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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

色即ぜねれいしょん

みうらじゅん氏といっても「タモリ倶楽部でエロ企画に出る人」「いとうせいこう氏を連れて仏像見学に行く人」「やたらとコレクションがすごい人」という断片的な印象しかありません。そんなみうら氏の自伝小説が原作と聞いて、エロくてアホアホなコメディ映画かな~となんとなく想像。その先入観のまま気楽に観に行ったところ・・・。意外にもストレートな青春成長物語でびっくり。いい意味で期待を裏切られました。

舞台は1974年の京都。ボブ・ディランに憧れつつも、仏教系高校でヤンキーにも体育会系にもなれない文科系男子が主人公(=モデルはみうら氏)です。フリーセックスを期待して友人とともに出かけた隠岐島の旅。女子大生のオリーブや、ユースホステルヒゲゴジラら、ちょっと大人なひとたちと出会いと別れ。そんな夏の日々を経て、日々悶々としていた主人公は、たしかに何かを感じ、成長していたのでした。

クライマックスは文化祭のライブシーン。それまでこれって演技?というくらいに純朴な自然体で主人公を演じていた渡辺大知くんが、ステージ上でまさかのロックな豹変ぶり。これにはまったく度肝を抜かれました。聞けば渡辺大知くんは、現役高校生でありながらパンクバンド「黒猫チェルシー」のヴォーカリストとのこと。これは一本取られました。歌はオテノモノだったのですね。逆に言えば、地の部分の演技が素晴らしいと。

近年の文科系男子青春映画としては、より僕の世代に近い「グミ・チョコレート・パイン」(レビュー未執筆)がありますが、これは大人になった主人公が高校時代を振り返っているという構成のせいもあり、当時のほろ苦さが思い出される仕上がりになっていました。これに対し、本作「色即ぜねれいしょん」は、主人公が殻を破る成長過程が微笑ましく描かれ、希望が垣間見えるすがすがしい作品でした。両者甲乙付けがたく、文科系男子青春映画の双璧をなすといえましょう。

(2009/10/09@シネモンド)

★★★★

4334742769色即ぜねれいしょん (光文社文庫)
光文社 2007-07

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