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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

アシュケナージ×辻井伸行×OEK(2010/06/20)

いま最も旬なピアニスト=辻井伸行さんが、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝後、初めてOEKと共演。しかも指揮は巨匠アシュケナージ! 今後金沢ではおそらく二度と実現しないであろうこの組み合わせ。これは絶対聞き逃すまいと発売初日に電話攻勢でチケットを確保し、この日を迎えました。もっとも、実はこの公演は某新聞社の周年行事らしく、一般発売とは別に、相当多くの関係者が招待されていたもようです。うーむ、嫌な予感…。

1曲目。アシュケナージさんがスタスタと登場してきました。テレビで観ていた感じよりずっと小柄で少々びっくり。曲はメンデルスゾーン弦楽八重奏曲の弦楽合奏版。先日通常版の八重奏を聴いたばかりですが、今回はOEK弦楽セクション全員での合奏です。OEKは八重奏版の精緻なアンサンブルを損なうことなく、かつ、響きの厚みを増すことに成功。快活で輝かしいこの曲の躍動感を、今回また味わうことができました。アシュケナージさんの指揮は気取ったところがなく、動作が大きくてとてもわかりやすい。好きな曲をさらに豪華な気分で楽しめました。

続いていよいよ辻井さんの登場。好々爺然としたアシュケナージさんに手を引かれて、辻井さんが入場してきました。微笑ましくていい雰囲気ですね。というわけでショパンです。OEKによる集中力に満ちた重厚な前奏。辻井さんは自らのももを指で叩きながら、やがて首を振り始め、どんどん自分の世界へ没入していきます。そして独奏で激情が爆発。辻井さんのピアノとはかくもストレートに感情を表出するものだったかと。あるいはナイーヴな旋律はとことんナイーヴに。剛柔ともに情念のこもった演奏に感服しました。少々過剰に走るきらいはあるのかもしれませんが、ミスタッチもほとんどありません。真の実力者であることを実際に確かめることができたといえましょう。OEKの演奏も意外に骨太で、辻井さんのピアノに負けない、いい協奏だったと思います。万雷の拍手。

アンコールはショパンノクターン第8番とマズルカ第14番。ともにアシュケナージさんが辻井さんの手を取ってピアノ付近までエスコートノクターンの美しさにうっとりし、マズルカの歌心にしびれました。
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休憩を挟んで後半はベートーヴェン交響曲第4番です。これも若々しくハツラツとしたいい曲! 長めの沈鬱な序奏から一転、劇的に快活な主部へと移るところもばっちり決まりました。ここが最高! アシュケナージさんの指揮はあいかわらず明確。全体的にはわりとゆったりめのテンポで、腰の据わった演奏だったように思います。

アンコールはシベリウス。「テンペスト」第2組曲よりミランダ。それにしてもアシュケナージさんは、巨匠のわりに気さくで立ち振る舞いがお茶目ですね。人柄の良さがうかがい知れます。

た・だ・し…
不安は的中し、予想通り客層は最悪でしたorz 新聞社主催の音楽会は招待券をばら撒くため、ふだんクラシックを聴かない人が多く訪れます。そのこと自体は素晴らしいことなんですが、鑑賞マナーに無頓着すぎると思うんです。知らないのではなく無頓着。楽章間の拍手は、やがてこれはしない方がいいのかなとふつう気づくものだと思うのですが、結局最後まで毎回拍手が続きました(最後の最後にようやくアシュケナージさんが後ろ手で制しましたが)。あと、盛大な寝息。寝てもいいけど音はカンベンして欲しい。さらに最も許しがたいのは、途中再入場。途中退席はしかたないとしても、曲が続いているのに座席に戻ってくるのはいかがなものか。これは途中再入場を認めたスタッフが悪いと思います。

というわけで、演奏はよかったのに、集中して聴く環境になく、その点はまことに残念な音楽会でした。


ウラディーミル・アシュケナージ×辻井伸行×オーケストラ・アンサンブル金沢 金沢公演
Vladimir Ashkenazy x Nobuyuki Tsujii x Orchestra Ensemble Kanazawa
 
日時:2010年6月20日(日)15:00開演 Sunday, 20 June 2010 at 15:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ Vladimir Ashkenazy, Conductor
ピアノ:辻井伸行 Nobuyuki Tsujii, Piano
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
コンサートマスター:マイケル・ダウス Micheal Dauth, Concertmaster

メンデルスゾーン F.Mendelssohn
 弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20(弦楽合奏版)
 Octett for string in E-flat major, op.20 (String Orchesra Version)

ショパン F.Chopint
 ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
 Piano Concerto No.1 in E minor, op.11
 ~ピアノ:辻井伸行 Nobuyuki Tsujii, Piano

(アンコール Encore)
ショパン F.Chopint
 ノクターン 第8番 変ニ長調 作品27-2
 Nocturne No.8 in D-flat major, op.27-2
 マズルカ 第14番 ト短調 作品24-1
 Mazurka No.14 in G minor, op.24-1
 ~ピアノ:辻井伸行 Nobuyuki Tsujii, Piano

--- 休憩 Intermission ---

ベートーヴェン L.v.Beethoven
 交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
 Symphony No.4 in B-flat major, op.60

(アンコール Encore)
シベリウス J.Sibelius
 付随音楽「テンペスト」第2組曲 作品109-3 より ミラン
 "The Tempest" suite No.2, op.109-3 - Miranda