かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い

18世紀後半。神父ロレンツォ・ダ・ポンテは愛欲と詩作の放蕩生活に明け暮れ、ベネチアを追放されてしまいます。サリエリを頼ってウィーンにわたったロレンツォは、新進気鋭の作曲家モーツァルトに出会い意気投合、劇作家としてモーツァルトにオペラ作品を提供します。

音楽も素敵。映像も素敵。歌手たちもホンモノですよ。さらにロレンツォと彼を取り巻く女性たち、モーツァルトの奔放さと苦悩、ウィーンの当時の風俗など、作品世界自体が綺麗で美しく、見ていてぽーっとなります。

本作でクローズアップされるのは「ドン・ジョヴァンニ」。ロレンツォが、稀代の色男と、放蕩三昧の自らを重ね合わせたかのように書き上げた作品。最後には悔い改めず地獄に堕ちるという結末は、当時の感覚ではまことに破廉恥で賛否両論あったようですが、ロレンツォは自虐かつ確信をもって提示するのです。

いい加減なやつだと最初は少々違和感を覚えていたロレンツォですが、最後のハッピーエンドは、ああ、よかったなあと思わせてくれました。…なんでかな? 彼の愛のあり方、覚悟というのがなんとなく伝わってきたからでしょうか。

★★★★

(2010/08/01@シネモンド)