かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

クライマーズ・ハイ

1985年8月、群馬県御巣鷹山日航機が墜落。この未曾有の航空機事故をめぐって奮闘・葛藤する地元新聞記者たちを描く骨太な物語です。当時新聞記者として実際にこの事故を取材した横山秀夫氏の同名原作は未読。佐藤浩市さんの主演で好評を博したNHKドラマ版も未見です。145分と上演時間はかなり長めでしたが、そのぶん内容は充実。まったく目を離せない展開で長さを感じさせませんでした。登場人物はいずれも芸達者のうえ個性満点で、非常に出来のいい作品だと思います。

ですが、個人的には個々の登場人物たちに感情移入できない、共感できないといいますか、とても真似できないというのが正直なところであります。登場人物はみなそれぞれに自分の仕事に強烈な自負心をもっており、それゆえに仕事における議論は全人格をかけた衝突となります。この事故の全権担当デスクとなった主人公、最前線で取材する野心的な若手記者たちはもちろん、当作品では彼らの障害要因として扱われる「大久保」「連赤」の功績に執着する上司や、広告や販売の担当者たちも、自らの仕事を否定する言動には猛烈に怒りを露にします。そういった全人格的な熱血さというか、気概というようなものが、わたしの中にまったくないのです。ですから、作品がどうこうではなく、わたしのこういう情けない資質こそがまずは責められるべきなのでありましょう。

(2008/07/21@ユナイテッド・シネマ金沢)

★★★