かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

九月大歌舞伎「浮世柄比翼稲妻」(2009/09/26@歌舞伎座)

浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)

【出演】
「鞘當」
不破伴左衛門:松緑
名古屋山三:染五郎
茶屋女お京:芝雀

「鈴ヶ森」
幡随院長兵衛:吉右衛門
飛脚早助:家橘
北海の熊六:桂三
東海の勘蔵:由次郎
白井権八:梅玉


日曜日に仕事の予定があったため、前日の土曜日に東京入り。ということで、上京恒例の歌舞伎座幕見見物であります。夕方6時に約束があったので、夜の部1幕目「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)」のみの鑑賞でした(ホントはその後の「勧進帳」も観たかったのですが)。この日は九月大歌舞伎の千秋楽。幕見席の順番待ちも大賑わいでした。1時間半くらい並んで入場。最前列最上手の座席を確保して上演を待ちます。


「浮世柄比翼稲妻」は四世鶴屋南北の作。因州鳥取藩のお家騒動に端を発する物語で、全9幕あるのですが、現代の歌舞伎ではこの「鈴ヶ森」「鞘當」の2幕を独立して上演するのがほとんどだとのこと。

「鞘當」は、吉原で刀鞘が触れ、刀を抜き合った2人の浪人の話。実はこの2人こそ藩乗っ取りを企んだ不破伴左衛門とその宿敵名古屋山三。互いに菅笠を取り、斬り結ぶ2人の様式美がオモシロい。伴左衛門役の松緑さんの声が通って気持ちいいです。

「鈴ヶ森」は、鳥取藩士を斬って出奔した白井権八の話。お尋ね者となった権八は品川近くの刑場「鈴ヶ森」で雲助たちに襲われますが、権八はこれらを皆斬り捨てます。するとその場に居合わせた侠客の幡随院長兵衛はその手腕におおいに感服し、江戸で権八を匿うと約するのでした。権八に斬り捨てられる雲助たちの描写は、コミカルに処理されていますけど、実は残酷ですよね。あと興味深かったのは、雲助たちを返り討ちにした権八が幡随院長兵衛に誉めそやされて語った台詞。「雉も鳴かずば討たれまいに…」。おお、この台詞はコレがルーツだったのですね。幡随院長兵衛は最後に粋な計らいをするのですが、さすが吉右衛門さん、バッチリ決まってました。カッコいいことこの上なし!