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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期289M】オリバー・ナッセン:武満徹の生誕80年を飾るオマージュ(2010/10/20)

この日のプログラムは、全曲がいわゆる現代音楽。マデルナ、武満、ナッセン、レスピーギという意欲的な並びです。当然どの曲も知らない曲。自分から好んでチケットを買ってまで行かないだろうなあとは思いますが(苦笑)、定期会員シリーズのラインナップに含まれている以上、せっかくですので行ってくることにします。

まずはマデルナの「『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』による陽気な音楽」。エリザベス朝時代(16世紀後半~17世紀初頭)に「ヴァージナル」という卓上の箱型チェンバロのような楽器を使った音楽があり、その楽譜をフィッツウィリアムという文献収集家が所蔵していたと。で、それをイタリアの現代音楽家マデルナが編曲したのだそうです。だから、旋律はルネッサンス的で優雅。短い5曲から成る構成で、ヴァイオリンのヤングさん、オーボエの水谷さんが奏でた協奏曲的独奏はとても綺麗でした。

武満の「群島S.」。ナッセンさんはこの曲の初演を指揮したそうで、まず演奏者の配置が独特。ステージ下手にオーボエ・弦4部・ハープ・打楽器の島、ステージ中央奥に金管楽器の島、ステージ上手にフルート・ファゴット・弦3部・チェレスタ・打楽器の島、さらに2階座席の後方両端にクラリネットを配置し、ステージ上のみならずホール全体をつかって「群島」を形成します。そこで繰り広げられる演奏は、各島の掛け合いなど立体的な響きが面白かったです。

休憩を挟んで後半最初は「操り人形の宮廷の音楽」。ナッセンさん自身の作品です。こちらもオケの配置が変わっていて、舞台の左右に2つの室内オケが対称的に居並ぶ格好になります。しかも弦楽器が後方、管楽器が前方と通常とは逆の並び。そして音楽は16世紀のジョン・ロイドによるカノンのパズルを素材としているとのこと。なので、左右の音楽のやり取りが面白く、先の武満の楽曲ともども、音楽の空間的感覚を楽しみました。

最後はレスピーギルネッサンス期の画家、ボッティチェッリの3枚の絵(「春」「東方三博士の礼拝」「ヴィーナスの誕生」)から着想を得た楽曲で、たしかに絵画的な説得力を持ちます。OEKのアンサンブルも緻密で、美しい芸術を堪能しました。

というわけで、現代音楽といっても、まったく毛嫌いするような感じではなく、意外に聴きやすくて面白い公演でした。指揮のナッセンさんの巨漢ぶりも可愛げがありましたしね(笑)。

オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第289回定期公演マイスター・シリーズ
The 289th Subscription Concert / Meister-serie
 
日時:2010年10月20日(水)19:00開演 Wednesday, 20 October 2010 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮・作曲:オリバー・ナッセン Oliver Knussen, Conductor & Composer
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング Abigail Young, Concertmaster


■B.マデルナ Bruno Maderna (1920-1973)
「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」による陽気な音楽(1969)
 Music of Gaity (5 Pieces from the Fitzwilliam Virginal Book)(1969)
 独奏:アビゲイル・ヤング(ヴァイオリン)、水谷元(オーボエ
 Solo: Abigail Young, Violin / Hajime Mizutani, Oboe
 
武満徹 Toru Takemitsu (1930-1996)
 「群島S.」 - 21人の奏者のための(1993)
 Archipelago S. for 21 Players (1993)


--- 休憩 Intermission ---


■O.ナッセン Oliver Knussen (1952-)
 操り人形の宮廷の音楽 作品11
 - 2つの室内管弦楽のためのジョン・ロイド(16世紀)によるパズル集
 Music for a Puppet Court, op.11

■O.レスピーギ Ottorino Respighi
 ボッティチェッリの三枚の絵(「春」「東方三博士の礼拝」「ヴィーナスの誕生」)
 Trittico Botticelli