年はウィーン風のニューイヤーはもう飽きた!?という井上さんの意向なのかどうかはわかりませんが、ベートーヴェンの序曲→協奏曲→交響曲という王道勝負。しかも「皇帝」と第7番という派手な人気曲です。大歓迎! 望むところです。また、ソリストは人気急上昇中の若手美人ピアニスト、アリス=紗良・オットさん。これはますます注目せずにはいられません。やはり会場はたちまち満席となり、補助席、オルガン席に加え、昨年の「ラ・フォル・ジュルネ金沢」(まさに「皇帝」のとき)以来となるステージ席まで用意されました。満員御礼のニューイヤーコンサートです。

ウィンナ・ワルツやポルカは、弦5、Hr、Fl、Cl2の九重奏によるプレコンサートで演奏されました。僕が音楽堂に着いたときにはもう始まっていたのですが、「観光列車」「美しく青きドナウ」「天国と地獄」などを気持ちよく聴くことができました。

さて、本番ですが、まず「エグモント」序曲からいきなり見事な演奏に出会いました。井上マエストロの指揮による鮮烈なベートーヴェン。「エグモント」でこれほど感動できるとは…!

お次は注目のアリス=紗良・オットさんによる「皇帝」。2006年に初めて聴いたラフマニノフに感心し、2007年はOEKメンバーとのリサイタルにも出かけました。おおいに期待していたのですが・・・。金色がかった白いドレスで登場したアリスさんは、曲間にしきりに手をハンカチでぬぐい、緊張しすぎて落ち着かない様子。それでも感情豊かな表現で流麗な演奏を披露してくれましたが、細かいタッチミスが目立ち、ちょっと気合が空回りといった感じだったでしょうか。この日の感動の度合いによっては金曜日の室内楽リサイタルにも行こうかなあと思っておりましたが(3連休前のため本来は殺人的な仕事量なのですが)、今回はやめておくことにします。ただ、アンコールで演奏されたお得意の「ラ・カンパネッラ」はさすがでした。

そして第7番。OEKが最も多く演奏しているこの曲を、ついに井上さんが音楽監督就任後初めてタクトを振りました。これは本当に素晴らしかった。井上さんがおっしゃったとおり、ベートーヴェンが1つの曲に同居させている相反する性質(天使と悪魔、男と女…)をメリハリを利かせてドラマチックに表現してくれました。たとえば第2楽章の葬送を奏でる弦の切ない美しさ。あるいは井上マエストロが踊り出す第3楽章の軽快華麗なスケルツォ。座席もステージに近いので、演奏者の一手一手に釘付けです。特に今回は全編通してコンミス・ヤングさんのリーダーシップが冴えます。そして終楽章の情熱的なコーダ。「エグモント」の後に井上さんが挨拶の中で「渾身の演奏をします!」と宣言しましたが、まさにその通り魂のこもった熱演でした。これはいいものを聴いた…と、しばし恍惚。

アンコールは井上さんが指揮していた「篤姫」のテーマ。これを聴いたのは昨年秋の岩城メモリアルコンサート以来でしたが、弦の美しさはさらに磨きがかかったようでした。

なお、このコンサートを皮切りに、OEKは全国ツアーに出発します。また、今回の公演はNHKが収録しており、NHK教育テレビにて2009年3月29日(日)21:00~22:00「オーケストラの森」で放映されるとのこと。またあらためて楽しめそうです(ミッキーのトークはカットしないで!)。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第253回定期公演フィルハーモニー・シリーズ

日時:2009年1月7日(水)19:00開演
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
指揮:井上道義 Michiyoshi Inoue
コンサートミストレス:アビゲイル・ヤング Abigail Young

ベートーヴェン L. v. Beethoven
 「エグモント」序曲 作品84
 "Egmont" Overture Op.84

ベートーヴェン L. v. Beethoven
 ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」
 Piano Concerto No.5 in E-flat major Op.73 "Emperor"

  ~ピアノ独奏:アリス=紗良・オット Piano: Alice Sara Ott

(アンコール)
■リスト: F. Liszt
 パガニーニによる大練習曲 S.141 第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネッラ
 Grandes Etudes de Paganini, S.141 No.3 in G-sharp minor "la Campanella"

  ~ピアノ独奏:アリス=紗良・オット Piano: Alice Sara Ott


---休憩---


ベートーヴェン L. v. Beethoven
 交響曲 第7番 イ長調 作品92
 Symphony No.7 in A major Op.92

  第1楽章 ポコ・ソステヌート‐ヴィヴァーチェ イ長調
  1st.Mov. Poco sostenuto - Vivace in A major

  第2楽章 アレグレット イ短調
  2nd.Mov. Allegretto in A minor

  第3楽章 プレスト ヘ長調
  3rd.Mov. Presto in F major

  第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ イ長調
  4th.Mov. Allegro con brio in A major

(アンコール)
吉俣良 Ryo Yoshimata
 NHK大河ドラマ篤姫」メインテーマ
 NHK Taiga Drama "Atsuhime" Main Theme