かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期279PH】佐藤しのぶ「蝶々夫人」(2010/04/04)

今回の定期公演は、ソプラノ歌手の佐藤しのぶさんを招いて、プッチーニ蝶々夫人」のハイライトが演じられます。指揮は現田茂夫さん。佐藤しのぶさんとご夫婦だったのですね。初めて知りました。

蝶々夫人」のほかには、前半はプッチーニ管弦楽曲と、イタリア・オペラのアリアが披露されました。オペラ・アリアでは佐藤しのぶさんがやはり素晴らしい。前の方の座席なので姿もばっちり見えるのですが、この人何歳なんだと思うくらい若々しく美しい。

あとはプッチーニの「菊」ですね。この曲は安永徹さん(ベルリンフィルコンサートマスター)の弾き振りによる昨年の定期公演で、アンコール曲として弦楽合奏版をはじめて聴きました。そして、数日後の安永さんたちの室内楽で弦楽五重奏版を聴き、その美しく哀しい曲に感動していました。今回、再び聴く機会を得て、やはり名曲だなあとしみじみしてしまいました。

さて、後半はお待ちかねの「蝶々夫人」です。蝶々役の佐藤さんは友禅風の絵柄をあしらったロングドレス。侍女スズキ役は井戸さんが演じます。この2人の登場シーンから名場面を抜粋。「ある晴れた日に」は相当早い段階で披露されました。ピンカートンが長崎に帰ってくることを信じて待つ希望いっぱいの歌。さすが佐藤さんの高音は無理なく伸びやかです。やがてピンカートンが別の女性を伴って長崎に戻ってきました。部屋いっぱいに花を撒いて待っていたのに、あまりの仕打ちに愕然とする二人(このときのスズキ役の方、味わいがあってとっても良かったです)。蝶々夫人は幼いわが子をスズキに託し、自らの命を絶つのでした。まったくもって日本人の琴線に触れる展開を、佐藤さんが切なくも決然と歌い上げます。さすがにぐっとくるものがありました。

やはり「蝶々夫人」は日本が舞台で日本人が主役のオペラですから、蝶々夫人の役だけは日本人で見てみたいですよね。その意味では佐藤さんは最高のキャスト。佐藤さん自身の会場全体を惹きつける圧倒的な存在感、スター性にも、あらためて感服いたしました。


オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第279回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 279th Subscription Concert / Philharmonie-serie

日時:2010年4月4日(日)15:00開演 Sunday, 4 April 2010 at 15:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
ソプラノ:佐藤しのぶ Soprano: Shinobu Sato
アルト:井戸靖子 Alto: Yasuko Ido
指揮:現田茂夫 Conductor: Shigeo Genda
コンサートマスター:サイモン・ブレンディス Concertmaster: Simon Blendis

プッチーニ G.Puccini (1858-1924)
 交響的奇想曲
 Caproccio sinfonico

■チレア F.Cilea (1866-1950)
 歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」より
 「前奏曲」「私は芸術の召使です」「苦い喜び、甘い苦しみ」
 from opera "Adriana Lecouvreur"
 - "Preludio" "Io son l'umile ancella del Genio creator" "Acerba volutta dolce tortua"
 
プッチーニ G.Puccini (1858-1924)
 菊
 Crisantemi

ヴェルディ G.Verdi (1813-1901)
 歌劇「トロヴァトーレ」より
 「ジプシーらの合唱とカンツォーネ」「炎は燃えて」「穏やかな夜には」
 from opera "Il Trovalore"
  - "Coro di Zingari e Canzone" "Stride la vampa" "Tacea la monte placida"

休憩 Intermission

プッチーニ G.Puccini (1858-1924)
 歌劇「蝶々夫人」より
 from opera "Madama Butterfly"