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かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

扉をたたく人

ピアニストの妻に先立たれ、惰性の日々を送っている大学教授のウォルター。他人から距離を置き、講義は毎年使いまわし、妻を偲ぼうとはじめたピアノのレッスンもうまくいきません。ある日ニューヨークの別宅で、ひょんなことからシリア人とセネガル人の移民カップルに遭遇。行くあてのない二人をしばらく住まわせることに。シリア人青年のタレクは「ジャンベ」というアフリカンドラムのミュージシャン。ジャンベのリズムに魅せられたウォルターは、タレクからジャンベを教わり、友情を深めていきます。ところが、ささいな誤解からタレクが警察に逮捕され、やがて不法滞在の疑いで入国管理局に拘置されてしまいました。タレクを自由の身にすべく奔走するウォルター。そこへ息子の身を案じたタレクの母親が訪ねてきます。

無気力な初老男性が、移民青年に出会って自らの殻を破っていく前半。ウォルターが徐々に心を開いていくさまが微笑ましく、しみじみと温かいです。タレクが、ジャンベを通してウォルターの扉をたたいたのです。公園でのドラム・セッションは生命力がみなぎり、ウォルターの精神が解放されていくのが実感できました。ところがタレクが逮捕されてからの後半は一転。9.11以降、不寛容に転じた米国の移民政策により、入国管理は厳格になっていました。米国の扉をたたいても容易に開けてはくれません。それでもウォルターは、いままで自分は「働いているふり」「忙しいふり」をしていただけだとタレクの母親に告白し、タレクの解放に心を砕きます。

このタレクの母親とウォルターがなんかよさげな関係になっていくのは少々どうかな??という感じもないではないですが、ともにタレクの拘置に負い目のある者どうし。シンパシーから出た感情と理解すべきでしょうかね。

そうして迎えたラストシーン。これは秀逸。強烈に印象に残ります。ウォルターのやり場のない怒り、やりきれなさ、無力感といった複雑な感情が、ひしひしと胸に響いてきます。一見地味ですが、とても見ごたえのある作品でした。

間もなくDVDリリース!

B002QBT2UK扉をたたく人 [DVD]
東宝 2009-11-20

by G-Tools


(2009/10/06@シネモンド)

★★★★