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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

五嶋みどり&井上道義OEK特別公演(2010/11/03)

引き続き、文化の日のイベントです。「アジア民族音楽フェスティバル」のハシゴはハオチェン・チャンさんのピアノリサイタルで打ち止め。ハオチェンさんの演奏はとっても素晴らしく、いつまでも余韻に浸っていたいところでしたが、音楽堂エントランスのアジアンカフェで点心を食べつつ、次の公演へと心を切り替えます。そうです。いまから「アジア民族音楽フェスティバル」とは別にもともと予定されていた、OEKの特別公演が行われるのです。し・か・も…あの五嶋みどりさんがOEKと初めて共演するのであります! チケットはもちろん全席完売、補助席も出る人気ぶり。ぼくはといえば、抜かりなく販売初日にチケットを確保してありました。2階右バルコニー席、前から2ブロック目の前列に陣取り開演を待ちます。

前半はOEKによるチャイコフスキーバレエ音楽でした。チャイコフスキーということで、いつものOEKより人員は多め。トロンボーン、チューバ、チェレスタ、ハープを追加、弦楽器も12-10-8-6-4くらい(曖昧)に編成が増強されています。曲は「眠りの森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」からの抜粋。井上さんはバレエ音楽らしく、予想通り(笑)踊るように指揮を振ります。ただし、当然ながら演奏上羽目を外すことはなく、むしろじっくり丁寧な印象。OEKの演奏も好調です。特にこの日の木管は絶品。その他、「くるみ割り人形」の「こんぺい糖の精の踊り」はチェレスタの不思議な旋律が面白く、「花のワルツ」は華やかなハープが印象に残りました。

さて、後半はいよいよみどりさんの登場です。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。みどりさんの念入りなチューニングを井上さんもOEK団員もじっと見守ります。第一楽章、オケの序奏に続いてみどりさんの第一音です。…なんだコレは…!! いままで聴いたチャイコンと、いや、すべてのヴァイオリンとはまるで違う…! 美しく澄み切った、しかし深い苦悩と悲哀に満ちた、心を締め付けるような音色。じつに内省的で思索的な世界。音量は決して大きくはないのですが(というか、消え入るようですらあるのですが)、この圧倒的な存在感は一体なんなのでしょう。

なんというか…音楽の次元が違うのです。比較するのも酷ですが、さきほどのハオチェン君の演奏が、楽譜に真摯に向きあってショパンの世界を誠実に再現したものだとすれば(それを彼はかなりの高水準で達成していたわけですが)、みどりさんの場合は、楽曲に向き合うのではなくて、楽曲そのものにすっかり同化し、自らの心の奥を徹底的に見つめ抜くことによって、その結果としてチャイコフスキーの世界を体現しているというか…技巧などというものは超越したところで音楽を創り上げているという感じがするのです。

さらにいっそう自らの内省的世界に没入した第二楽章、そして続く第三楽章。みどりさんの意思は、閉じていた目がカッと見開いたように一気に覚醒します。全体的に高速なテンポで進む中、随所に現れる早いパッセージの部分…このテンポで弾けるのか?…という心配は全くの杞憂。みどりさんは当然のように軽々とその難フレーズを弾きこなし、一目散に苦悩の日々からの解放に向かっていきます。このあたり、OEKはみどりさんに付いて行くのに、井上さんは両者を制御するのに必死です(こんな井上さんは初めて見た)。そうしているうちにOEKも最高の集中力を発揮していきます。これぞ協奏曲! そしてクライマックス。ドラクロワ民衆を導く自由の女神」のようにOEKを完全に掌握したみどりさんが、神々しくチャイコフスキーのど真ん中を闊歩していきました。ああ、まさに女神の降臨…!!!! 

盛大な拍手の中、「みどりさんはふだんはアンコールをしないんだけど…」と井上マエストロ。みどりさんが再登場し、文化の日ならではの特別アンコールです。曲はショーソンの詩曲(ポエーム)。アンコールどころではなく、15分を越えるような堂々たる一曲です。少々プログラム的に不足感があったものの、すっかり解消、お釣りが来ますね。演奏が厳かにはじまり、やがてみどりさんの美音が響き渡ります。チャイコフスキーでの自問自答を経て、悟りを開いたかのような迷いのない純粋極上の音色…こんな美しいヴァイオリンを初めて聴いた…! 気がつけばOEKの演奏も物凄いことになっています。透明で濁りのない荘厳なアンサンブル。年に数回ある神がかった弦楽合奏がこのときに出ました。まったくもってみどりさんに引っ張られた格好。天国へと完全に連れて行かれました。

なんという幸福。しばし放心…
あまりに今日の印象が強すぎて、当分、チャイコンは聴けそうもありません。あっ、来年3月東芝グランドコンサートの庄司さんもチャイコンなんだよな…

オーケストラ・アンサンブル金沢 特別公演 Orchestra Ensemble Kanazawa
日時:2010年11月3日(水)15:00開演 Wednesday, 3 November 2010 at 15:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall

指揮:井上道義 Michiyoshi Inoue, Conductor
ヴァイオリン:五嶋みどり Midori, Violin
コンサートマスター:松井直 Naoki Matsui, Concertmaster

■P.I.チャイコフスキー Peter Ilyich Tchaikovsky (1840-1893)
 バレエ組曲白鳥の湖」「眠りの森の美女」「くるみ割り人形」より
 from Ballet Suites "Swan Lake""Sleeping Beauty""The Nutcracker"

○「眠りの森の美女」より ワルツ
 Sleeping Beauty - "Valse"

○「眠りの森の美女」より アダージョ
 Sleeping Beauty - "Adagio"

○「眠りの森の美女」より パノラマ
 Sleeping Beauty - "Panorama"

○「くるみ割り人形」より こんぺい糖の精の踊り
 The Nutcracker - "Danse de la Fee-Dragee"

○「白鳥の湖」より チャルダーシュ
 Swan Lake - "Csardas"

○「白鳥の湖」より 情景
 Swan Lake - "Scene"

○「くるみ割り人形」より 花のワルツ
 The Nutcracker - "Valse des fleurs"

-- 休憩 Intermission ---

■P.I.チャイコフスキー Peter Ilyich Tchaikovsky (1840-1893)
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 Violin Concerto in D major, op.35
 ~ヴァイオリン:五嶋みどり Midori, Violin

(アンコール Encore)
■E.ショーソン Ernest Chausson (1855-1899)
 ヴァイオリンと管弦楽のための詩曲(ポエム) 作品25
 Po���me pour violon et orchestre, op.25
 ~ヴァイオリン:五嶋みどり Midori, Violin

ちなみに、11/3当日のツイッター発言がこちら。

ハオチェン・チャンさんのピアノ・リサイタル終了…凄すぎる…やられた… (@ 石川県立音楽堂) http://4sq.com/bo5aho
posted at 13:55:28


五嶋みどり&井上道義OEKコンサートの余韻で放心中…
posted at 18:52:20

さらに、翌11/4のツイート。

@kee_rainrain みどりさんは神がかっていて…次元が違いました。お越しになれず残念でしたね。補助席・立ち見席なら当日券が販売されてたんですけど。
posted at 10:59:08


@masaka_take いやいや、そんなアホ面は公開してどうなるんですかw まあ、とにかく凄かったんです。
posted at 11:00:24


@cafe_amadeus たしかに(笑)。時間的に短いなあと思ってたんですけど、神がかったチャイコンでそんな不満は完全に霧消、さらにショーソンでの究極の美音という贅沢。ショーソンではOEKも年に1回あるかないかの極上のアンサンブル。みどりさんに引き揚げられた感がありました。
posted at 11:12:20


あ!同じこと考えてた!(笑) RT @cafe_amadeus: これでチャイコフスキーは来年の庄司紗矢香まで聴かないぞ。
posted at 11:15:11


今週のクラシック@北陸の充実ぶり! この前の土曜日@入善は庄司紗矢香さん&ジャンルカ・カシオーリさん、昨日@石川県立音楽堂はハオチェン・チャンさん、五嶋みどりさん。いずれも最高の演奏! 行けなかったけど月曜日は高岡で神尾真由子さんも。最後は次の土曜日@赤羽ホールの小曽根真さん!
posted at 11:26:18


ぼくもオススメ RT @yatta_i: 購入意欲がアップしましたw RT @la_yamato202: ヤンソンスとのやつ?私からもオススメ(^^)ノ RT @yatta_i: @mko320 五嶋みどりさんのメンデルスゾーンオススメですか、ブルッフも好きなので今度聞いてみます
posted at 13:03:15