【OEK定期259PH】下野竜也マエストロ「ウィーン懐古」
この日のOEK定期公演は「ウィーン懐古」と題して、読売日本交響楽団の正指揮者・下野竜也さんが指揮を振ります。ただしウィーンといっても、ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンといった18世紀末から19世紀にかけてのウィーン古典派ではありません。20世紀初頭のウィーンで先進的な作曲活動を行い、「新ウィーン楽派」と称されたシェーンベルクとウェーベルン、および彼らより少し前の時代に、ウィーンにオペレッタを持ち込んだスッペの曲をとりあげます。下野さんがOEK定期公演に初登場したのは2007年5月。岩城さんが予定していたオール・ベートーヴェン・プログラムの代役でしたが、今回はご自身による選曲だそうです。実験的・哲学的なシェーンベルク、ウェーベルンと、大衆的オペレッタのスッペ。コンサートであまり演奏されることのない、いかにも意欲的なプログラムではありませんか。僕としても、スッペの序曲集だけは入手して予習しましたが、シェーンベルク、ウェーベルンは初めて聴くことになりました。
なおプレコンサートは、ヴォーン・ヒューズさん(Vn)、石黒靖典さん(Va)、大澤明さん(Vc)による弦楽三重奏で、ハイドンとモーツァルトでした。こちらは慣れ親しんだウィーン古典派。リラックスして楽しめました。
さて1曲目です。ウェーベルン編曲による、J. S. バッハ作曲「音楽のささげもの」より「6声のリチェルカーレ」。リカルチェーレというのは、冒頭に提示された主題が別のパートにて次々と模倣される様式で、フーガの原型とされるもの…だそうですが、いまひとつ追いきれませんでした(汗)。ただ、金管が思いのほか目立ち、バッハとは趣きがかなり異なるということは確かに感じられました。
2曲目はシェーンベルクの室内交響曲第2番。プレトークで池辺晋一郎先生から説明があったとおり、室内オーケストラであるOEKの楽団編成にぴったりハマる曲です。その特性を活かす狙いなのか、終始丁寧なアンサンブルが展開されました。特に第1楽章なんかは前衛音楽的風味の度合いがわりと濃い楽想だと思うのですが、さほど気難しく感じるようなこともなく、やさしい気分で聴くことができました。
休憩を挟んで後半はスッペの序曲から4曲。カンタさんのチェロ・ソロが甘く響く「ウィーンの朝、昼、晩」序曲に、ギター伴奏が印象的な「怪盗団」序曲。「美しきガラテア」序曲ではホルンの咆哮が決まり、「スペードの女王」序曲で壮大にフィナーレ。いずれも楽しい演奏で、無名曲ながら充分堪能できました。プレトークによれば、下野さんはこの4曲をあたかも4楽章からなるひとつの交響曲のように捉えたとのこと。それならば曲間を空けずに(その都度指揮者・演奏者が出入りせずに)4曲続けて演奏したら面白いのになあと演奏前は思いましたが、こうして聴いてみると、1曲1曲のパワーがそれぞれ相当なものだったので、各曲に敬意をあらわしたのかなあと思い直しました。
下野さんの指揮はメリハリがきいていて、意思が明白。キビキビとしたタクトさばきは見ているだけでも気持ちがいいです。特に後半のスッペでは、下野さんの明快な導きによって、ただでさえ大衆的な曲調がさらにわかりやすく聴衆の共鳴を呼んだようで、高揚感がどんどんかきたてられていく感覚を覚えました。
アンコールはスッペの「軽騎兵」序曲。半ば予想通りではありましたが(最初のファンファーレで会場から思わず笑い声が漏れました)、演奏は爽快。期待に違わずスカッと華麗に決めてくれました。
なおプレコンサートは、ヴォーン・ヒューズさん(Vn)、石黒靖典さん(Va)、大澤明さん(Vc)による弦楽三重奏で、ハイドンとモーツァルトでした。こちらは慣れ親しんだウィーン古典派。リラックスして楽しめました。
さて1曲目です。ウェーベルン編曲による、J. S. バッハ作曲「音楽のささげもの」より「6声のリチェルカーレ」。リカルチェーレというのは、冒頭に提示された主題が別のパートにて次々と模倣される様式で、フーガの原型とされるもの…だそうですが、いまひとつ追いきれませんでした(汗)。ただ、金管が思いのほか目立ち、バッハとは趣きがかなり異なるということは確かに感じられました。
2曲目はシェーンベルクの室内交響曲第2番。プレトークで池辺晋一郎先生から説明があったとおり、室内オーケストラであるOEKの楽団編成にぴったりハマる曲です。その特性を活かす狙いなのか、終始丁寧なアンサンブルが展開されました。特に第1楽章なんかは前衛音楽的風味の度合いがわりと濃い楽想だと思うのですが、さほど気難しく感じるようなこともなく、やさしい気分で聴くことができました。
休憩を挟んで後半はスッペの序曲から4曲。カンタさんのチェロ・ソロが甘く響く「ウィーンの朝、昼、晩」序曲に、ギター伴奏が印象的な「怪盗団」序曲。「美しきガラテア」序曲ではホルンの咆哮が決まり、「スペードの女王」序曲で壮大にフィナーレ。いずれも楽しい演奏で、無名曲ながら充分堪能できました。プレトークによれば、下野さんはこの4曲をあたかも4楽章からなるひとつの交響曲のように捉えたとのこと。それならば曲間を空けずに(その都度指揮者・演奏者が出入りせずに)4曲続けて演奏したら面白いのになあと演奏前は思いましたが、こうして聴いてみると、1曲1曲のパワーがそれぞれ相当なものだったので、各曲に敬意をあらわしたのかなあと思い直しました。
下野さんの指揮はメリハリがきいていて、意思が明白。キビキビとしたタクトさばきは見ているだけでも気持ちがいいです。特に後半のスッペでは、下野さんの明快な導きによって、ただでさえ大衆的な曲調がさらにわかりやすく聴衆の共鳴を呼んだようで、高揚感がどんどんかきたてられていく感覚を覚えました。
アンコールはスッペの「軽騎兵」序曲。半ば予想通りではありましたが(最初のファンファーレで会場から思わず笑い声が漏れました)、演奏は爽快。期待に違わずスカッと華麗に決めてくれました。
オーケストラ・アンサンブル金沢 Orchestra Ensemble Kanazawa
第259回定期公演フィルハーモニー・シリーズ
The 259th Subscription Concert / Philharmonie-serie
日時:2009年4月21日(火)19:00開演 Tuesday, 21 April 2009 at 19:00
会場:石川県立音楽堂コンサートホール Ishikawa Ongakudo Concert Hall
指揮:下野竜也 Conductor: Tatsuya Shimono
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング Concertmaster: Abigail Young
■ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作/アントン・ウェーベルン編 J. S. Bach / A. Webern
J. S. バッハ「音楽のささげもの」BWV1079 より 6声のリチェルカーレ
Ricercare a 6 voci from "The Musical Offering" BWV1079
■アルノルト・シェーンベルク A. Schoenberg
室内交響曲 第2番 変ホ短調 作品38
Chamber Symphony No. 2 in E-flat minor Op. 38
第1楽章 アダージョ
1st.Mov. Adagio
第2楽章 コン・フオーコ
2nd.Mov. Con fuoco
---休憩---
■フランツ・フォン・スッペ F. v. Suppe
「ウィーンの朝、昼、晩」序曲
Overture "Ein Morgen, ein Mittage, ein Abend in Wien"
■フランツ・フォン・スッペ F. v. Suppe
喜歌劇「怪盗団」序曲
Overture "Banditenstreiche"
■フランツ・フォン・スッペ F. v. Suppe
喜歌劇「美しいガラテア」序曲
Overture "Die Schone Galathea"
■フランツ・フォン・スッペ F. v. Suppe
喜歌劇「スペードの女王」序曲
Overture "Pique Dame"
(アンコール)
■フランツ・フォン・スッペ F. v. Suppe
喜歌劇「軽騎兵」序曲
Overture "Leichte Kavallerie"