かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

カケラ

どこか満たされない、何かが足りないと感じながら日々を過ごしている女子大生のハル。ボーイフレンドはいるけれど、会ってもセックスをするだけの関係。ある日ハルは、カフェで女の人から「素敵だね」と声をかけられます。彼女は病気や事故で失った身体のパーツをつくるメディカル・アーティストのリコ。「私はハルちゃんだから好きなんだよ。男も女もヒトでしょ。男だ、女だって思うから苦しくなるの」。ハルはそんなリコに安らぎを感じるようになり、次第に二人は親密な関係になっていきます。

満たされない心のスキマ。足りない部分を埋めるためのカケラ。そんなカケラを探して、あれこれ揺れる女の子の不安定な日々を描いた作品…なのかな。奥田瑛二さんの長女で26歳の安藤モモ子さんの初監督作品。女の子の微妙な気持ち、半信半疑な思いなどが正直にあらわれていて、とても興味深かったです(…とガーリームービーについて40過ぎのおっさんが感想を書いておりますw ましてや映画館に観に行くなんて珍しい?)。

ハル役の満島ひかりさんは評判に違わぬ演技力。開けっ放しでトイレをしたり、ムダ毛の処理がいい加減だったり、無防備な着替えシーンだったり、若い女性の(たぶん)リアルな日常を自然体で演じていました。そのおかげで、満たされない恋愛に物足りなさを感じる日々も説得力を持つのだと思います。リコ役の中村映里子さんは新人ということですが、こちらもよかった。確信的なピュアな姿勢とその裏に隠し持つ不安。そうした危うい均衡がきちんと感じられました。リコの顧客=身体の一部を失った女性を演じたかたせ梨乃さん。存在感がすごいです。さすがです。

人間同士の関係には、いろいろな考え方があるんだということが、最近ようやくわかってきました。本作におけるハルとリコの関係は、現象としては同性愛というかたちなのでしょうが、本作が同性愛を扱った作品でないのは明らか。足りないものを探し求めていたら、たまたま女性同士だったというだけのことなのでしょう。うーむ、おっさんのわりに物分かりがよすぎますかね(苦笑)。

★★★★

(2010/08/13@シネモンド)