かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期386PH】ミンコフスキ指揮ロッシーニ歌劇「セビリアの理髪師」(2017/2/19@石川県立音楽堂コンサートホール)

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OEKプリンシバルゲストコンダクター(首席客演指揮者)、マルク・ミンコフスキ指揮のロッシーニオペラです。ミンコフスキを聴くのはなんだかんだで5回目になるのですが、オペラは初めて。OEKの今シーズン公演の目玉と思われ、ひじょうに楽しみにしておりました。

SS席は10,000円とOEK定期にしては高く、お客さんの入りを心配していたのですが、9割がた埋まっていたのではないでしょうか。どうやら県外から結構な数の遠征組の方々がいらした模様。演奏会方式とはいえ歌手も大勢出演するオペラですから、10,000円というのはじつは破格の安さだったようです。

 

セビリアの理髪師」の名は「フィガロ」。モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」のあのフィガロです(2年前に井上道義×野田秀樹の「フィガロの結婚」を観たのでした!)。「セビリアの理髪師」はフランスの劇作家・ボーマルシェによる三部作(「セビリアの理髪師」「フィガロの結婚」「罪ある母」)の第一作で、「フィガロの結婚」はその続編ということになります。

 

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フィガロの結婚」は、アルマヴィーヴァ伯爵の召使フィガロが、同じく伯爵に仕えるスザンナと結婚することになったところ、伯爵がスザンナを横取りしようという悪だくみが発覚、伯爵夫人ロジーナとともにそれを阻止し、伯爵を懲らしめる物語でした。

そしてその前段と言うべき「セビリアの理髪師」とは、アルマヴィーヴァ伯爵が、腹黒医師バルトロにとらわれていたロジーナに恋をしたところから始まるお話。で、あの手この手でバルトロを出し抜いて二人の恋を取り持ったのが、当時は町の理髪師兼便利屋だったフィガロなのでした(フィガロはこの功績によって伯爵に仕えるようになったというわけ)。

 

アルマヴィーヴァ伯爵は「フィガロの結婚」では悪役らしくバスですが、本作「セビリアの理髪師」では二枚目のテノール。デヴィッド・ポーティロの若々しく軽やかな歌唱が、次作で浮気性を発揮する軽薄さが垣間見えて(?)良かったです。ロジーナは「フィガロの結婚」ではソプラノでしたが、本作では深窓の令嬢なのにメゾ・ソプラノ。じつは本作でもバルトロへの反抗の姿にその気の強さが表れており、セレーナ・マルフィの骨太の歌声に納得。フィガロ役のアンジェイ・フィロンチクは、ほとんど無名らしいのですが、スター性を感じさせる輝かしい歌声が素晴らしかったです。

個人的MVPは、バルトロ役のカルロ・レポーレ。安定感のある確かなバスのもと、チャーミングな悪役っぷりを見せてくれました。また、金沢のオペラでは合唱団は年配の方々中心になりがちなのですが、今回の「金沢ロッシーニ特別合唱団」の面々はみな若い!とても良かったです。

そしてもちろんオケも、序曲からミンコフスキのタクトがまさに魔法の棒のようでした。グイグイという推進力と、柔らかいしなやかさが両立する奇跡。とても心地よい時間でした。

 

オーケストラ・アンサンブル金沢
第386回 定期公演 フィルハーモニーシリーズ

2017年2月19日(日)14:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

ロッシーニ 歌劇「セビリアの理髪師」(演奏会形式)

指揮:マルク・ミンコフスキ
ステージ演出:イヴァン・アレクサンダー

アルマヴィーヴァ伯爵:デヴィッド・ポーティロ
バルトロ(医師):カルロ・レポーレ
ロジーナ(バルトロの姪令嬢):セレーナ・マルフィ
フィガロ(理髪師):アンジェイ・フィロンチク
バジリオ(音楽教師):後藤春馬
ベルタ(バルトロ家の女中):小泉詠子
フィオレッロ(伯爵の召使):駒田敏章
アンブロージォ(バルトロ家の召使):山本悠尋
士官:濵野杜輝

合唱:金沢ロッシーニ特別合唱団
コーラスマスター:辻博之

管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢