かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

第2回昭和歌謡レコードを聴く会

昨年末、歌謡曲研究家のO氏邸で開催された「昭和歌謡レコードを聴く会」。続編を切に待ち焦がれておりましたところ、果たして先週金曜日の夜、待望の第2回が開催されました。

前回と同様、まずはO氏、友人K氏とともに昭和テイスト満載食堂で酒盛り。これでもかというくらい飲み食いしつつ、昭和談義に花を咲かせ、テンションがぐっと盛り上がったところでO氏邸の最強オーディオルームに突入、いよいよ鑑賞会の始まりです。今回も基本的な選曲は友人K氏と僕のリクエストが中心で、O氏からちょいちょいその曲にまつわるオススメ曲がはさまるという感じで進んでいきます。

以下、友人K氏の記録をもとに、セットリストを再現します。

【前座(CD聴き比べ&オーディオ談義)】※いずれもCD
Waltz for Debby/Bill Evans Trio
 ~Waltz for Debby
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第16番 ハ長調 K.545 第1楽章/ピアノ:マリア・ジョアオ・ピリス
 ~モーツァルト生誕250年記念BOX モーツァルト:ピアノソナタ全集
Strange Fruit/Billie Holiday
 ~奇妙な果実
Nervous Breakdown/エゴ・ラッピン
 ~ベストラッピン 1996-2008
色彩のブルース/エゴ・ラッピン
 ~ベストラッピン 1996-2008
ラブ・レター/美空ひばり
 ~LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 へ短調 作品57「熱情」 第1楽章/ピアノ:クラウディオ・アラウ
 ~ベートーヴェン:7大ピアノソナタ集
J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007/チェロ:アンナー・ビルスマ
 ~バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
うたたね/石川鷹彦
 ~WORDS
ショスタコーヴィチ:祝典序曲 イ長調 作品96/指揮:ユーリ・テミルカーノフ 管弦楽サンクトペテルブルクフィルハーモニー交響楽団
 ~ショスタコーヴィチ:祝典序曲,森の歌,交響曲第6番&第7番「レニングラード」

【オープニング】
太陽にほえろ!/傷だらけの天使 ― オリジナル・サウンドトラック」(LP)より
・「太陽にほえろ!」のテーマ/演奏:井上尭之バンド
・「太陽にほえろ!」サスペンスM1/演奏:井上尭之バンド
・「太陽にほえろ!」サスペンスM2/演奏:井上尭之バンド
・「太陽にほえろ!」アクションM1/演奏:井上尭之バンド
・「太陽にほえろ!」愛のテーマ/演奏:井上尭之バンド
宇宙戦艦ヤマトささきいさお(作詞:阿久悠 作曲:宮川泰

【リクエスト&オススメ Part1】
さらば恋人/堺正章
白いサンゴ礁ズー・ニー・ヴー
サン・トワ・マミー/越路吹雪 ※赤盤
ラストダンスは私に/越路吹雪 ※赤盤
コーヒー・ルンバ/西田佐知子
恋のハレルヤ/黛ジュン
真赤な太陽/美空ひばりジャッキー吉川とブルー・コメッツ
夜空の星/加山雄三
夜空の星/演奏:寺内タケシとブルージーンズ ※CD(寺内タケシとブルージーンズ ベスト・コレクション
長崎は今日も雨だった内山田洋とクールファイブ
恋のバカンスザ・ピーナッツ 
ふりむかないで/ザ・ピーナッツ
スーダラ節/ハナ肇クレイジーキャッツ
スーダラ節/夏木マリ ※CD(THE HIT PARADE

【特集1:歌謡曲の「ヒロシ」】
・そんなヒロシに騙されて/高田みづえ(1983年)
「あんな男が今さら許せるでしょうか」

・H-i-r-o-s-h-i/渡辺桂子1984年)
「だけどHiroshi ウーンHiroshi 好きよ Hiroshi ウーンHiroshi 嫌い」

・TOKYOふられ小町/可愛かずみ1984年)
「キッスキッス上手な HIROSHIを見たら もてなくさせる 薬をのませてあげて」
「HIROSHIの手口で誘惑するのはやめて」

【リクエスト&オススメ Part2】
初恋/村下孝蔵
青春時代/森田公一とトップギャラン
気まぐれヴィーナス/桜田淳子(作曲:森田公一
好きよキャプテン/ザ・リリーズ(作曲:森田公一
夏色のおもいで/チューリップ
まちぶせ/石川ひとみ
まちぶせ/三木聖子
コバルトの季節の中で/沢田研二
年下の男の子/キャンディーズ
微笑がえしキャンディーズ
トライアングル・ラブレター/トライアングル
キャッチ・アップ・ザ・サン/ラブ・ウイングス
恋のコマンド/ラブ・ウィンクス(B面:乙女のまっさかり=作詞:上沼恵美子

【特集2:オレの「俊」 都倉俊一作曲コーナー】
渚のシンドバッドピンク・レディー
サウスポー/ピンク・レディー
教えてください、神様/天馬ルミ子
感情線/黒木真由美
あずさ2号/狩人
FOREVER~ギンガムチェックSTORY~/少女隊

【リクエスト&オススメ Part3】
哀愁のカサブランカ郷ひろみ
GOLD FINGER'99/郷ひろみ
小さな体験/郷ひろみ
Eighteen/松田聖子
チェリーブラッサム松田聖子
としごろ/山口百恵(作曲:都倉俊一)
ひと夏の経験/山口百恵(作曲:都倉俊一)

【プチ特集:元祖&カヴァー聴き比べ】
シルエット・ロマンス大橋純子
シルエット・ロマンス来生たかお
みずいろの雨/八神純子 ※CD(青春歌年鑑 1979
みずいろの雨/SAN from Chagra ※CD(We:style '76-'80 ジーンズとスニーカー
異邦人/cifa ※CD(We:style '76-'80 ジーンズとスニーカー
異邦人/久保田早紀

【ラストリクエスト】
上を向いて歩こう坂本九 ※赤盤
ラヴ・イズ・オーヴァー/欧陽菲菲
川の流れのように美空ひばり ※CD(青春歌年鑑 1989

【アンコール】
君は薔薇より美しい布施明
恋の十字路/欧陽菲菲(作曲:筒美京平
私たち/岩崎宏美(作曲:筒美京平
綺麗ア・ラ・モード/中川翔子(作曲:筒美京平) ※CD
綺麗ア・ラ・モード綺麗ア・ラ・モード
中川翔子 松本隆 本間昭光

曲名リスト
1. 綺麗ア・ラ・モード
2. カミツレ
3. 約束
4. 綺麗ア・ラ・モード -Instrumental-

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こうしてあらためてリストをあげてみますと実に圧巻!であります。聴き始めたのが22時前、翌3時過ぎまで続きましたので、5時間以上の充実した時間でした。

どの曲も素晴らしかったのですが…「ふりむかないで」「気まぐれヴィーナス」などはとりわけ僕の琴線に触れ、身を乗り出して聴き惚れました。このザ・ピーナッツ桜田淳子といった両ラインはもう少し攻めていきたい感じです。

ほかにも、伴奏という面で印象に残ったものとしては「宇宙戦艦ヤマト」。オーケストラの分厚く確かな演奏でゴージャス感に浸りました。対照的に「コーヒー・ルンバ」は3つの楽器(ギター・マラカス・パーカッション)だけの伴奏ながら、その世界観が豊かに表現されていて感動しました。また、寺内タケシとブルージーンズによる「夜空の星」のインストでは、そのギターの妙技を堪能しました。

あるいは、今回O氏に紹介されるまですっかり忘れていたアイドルたち。可愛かずみという悲しい名前を久々に聞きました。「トライアングル・ラブレター」は歌声がすっかり甦りました。渡辺桂子もなんだか聴いたことがあるような気がしてきました。

そして何と言っても「恋の十字路」「私たち」「綺麗ア・ラ・モード」というラスト3曲。O氏に言わせれば、筒美京平作品のこの並びは、もはや奇跡というべき絶妙な並びなのだそうです。「恋の十字路」のあやしげなカッコよさといい、「私たち」の伸びやかな明朗さといい、いずれも初めて聴いたのですが、これは繰り返して聴くべき曲だと確信しました。そして「綺麗ア・ラ・モード」。「来てる、来てる、そうそう、来い、来い…キター!」的なメロディの運びがドツボで、思わず涙ぐんでしまいました(まあ、このとき時計を見ると何ともう3時を回っており、そのため単に目がショボショボしていただけかもしれません…言わぬが花だったか)。

というわけで、今回もまたまた存分に堪能いたしました。そしてこの会は、今後、定期的に開催しようではないか!という幸せな合意が形成されました。まったくありがたいことです。あれもこれも、ともうすでにリクエストしたい曲が頭に浮かんでいます。期待はいっそう膨らんでいきますね!


なお、今回は前座として、持参したお気に入りのクラシックCDをいくつかかけてもらいました。O氏邸のオーディオシステムはジャズおよび歌謡曲向けに最適化されたユニットだそうで、クラシックは不得手だと聞いていましたが、どの程度違うのか?大編成のオーケストラ曲ではなく独奏曲ならいいのではないか?などと好奇心が沸いてきたわけです。手始めにBill Evans Trioによるジャズを聴いたところ、さすがに素晴らしい。右にピアノ、左にベース、正面奥にドラムがいるのが目に浮かぶような臨場感です。特にピアノとベースが交互に繰り広げるアドリブのバトルは迫力満点。

で、引き続きクラシックに挑戦。まずは、マリア・ジョアオ・ピリスによるモーツァルトピアノソナタを聴いてみたのですが、Bill Evans Trioの聴こえ方と比べると雲泥の差。硬質なわりに上空でくぐもっている感じです。ピリスのモーツァルトは定評があるはずなのに、まるで心地よくありません。クラウディオ・アラウの「熱情」は先ほどよりかなり鳴ってきましたが、膨張感というか拡散感が気になります。ビルスマの無伴奏は、逆に響きが生々しすぎる感じがしました。難しいものです。本編に入る前に、もう1曲だけ、ショスタコーヴィチの「祝典序曲」を聴かせてもらいました。僕が手っ取り早くテンションが高くなれる名曲であり、O氏もK氏もこの曲自体はとても気に入ってくれました。ただ、この曲も、ライブで聴くとブラスが炸裂するところなどでは鳥肌が立つほどビンビンくるのですが、O氏が言うとおり「団子になっちゃう」感じでした。う~む、微妙なものですね。といいながらも、何かほかにこのシステムで鳴るクラシックを探してみたい!と頭をめぐらせているのです。