かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

OEK第8回北陸新人登竜門コンサート

北陸3県にゆかりのある若手有望音楽家がOEKと共演するコンサート。今年は弦楽器からコントラバス岡本潤さん、ハープの平尾祐紀子さん、チェロの香月圭佑さんの3名が登場します。個人的にこのコンサートは昨年に続き2度目となります。全席自由席なので当日券を購入して入場。いちばん好きな2階最前列を確保してゆったりと楽しみます。

3人の登場の前に、まずは過去にOEKがロジェ・ブトリーさんに委嘱して作曲された「Urashima」という曲が演奏されました。前に井上さんが話していましたが、現代曲を初演するのも必要だけど、1度演奏してそれっきりではなく、いいものは再演することも大事だと。浦島太郎の童話をモチーフとしたこの曲は、なるほどわかりやすく親しみやすい曲でした。曲の流れにそって物語のイラストをスライドに映し出していましたが、これはおそらく井上さんの発案なのでしょう。

さていよいよ若手音楽家の登場。まずはコントラバス岡本潤さんによるクーセヴィツキーのコントラバス協奏曲です。ぼくは当然この曲は知りませんでしたが(作曲家すら知らない)、ひじょうに流麗でカッコいい曲でした。なんといってもコントラバスの音色! コントラバスからこんなにも美しく艶のある高音が出るのをはじめて知りました。それをゆうゆうと弾きこなす岡本さんですが、まだ二十歳だとのこと。なんとも将来有望な若者です。

続いてはハープの平尾祐紀子さん。ピエルネのハープ小協奏曲。この曲も(作曲家も)初耳です。というか、ハープの独奏をまともに聴いたことすらないのですが…。ぼくの席からだと、ステージ中央に設置されたハープを正面上方からに見下ろす格好となります。こんなアングルで見られることは滅多にありませんが、透明感のある第一音が聴こえてきますと、音がまさに天にのぼって捧げられていく感覚があって、なかなか感動的でした。平尾さんは純白のドレスで演奏。優雅で気品あふれるハープの音色にうっとりしました。平尾さんはお姿も美しく、見目麗しゅうございました。

最後はチェロの香月圭佑さん。愛くるしいどっしりボディはまるでOEK大澤さんの弟分のようです。曲はサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番。ようやく知ってる曲が登場しました。第1楽章と第3楽章にあらわれる勇壮な主題がお気に入りです。香月さんはこの3人の中では最年長だけあってか、さすがに立派な演奏でした。特に、甘く聴かせる歌謡旋律は情感が溢れていてよかったです。


オーケストラ・アンサンブル金沢
第8回北陸新人登竜門コンサート【弦楽器部門】

日時:2009年5月17日(日)15:00開演
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
指揮:井上道義 Conductor: Michiyoshi Inoue
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
コンサート・マスター:サイモン・ブレンディス Concertmaster: Simon Blendis

■ロジェ・ブトリー R. Boutry (1932-)
Urashima~8世紀の日本の伝説による(OEK委嘱作品)
Urashima - Dapres une legende japonaise du VIIIeme siecle -

■セルゲイ・クーセヴィツキー S. Koussevitzky
コントラバス協奏曲 嬰ヘ短調 作品3
Contrabass Concerto No. 3 F-sharp minor Op. 3
コントラバス岡本潤 Contrabass: Jun Okamoto

---休憩---

■ガブリエル・ピエルネ G. Pierne (1863-1937)
ハープ小協奏曲(ハープと管弦楽のためのコンチェルト・シュティック) 作品39
Concertstuck pour harp et orchestra Op. 39
~ハープ:平尾祐紀子 Harp: Yukiko Hirao

カミーユ・サン=サーンス C. Saint-Saens (1835-1921)
チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33
Cello Concerto No. 1 a-minor Op. 33
~チェロ:香月圭佑 Cello: Keisuke Katsuki