かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

チェンジリング

これはすごい作品。上映時間はずいぶん長いのですが、終始緊迫感が持続し、まったくダレることはありません。突然息子が失踪し、見知らぬ子をわが子だと押し付けられる母親。その困惑と焦燥は想像するに胸がきりきり痛み、しかも事件の対応をするロス市警の理不尽さはどんどん加速していきます。観ているこちら側の怒りの感情もどんどん増幅していきます。あのロス市警の警部の憎たらしいこと!

【以下、核心に触れるネタバレあり】

その後事件の容疑者が逮捕され、物語は終わったかと思ったらそうではありません。裁判、刑執行を経たのち、ある人物によって失踪した息子に関わる重大な真相が明らかになるのです。この真実は思いがけず重く衝撃的です。ところが母親はこれを「希望」と受け取るのです。ここがすごい。そしてこれで観る側も一筋の希望を見出した感じでほっとするわけですが、またもやこれだけでは終わらない。母親を支援する牧師や弁護士がそうだったように、そのような少しでも光明を見つけてハッピーエンドで終わらせたい観衆に釘を刺すように、エンディングのエピローグで彼女のその後の人生がひとこと語られます。「希望」とは生きる勇気でもあり、そのぶん残酷でもあるということを痛感しました。

(2009/03/01@ユナイテッド・シネマ金沢)

★★★★★