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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期288PH】新鋭指揮者ケン・シェ登場/吉田恭子のチャイコン

今回の定期公演はケン・シェさんという新進気鋭の若きマエストロが初登場。シューマンビゼー、さらに吉田恭子さんによるチャイコフスキーを演奏します。なお、公演前のロビーコンサートは、現在来沢中のホーチミン交響楽団メンバーによる木管五重奏で、ハイドンブラームスハイドン変奏曲の原曲)と「くるみ割り人形」。プレトークは、金沢出身の音楽ライター飯尾洋一氏によるシューマンビゼーの演奏曲についての解説でした。

まず1曲目はシューマンの「序曲、スケルツォと終曲」。4楽章形式の交響曲のうち緩徐楽章(第2楽章)を抜いた構成の楽曲です。「序曲」は冒頭こそ暗い雰囲気で始まるものの、やがていつの間にか長調に転調、シューマンらしからぬ明るく晴れやかな曲想が楽しめました。「スケルツォ」も引き続き歯切れよく、「終曲」も躍動感たっぷりに駆け抜けます。いやあ、このシューマンの躍動感にはびっくりしましたねえ。こんな屈託の無いシューマンがあったのか(笑)。当時シューマンは新婚さんで(結婚2年目)、幸福の絶頂にあったということもあるようです(?)。また、ケン・シェさんの積極的なドライブによるところも大きいでしょう。ケン・シェさんの指揮はわりとオーソドックスだと思うのですが、メリハリがあって気持ちがいい。

続いては吉田恭子さんが登場。チャイコフスキーのヴァイオリン・コンチェルトであります…が、少々物足りなかったというのが率直な感想かな…。 この名曲には名演奏も数多く、ぼくがいままで聴いた実演も、庄司紗矢香さん神尾真由子さんという名ヴァイオリニストによるそれぞれに個性的で素晴らしいものでした。おまけに来月早々には、あの五嶋みどりさん井上道義指揮OEKと初共演により同曲を披露する予定もあります(当然聴きに行きます♪)。また、ふだんからCDでもムターとかハーンとか優れた演奏を聴き慣れています。それだけにこの曲に対する要求水準はどうしても高くならざるを得ません。この日の吉田さんも決して悪かったわけではないのですが、そういう名演奏がデフォルトになっているため、物足りなさを感じてしまうのですね。彼女の音自体はいいのです。やわらかくて滑らかで。だから第1楽章の最初の独奏部分やカデンツァ、第2楽章といった、じっくり聴かせるような箇所は良かったと思います。でも、それ以外の場面、オケと「協奏」するところはパッとしません。全体にパワー不足で、軽い印象。オケの音に埋もれてしまうのです。また、この曲に関してはケン・シェさんが振る管弦楽のテンポがかなり速く、それについていくのが難しかった面もあるでしょうが、高速パッセージはかなり苦しかったように見受けられます。結果、自らが主体的にこの曲を表現するんだという意志が感じられず、なんとかオケの後をなぞってついて行っているという印象を受けてしまうのです。うーん、残念でした。

休憩を挟んで後半はビゼー交響曲第1番…これはよかった!! ビゼー17歳、パリ音楽院在院中に習作として作曲した最初で最後の交響曲でしたが、長らく歴史に埋もれていたんだそうです。17歳の若さあふれる新鮮な交響曲を、新進気鋭の若き指揮者が振ると、それはそれは清々しく青春の息吹を感じるのでした。モーツァルトを感じさせるような輝かしい第1楽章、オーボエが郷愁を誘う第2楽章、牧歌的な舞曲風の第3楽章…。どの楽章もじつに表情豊かで、素直に耳に入ってきます。コンマスのヤングさんのリードする弦楽のアンサンブルもますます冴えてきました。終楽章。弦の細かい旋律から始まる第1主題は疾走感満点。ふっと優雅に演奏される第2主題とともに、ソナタ形式は軽快に走り続けてスカッと終了。じつにここちよい爽快感を味わうことができました。

この日はケン・シェさんという若き指揮者の出現がいちばんの収穫。ハツラツとした指揮ぶりに好感をもちました。いずれまたOEK公演に出演してくれることもありそうです。


オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第288回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 288th Subscription Concert / Philharmonie-serie

日時:2010年10月6日(水)19:00開演 Wednesday, 6 October 2010 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:ケン・シェ Kenneth Hsieh, Conductor
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング Abigail Young, Concertmaster

シューマン R.Schumann (1810-1856)
 序曲、スケルツォと終曲 作品52
 Overture, Scherzo and Finale, op.52

チャイコフスキー P.I.Tchaikovsky (1840-1893)
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 Violin Concerto in D major, op.35
 ~ヴァイオリン:吉田恭子 Kyoko Yoshida, Violin

-- 休憩 Intermission ---

ビゼー G.Bizet (1838-1875)
 交響曲 第1番 ハ長調
 Symphony No.1 in C major