かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【LFJ金沢2010】ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2010 ~ショパン,ジェネラシオン1810~ 第3日目(2010/05/05)

ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2010
ショパン,ジェネラシオン1810~
LA FOLLE JOURNEE de KANAZAWA 2010 - CHOPIN et la generation 1810
第3日目(2010/5/5) the 3rd day (5 May 2010)
LFJ金沢もついに最終日。この日は午後から最後まで綱渡り的なスケジュールを組んでいます。会場間ダッシュもまたLFJの醍醐味?

《無料エリアイベント》
11:00 @金沢フォーラス6階 KUUGOスクエア
 アビゲイル・ヤング(Vn) 江原千絵(Vn)
 ダニール・グリシン(Va) マルタ・スドラバ(Vc)

 メドレー(メンデルスゾーンシューマン/リスト/ショパン

12:30 @JR金沢駅コンコース
 石川県高校選抜吹奏楽
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13:00 @もてなしドーム(JR金沢駅東口横)
 スキヤキ・スティール・オーケストラ
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金沢フォーラスの弦楽四重奏はOEKの精鋭メンバー。コンマスのヤングさんに第2ヴァイオリン首席の江原さん、ヴィオラとチェロはともにクレメラータ・バルティカの首席奏者でOEKに1年に数ヶ月来てくれます。特にスドラバさんは長身で美人で超人気です。メンデルスゾーンシューマン、リスト、ショパンそれぞれのメドレー曲を華やかに。

石川県高校選抜吹奏楽団も元気があってひじょうによかった。LFJ金沢待望のスティールパンオーケストラは、お隣富山県の南砺(なんと)市からの参戦。ラ・フォル・ジュルネの発祥はフランス・ナント市だけにいいご縁です。来年以降も継続参加希望!



《公演番号 323》小曽根真×アナ・マリア・ヨベック
2010年5月5日(水・祝)14:15開演 石川県立音楽堂邦楽ホール
Wednesday, 5 May 2010 at 14:15 Ishikawa Ongakudo Hougaku Hall

ピアノ:小曽根真 Piano: Makoto Ozone
歌:アナ・マリア・ヨベック Chant: Anna Maria Jopek

ショパンの作品に基づく即興演奏
 Improvisations on the thema of Chopin

 ○マズルカ 第13番 イ短調 作品17-4
  Mazurka No.13 A minor Op.17-4

 ○マズルカ 第24番 ハ長調 作品33-3
  Mazurka No.24 C major Op.33-3

 ○ノクターン 第2番 変ホ長調 作品9-2
  Nocturne No.2 E-flat major Op.9-2

 ○ワルツ 変ニ長調 作品64-1(小犬のワルツ)
  Waltz in D-flat major Op.64-1 (Minute Waltz)

ショパン/ヨペック編曲 F.Chopin/Jopek
 「ドゥムカ」(あるべきものもなく)
 Dumka

(アンコール Encore)
ショパン/ヨペック編曲 F.Chopin/Jopek
 「マズルカ 嬰ハ短調 作品6-2」によるポーランド風歌曲
 Polish folk song arranged from "Mazurka in C-sharp minor Op.6-2"
1階席右端前から8列目。
曲目はプログラムの順番と違っていましたので、「OEKfan」さん(いつも拝読しています)の演奏会レビューを参考にして記載しました。
http://oekfan.web.infoseek.co.jp/review/2010/lfjk2010/0505.htm

というわけで、最終日有料公演は小曽根さんのショパンからスタート。小曽根さん自らによるMCを交えながら、ショパンの作品に基づく即興演奏を次々と披露していきます。いやあ、どれも惹きこまれました…。

特に胸がざわついたのはマズルカ。小曽根さんもマズルカがお気に入りのもよう。「マズルカ」とはショパンの祖国ポーランドの民族舞踊の形式で、4分の3拍子の1拍めに付点、第2または第3拍にアクセントがつく独特なリズムが特徴とのこと。正直、予習的にCDを聴いていたときには、マズルカでそんなにピンと来たことはなかったのですけど、小曽根さんの演奏は、躍動感がすごいんです。心の底から踊り出したくなるような感覚。そしてそれが溢れ出て抑えられない感覚。まさに舞曲でした。

ノクターン2番も子犬のワルツも、小曽根さんにかかるとキラキラ度がハンパない。楽しいーー♪♪♪

続いて、ポーランドのシンガー、アナ・マリア・ヨベックさんが登場。小曽根さんと掛け合いでショパンの歌曲を唄います。これがまた胸を騒がせる演奏。ヨペックさんの哀愁を帯びた歌声はポーランド民族の哀しみか。さらに、曲名不明ですが、マズルカ風の舞曲では凄いステージを目の当たりにしました。…いま思い出しても胸が熱くなるほどの。なにか心の底から踊り出したくなるような…といってもそれは必ずしも底抜けな歓びなどでは決してなく、どこか根底に哀しみを湛え、せめて踊らずにはいられないという突き動かされるような激情。ヨペックさんはドレスを翻し、足を踏み鳴らしながら、ピアノの周りを移動していきます。小曽根さんもヨペックさんから目を離さず、その振り絞るような歌声に呼応してリズムを刻んでいきます。これは凄まじかった。



《公演番号 313》エル=バシャ/パキスエ/井上OEK
2010年5月5日(火・祝)15:30開演 石川県立音楽堂コンサートホール
Wednesday, 5 May 2010 at 15:30 Ishikawa Ongakudo Concert Hall

指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
ヴァイオリン:レジス・パスキエ Violin: Regis Pasquier
ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ Piano: Abdel Rahman El Bacha
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa

ショパン F.Chopin
 演奏会用ロンド ヘ長調 作品14 「クラコヴィアク」
 Krakowiak, grand rondo de concert in F major Op.14
 ~ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ Piano: Abdel Rahman El Bacha

メンデルスゾーン F.Mendelssohn
 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
 Violin Concerto in E minor Op.64
 ~ヴァイオリン:レジス・パスキエ Violin: Regis Pasquier

(アンコール Encore)
 曲目不明
 (「OEKfan」さんによるとジャズ・ヴァイオリニスト、シュテファン・グラッペリの曲)
2階右バルコニー席、前から2ブロック目の後列。
意外なことに井上さん指揮の公演は本祭初鑑賞。やはりミスターLFJKは外せない!!
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エル=バシャさんは2年前のLFJ金沢ベートーヴェンを聴きましたがそのとき以来。今回も力みのない軽やかな演奏で楽しませてくれました。

メンコンは個人的にいちばん好きな曲かもしれない。ソリストのヴェテラン、パスキエさんは、第1楽章は楽器が鳴ってなくてかなり危うい感じだったんですが、第2楽章あたりから雰囲気が感じられてきました。そして第3楽章では、井上さんと対峙すると互いに笑顔で身を躍らせながら、熱く激しい独奏を披露。心躍るフィナーレを迎えました。

座席もよかった。バルコニー席も2階の前から2ブロック目までだと結構見やすいことがわかりました。今後活用していこうと思います。前方のバルコニー席では、殿様・前田実行委員長が鑑賞。スタンディングオベーションで演奏を讃えていました。井上マエストロも実行委員長の姿を見つけて最敬礼(笑)。



《公演番号 334》ライプツィヒ弦楽四重奏団
2010年5月5日(火・祝)16:30開演 金沢市アートホール
Wednesday, 5 May 2010 at 16:30 Kanazawa Art Hall

ライプツィヒ弦楽四重奏団 Quartuor Leipzig

メンデルスゾーン F.Mendelssohn
 弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品13
 String Quarter No.2 in A minor Op.13

シューマン R.Schumann
 弦楽四重奏曲 第1番 イ短調 作品41-1
 String Quarter No.1 in A minor Op.41-1
右ブロック前から2列目の通路側。
個人的には本祭唯一の弦楽四重奏。唯一のアートホール。前公演が少し長引いたものの、終演後ダッシュでたどり着くと、少々開演時間を遅らせていてくれたため、滑り込みセーフ。最初から聴くことができました。

果たして演奏は極上。2つのイ短調という重厚なプログラムを、重厚なまま直球で提示してきます。しかも(少なくとも素人目には)1点の綻びもなく精緻なアンサンブルが奏でられるのです。迂闊に楽章間で拍手をしたお客さんに対しては、即座にリーダーが毅然とこれを制するなど、絶えず集中力を維持。終始妥協を許さない緊張感あふれる演奏に、名門ゲヴァントハウ管弦楽団の元首席奏者で構成されたという彼らのプライドが垣間見えました。



《公演番号 314》ヌーブルジェ×スウェンセン&パリ室内管
2010年5月5日(火・祝)18:00開演 石川県立音楽堂コンサートホール
Wednesday, 5 May 2010 at 18:00 Ishikawa Ongakudo Concert Hall

指揮:ジョセフ・スウェンセン Conductor: Joseph Swensen
ピアノ:ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ Piano: Jean Frederic Neuburger
管弦楽:パリ室内管弦楽団 Ensemble Orchestral de Paris

メンデルスゾーン F.Mendelssohn
 交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」
 Symphony No.4 in A major Op.90 "Italia"

シューマン R.Schumann
 ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
 Piano Concerto in A minor Op.54
 ~ピアノ:ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ Piano: Jean Frederic Neuburger

(アンコール Encore)
ショパン F.Chopin
 エチュード Etude
2階中央ブロック後ろから2列目。
パリ室内管はOEK設立の際モデルになったフランスの室内オケ。OEK会員としては、いわば本家というべきこのオケはぜひ聴かずにはいられますまい。本祭最終公演、さらにヌーブルジェ人気も手伝って、ステージ席が設けられるほどの人気公演となっていました。

まずは「イタリア」。最初の一音からおおっと目を瞠るほど音が素晴らしく鳴っています。人数の割りに弦の厚みがあり、さらに管がきっちりしていて気持ちいい。スウェンセンさんの全身を使った指揮もわかりやすくて好感。1楽章終わりに、他会場からの移動客の途中入場待ちのため数分間中断するアクシデントがあったのですが、スウェンセンさんは心安く手招きをして、険悪になりそうなムードをさっと笑いに変えてくれました。

…と思いきや、ぼくの周りでは、不快な物音が耳元を侵略して来ました。5、6席隣のおっさんが、プログラムの紙を丸めたり伸ばしたりガサコソうるさくて仕方ないのです。隣に座っていたら確実に注意するレベル。しかし人見知りでヘタレなぼくは、席をまたいで注意するほどの勇気はありません。おっさんは自席からぐっと身を乗り出して聴いているところを見ると(これも後部座席の人からすると視線を遮るマナー違反ですが)、決して演奏に飽きているわけでもなく、悪気はなさそうだから始末が悪い。結局集中できないまま演奏は終了。それはシューマンのコンチェルトになっても変わりませんでした。きーーーーっ!!!

シューマンのピアノ協奏曲については、雑音があったということもありますが、あまりピンときませんでした。もともとこの曲にはなじみがなく、ちょっとまだ心に入ってこない。ヌーブルジェ青年のピアノは昨年のLFJKハイドンモーツァルト、バッハを聴き、そのときは詩的な叙情性に感激しましたが、今回はちょっとこれといった印象がないのです。曲のせいなのか、彼の演奏のせいなのかは判然としませんが(なにせ雑音が…)。



《クロージングコンサート Closing Concert》
2010年5月5日(火・祝)19:15開演 石川県立音楽堂交流ホール
Wednesday, 5 May 2010 at 19:15 Ishikawa Ongakudo Interchange Hall

ピアノ:小曽根真 Piano: Makoto Ozone

指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
ピアノ:ブリジット・エンゲラー Piano: Brigitte Engerer
ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ Piano: Abdel Rahman El Bacha
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa

ショパンの作品に基づく即興(独奏)
 Improvisations on the thema of Chopin
 ~ピアノ:小曽根真 Piano: Makoto Ozone

ショパン F.Chopin
 「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲 変ロ長調 作品2
 Variations in B-flat major on La ci darem from Mozart's Don Giovanni, Op.2
 ~ピアノ:ブリジット・エンゲラー Piano: Brigitte Engerer

ショパン F.Chopin
 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22
 Andante spianato et Grande Polonaise brillante in E-flat major, Op.22
 ~ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ Piano: Abdel Rahman El Bacha
少々個人的には残念な最終公演を聴き終え、いざクロージングコンサートへ。アンコールまで律儀に聴いたため(これはわりと素直に綺麗だと思った)、立ち見は覚悟していましたが、今年は座席を最大限に用意してくれたようで、八角ステージの左脇(上手)ですが、5~6列目あたりにいちおう座席を確保することができました。オケを真左からながめる形になります。

まず最初に小曽根さんがひとりで登場。ショパンマズルカ?を軽やかに演奏。ああ、さきほどのようすが再現されて心揺さぶられます。

続いてはOEKが壇上に上がり(その前にステージマネージャーが楽譜交換に壇上に上がった際に拍手が起きるなど、聴衆もハイテンション状態ww)、井上さんとともにエンゲラーさんが登場。昨日のマンゴーヴァさんほどではありませんが、パワフルなボディーでドン・ジョヴァンニの変奏曲を演奏。

最後はエル=バシャさん。本公演のときと同様に気負わない態度は変わらず、リラックスしてやわらかく軽快でやさしいピアノを聴かせてくれました。

全曲が終わってカーテンコール。本祭のプロデューサー、ルネ・マルタン氏が井上さんによって壇上に上げられました。そして挨拶の中で来年のラ・フォル・ジュルネ金沢のテーマを電撃発表!!題して「ウィーンのシューベルト」!! おおー! 東京ではブラームスと聞いたけど、金沢ではシューベルトですか! しかも「ウィーンの」と付くだけにベートーヴェンなども取り上げられる見込み。OEKの活躍の場も広がりますね。

最後は井上さんが「終わりだー!!」と叫んでバンザイしながら去っていきました。

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祭りの終わり。

今年もなんだかんだと満喫できましたね。
来年のシューベルトでまた逢いましょう。