かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期263PH】ピヒラー先生のモーツァルト&R.シュトラウス

いまぼくの仕事は年に1度のピークなのですが、せっかくのOEK公演は何としても聴きたいものです。どうにか都合をつけて(他の人にまるまる託して)音楽堂に駆けつけました。プレコンサートも少し遅れましたが聴けました。第1ヴァイオリン奏者の原田智子さんがハープの方と共演していました。

本日の指揮はギュンター・ピヒラーさん。昨年惜しまれつつ活動を終えたアルバン・ベルク四重奏団のリーダーヴァイオリンにして、OEKの名誉アーティスティック・アドヴァイザー。ウィーン音楽大学教授の顔を持ち(ピヒラー先生!)、OEK第2ヴァイオリン奏者の竹中のりこさんが、現在彼の元で研鑽を積んでいらっしゃいます。そんなウィーン音楽大学教授のピヒラー先生が指揮を振る今回のプログラムは、モーツァルトR.シュトラウス。さすがウィーンですね! しかも、管楽器8人→オケ+ホルンソロ→弦楽器23人という室内オケらしい機動性に富んだ編成であります。

まずはモーツァルトのセレナーデ12番「ナハトムジーク」。オーボエクラリネットファゴット、ホルン各2の計8人による管楽合奏です。モーツァルト短調らしく、テンポは軽快ながらも沈鬱な緊張感が漂い、時に劇的な世界が広がる名曲です。各メンバーの演奏も美しく、苦言を呈することが多いホルンも本日はばっちり決まっていました。

次はR.シュトラウスのホルン協奏曲第1番。ソリストはラドヴァン・ヴラトコヴィッチさん。この人の演奏がとにかくすごかった! こんな伸びのある気持ちのいいホルンは初めて聴きました。名人というのはいるものですね~。なお、ぼくの座席は1階の前の方なのですが、今回のホルンは2階席か3階席のほうが、ホルンの音が上方に回りこんで上から降ってくるような感覚があったかもしれないな~と想像してみたり。聴衆の拍手も盛大で、アンコールはなんとモーツァルトのホルン協奏曲第3番から第3楽章。カーテンコールが何度も繰り返されました。

後半はR.シュトラウスの「メタモルフォーゼン(変容)」。今度はヴァイオリン10、ヴィオラ5、チェロ5、コントラバス3の計23人による弦楽合奏です。輝かしい明るさを楽しんだホルン協奏曲を挟んで、また静謐、重厚で悲劇的な曲調です。ヤングさん、カンタさんをはじめ、各人が奏でるパートは切なくも明快。そしてそれらが幾重にも重なって紡ぎだされていく悲愴的な世界。なんと敬虔で荘厳なことでしょうか。極弱音で迎えたラストのあと、ホールに数秒にわたる沈黙が広がり、やがてわきあがる万雷の拍手。この瞬間は感動的でした。コンマスのヤングさんは、疲労困憊というか放心状態というか、吹き出る汗をぬぐいながらなにか燃え尽きたような表情をしていらっしゃいました。演奏後の爽快感というのではなく、魂を抜かれたような虚脱的な表情。それが強烈に印象に残っています。

オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第263回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 263th Subscription Concert / Philharmonie-serie

日時:2009年6月26日(金)19:00開演 Friday, 26 June 2009 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:ギュンター・ピヒラー Conductor: Gunter Pichler
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング Concertmaster: Abigail Young

■ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト W. A. Mozart (1756-1791)
 セレナード 第12番 ハ短調 K. 388 (384a) 「ナハトムジーク」
 Serenade No. 12 in C minor, K. 388 (384a) "Nachtmusik"

  第1楽章 アレグロ ハ短調
  1st. Mov. Allegro in C-minor
  第2楽章 アンダンテ 変ホ長調
  2nd. Mov. Andante in E-flat major
  第3楽章 メヌエット・イン・カノーネ ハ短調
  3rd.Mov. Menuetto in Canone in C-minor
  第4楽章 アレグロ ハ短調
  4th. Mov. Allegro in C-minor


リヒャルト・シュトラウス R. Strauss (1864-1949)
 ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11
 Horn Concerto No. 1 in E-flat major, Op. 11

  第1楽章 アレグロ 変ホ長調
  1st. Mov. Allegro in C-flat major
  第2楽章 アンダンテ 変イ短調ホ長調変イ短調 三部形式
  2nd. Mov. Andante in A-flat minor - E major - A-flat minor / Trrio
  第3楽章 ロンド:アレグロ 変ホ長調 
  3rd.Mov. Rondo: Allegro in C-flat major

  ~ホルン独奏:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ
   Horn: Radovan Vlatkovic


(アンコール Encore)
■ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト W. A. Mozart (1756-1791)
 ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K. 447 より 第3楽章 ロンド:アレグロ
 Horn Concerto No. 3 in E-flat major, K. 447 - 3rd. Mov. Rondo: Allegro

  ~ホルン独奏:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ
   Horn: Radovan Vlatkovic


---休憩---


リヒャルト・シュトラウス R. Strauss (1864-1949)
 メタモルフォーゼン[変容](23の独奏弦楽器のための習作)
 Metamorphosen, study for 23 solo strings