かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

痛快!浅田次郎「天切り松 闇がたり」

この土日、ワケあって(?)東京&千葉へ。
んで、金沢からの往復の車中で本を読む。浅田次郎「天切り松 闇がたり」。


闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉
浅田次郎 集英社文庫


残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉
浅田次郎 集英社文庫

何ヶ月か前、本屋で何気なく第1巻「闇の花道」を手に取った。何となく気になって購入したが、それ以来読んでいなかった。しばらくして、同作品のドラマが勘九郎さんの主演で放映された。おやっと思い、念のため録画しておいたが、これもまだ見ていない。たまたま今回の旅のお供にこの文庫本をひょいとつまんで読んでみたところ・・・すごい!すごすぎる! 粋でいなせな大正義賊。目細の安吉親分、おこん姐さん、若頭の説教寅、黄不動の栄治、書生常。松蔵が憧れるのも無理もない。その活躍ぶりが痛快で、何よりみんなカッコいい。この興奮は隆慶一郎一夢庵風流記」以来だろうか。そして、落涙必至の人情話。読むほどにぐいぐい引き込まれていく。

天切り松といやァちょいとは名の知れた盗ッ人だ。天切りたァ、大江戸以来の夜盗の華。ケチな所帯にァ見向きもせず、忍び返しに見越しの松、長屋門に車寄せてえお屋敷ばかり、夜に紛れて屋根を抜く、富蔵、藤十郎、鼠小僧の昔から、一子相伝、親分から子分へと奥義を伝えた荒業でえ。

思わず音読したくなる名調子。もともと本を読むスピードが遅いのに、ついつい口の中でごもごも反芻してしまう(「闇がたり」はできないので無言で・苦笑)。行きの乗車時間をいっぱい使って読み終えた。何という充実感。

帰りは当然第2巻「残侠」を買う。ふだん車社会の金沢で座り仕事の身には首都圏での2日間の電車移動はことのほか堪えていたし、強行日程のため睡眠時間もぐっと少なく、そんな状態で夕食の弁当を食べて腹が膨れたものだから、爆睡する条件は揃いすぎていたのだけれども、まったく睡魔に襲われることなく読み耽った。乗り換えの越後湯沢駅に着いたときは、ちょうど清水の小政が仁義を切って長屋を後にするところ。ここでいったん本を閉じなきゃならないのかよ、とこのまま乗り過ごしても構わない気になった(乗り過ごさなかったが)。で、結局北陸線で最後まで読み通し、満足、満足。

これはもう、録画しておいたドラマを見ずにはいられない。安吉親分が渡辺謙さん、栄治兄ィが椎名桔平さん、寅弥兄ィが六平直政さんだという。なかなかいい感じの配役ではないか。おこん姐さんは誰だろう?

「天切り松 闇がたり〈第3巻〉初湯千両」も読まずばなるまい。ただこれはまだ文庫にはなっていないようで、貧乏人にはつらいところだ。