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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

建築と音のアンサンブル「音のギャラリーツアー」@金沢21世紀美術館(2010/09/05)

金沢21世紀美術館の設計者、妹島和世さんと西沢立衛さんのユニットが建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞しました。この日は金沢21世紀美術館でお祝いのイベント「建築と音のアンサンブル」が開かれます。美術展の入れ替え時期を利用して,展示室から展示物をすべて撤去、すっかりがらんどうになった各展示室で、オーケストラ・アンサンブル金沢のメンバーがソロ~九重奏の室内楽演奏をおこないます。時間は各回15分程度で合計3時間。その間、展示室のどこかから常に音楽が演奏されているというわけです。無料開放された展示室を、お客さんは自由に行き来し、音楽と建物を楽しむことができます。題して「音のギャラリーツアー」。なんとおもしろい企画!

妹島和世西沢立衛/ SANAA 祝プリツカー賞「建築と音のアンサンブル」
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=24&d=974

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これはぜひ行かねば!ということでJAZZ会のいつもの面々をお誘いしたところ、JZさんizumiさんが反応。まだ暑い日曜の午後ですが、汗をかきかき美術館に辿りつきました。

まずは14時過ぎからお祝いの式典。OEKエンジェルコーラスによる開幕ファンファーレ(聴き逃した!)、山出市長・秋元館長の祝辞、受賞者あいさつ、井上道義OEK音楽監督の音頭による乾杯(ぼくらにも飲み物が振る舞われた!)に続き、井上監督指揮・OEKメンバーの九重奏によりオープニング曲が演奏されました。当地のピアニストであり作曲家である金澤攝さんによる新曲「暑中見舞」。陽射しが攻撃的に降り落ちる今年の夏を象徴していたというか…まあ、不協和音に複雑なリズム…現代美術の建物の祭典にふさわしく、いわゆるバリバリの「現代音楽」っていうやつです。演奏していた竹中のりこさんも「謎のファンファーレ」と(笑)。

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さて、その後はぐいぐい室内楽を連投して聴いていくのみ。金澤攝さんのピアノ演奏は、izumiさんは前からファン、JZさんもぼくも気になっているので全曲聴くとして、そのほかどのように回るかが考えどころです。以下、ぼくの拙いガイドによりJZさんを引き連れてハシゴした演奏を振り返ってみます。

妹島和世西沢立衛/ SANAA 祝プリツカー賞「建築と音のアンサンブル」
Celebrating SANNA's Pritzker Prize: Ensemble for Sound & Architecture
《15:00 展示室14》
金澤攝(Pf)
■セザール・キュイ:4つの作品
 Cesar Cui: Quatre morceaux op.60 (1901)
展示室14は館内中央の円形の部屋。綺麗な曲ですが、ピアノの残響が予想以上に大きく、音が重なりすぎてかえって濁って聴こえてしまうような…? セザール・キュイはロシア五人組のひとり。

《15:30 展示室14》
坂本久仁雄(Vn1)、竹中のりこ(Vn2)、古宮山由里(Va)、福野桂子(Vc)、今野淳(Cb)
■B.ブリテン:シンプル・シンフォニー 作品4
 B.Britten: Simple Symphony, op.4
金澤攝さんの演奏のあと、別会場に移動したらどこも満室だったため、断念してふたたび展示室14に。弦楽五重奏に関してはこの部屋の残響がいい効果を発揮しました。弦の響きが力強くクリアに聴こえます。しかもこの曲自体、思ったよりわかりやすく親しみやすい楽しい曲。第2楽章のオールピッツィカートは残響が特に効果的でした。

《15:45 展示室5》
井上道義
■作曲中
 Composing
「作曲中」って何?って思ったら、ホントにキーボードとPCを持ち出して井上マエストロが作曲に勤しんでいました。そしてその模様をお客さんに公開する,と(笑)。

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《16:00 展示室14》
金澤攝(Pf)
■ジャン・フランチェスコ・マリピエロ:秋の前奏曲
 Gian Francesco Malipiero: Preludi autunnali (1914)
金澤攝(Pf)、坂本久仁雄(Vn)
■ジャン・フランチェスコ・マリピエロ:はるかな歌
 Gian Francesco Malipiero: Canto della lontananza, per violino e pianoforte (1919)
前回の後悔を踏まえて、最前列ピアノ開口部あたりの最前列をキープ(といっても地べたに座り込んでるだけだけど)。残響よりも直接の音を聴けるよう試みたところ、バランスが丁度良く大正解! 曲自体も素敵です。コロコロと光の粒が弾けるよう。ジャン・フランチェスコ・マリピエロはイタリアの作曲家。2曲目のヴァイオリンとのデュオもいい曲でした。

《16:15 展示室12》
Troy Googins(Vn1)、Vaughan Hughes(Vn2)
■B.バルトーク:44の二重奏曲より
 B Bartok: from 44 Duos
■J-M.レクレール:ソナタ第5番
 J-M.Leclair: Sonata No.5
狭い室内になんとか入り込みました。グーギンズさんとヒューズさんのデュオは立ち位置が面白い。バルトークは部屋の対角どうしに立ち、レクレールでは室内中央に。ただし向かい合ったり背中合わせになったり。狭い室内だからこそのパフォーマンスですね。

《16:30 展示室11》
Simon Blendis(Lead&Vn1)、大隈容子(Vn1)、藤田千穂(Vn1)、大村俊介(Vn2)、原三千代(Vn2)、Gyozo Mate(Va)、Shinyoung Baik(Va)、早川寛(Vc)、Margarita Kalcheva(Cb)、藤井幹人(Trp)、谷津謙一(Trp)
■M.シャルパンティエ:テ・デウムより
 M.Charpentier: from Te Deum
■O.レスピーギリュートのための古い歌と舞曲第3番より
 O.Respighi: from Antiche arie e dance per liuto No.3
■J.クラーク:トランペット・ヴォランタリー
 J.Clarke: Trumpet Voluntary
広い室内での九重奏。トランペットの残響はかなり大きいのですが、なにか教会を思わせるような高貴で厳粛な気分を味わわせてくれました。もっとも、そんな厳粛な雰囲気を一挙に和ませる事態が発生。ひとりの幼女が、演奏が始まると同時に立ち上がり、満面の笑みで踊りだしたのです。そのシアワセな光景に聴衆はもちろん、演奏者の皆さんも思わず笑みがこぼれました。

《16:45 展示室9・10》
原田智子(Vn1)、江原千絵(Vn2)
■L.ベリオ:二重奏曲より
 L.Berio: from Duos
短い曲ばかりだったためか、人の出入りが激しく落ち着いて聴いていられませんでした。よく聴いてみるとそうとう上手だったのですが…

《17:00 展示室14》
金澤攝(Pf)、坂本久仁雄(Vn)
■オットマール・ゲルシュター:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
 Ottmar Gerster: Sonata fur violine and Klavier (1950/51)
金澤攝(Pf)
■オットマール・ゲルシュター:シルエット
 Ottmar Gerster: Silhouetten (1968)
金澤攝さんの3公演目。ヴァイオリンとピアノのためのソナタ。素晴らしい。オットマール・ゲルシュターの素性は不明なのですが、ドイツだろうなあ。きちんとしたソナタでした。最後の「シルエット」楽しい雰囲気で、どことなくジャズっぽく。

《17:15 展示室3》
Sungiun Kim(Vc)
J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BMV1009より
 J.S.Bach: from Suite No.3 in C major, BWV1009
やはりチェロ曲のド定番をこの空間で聴いてみたかったので。ただし、狭い室内の入口を覗き込むような形となり、音楽としては堪能できなかったかな。

《17:30 展示室4》
岡本えり子(Fl)、加納律子(Ob)、木藤みき(Cl)、渡邉聖子(Fg)、山田篤(Hr)
■D.アゲイ:5つのやさしいダンス
 D.Agay: Five Easy Dances
M.アーノルド:スリー・シャンティーズ
 M.Arnold: Three Shanties
一転して広い室内。木管五重奏が室内左奥の角に設置され、聴衆もなぜか近くには寄っていかないため、部屋の奥の方はすっかり空いています。ぼくは座り込んでいる聴衆の最前列にいましたが、それでも演奏者まで15メートルくらい離れている格好。この部屋での木管の響きもいい感じでしたね。

《17:45 展示室2》
松井直(Vn1)、上島淳子(Vn2)、石黒靖典(Va)、大澤明(Vc)
■W.A.モーツァルト弦楽四重奏曲 ト長調 K.387「春」より
 W.A.Mozart: from String Quartet in G major, K.387 "Spring"
■F.J.ハイドン弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品76 Hob.III-78「日の出」より
 F.J.Haydn: from String Quartet in B frat major, op.79, Hob.III-78 "The sunrise"
■D.ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「黄金時代」作品22aより ポルカ
 D.Shostakovich: Porka from "The Golden Age", op.22a
ラストはOEKの日本人エース級奏者たちによる弦楽四重奏。おなじみのモーツァルトハイドンも安らかに楽しめましたが、ショスタコ「黄金時代」のポルカ!これはいいですね。本来の管弦楽曲がピッツィカートを駆使した弦楽四重奏版に編曲され、技巧的でお茶目な雰囲気をおおいに楽しめました。なお、大澤さんとizumiさんは知己の間柄なので、演奏後、izumiさんを介してあいさつをさせていただきました。

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といった感じで怒涛の3時間が終了。お客さんも大勢訪れ、たいへん大盛況でした。公演をはしごして回るとか、まるでラ・フォル・ジュルネ金沢のような妙な高揚感とともに音楽に浸ったのでした。

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