かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期248PH】巨匠キタエンコ&小山実稚恵「自然賛歌」

南米のヴィラ=ロボス、北欧のグリーグ、そして西欧のベートーヴェン。天候・風土がまったく異なる地域に生まれた作曲家による、それぞれが愛した自然を彷彿させる楽曲たち。興味深いプログラムです。指揮は白髪が印象的なロシア人のドミトリ・キタエンコさん。OEKのブリンシパル・ゲスト・コンダクター(首席客演指揮者)です。

まずはヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」第9番。バッハのオルガン音楽のような、前奏曲とフーガの2部形式です。神秘的な和音が印象的な前奏曲がゆったりと展開されたあと、8分の11拍子という複雑なリズムのフーガが続きます。「ブラジル風バッハ」は全曲入りのCDを入手したもののあまり聴き込むことができずにいましたが、いわれてみれば南米の光線を連想させる面白い曲でした。
B000UZ4F10Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras
Susan Bell Eldon Fox Heitor Villa-Lobos
EMI Classics 2007-08-07

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続いては小山実稚恵さんが登場し、グリーグのピアノ協奏曲。かなり前のほうになったマイシートからはソリストの表情も良く見えます。例の緊迫する冒頭部分から迫力満点。大曲にふさわしい感情たっぷりの演奏にぐいぐい引き込まれていきます。その盛り上がりは後半へ進むにつれますます輝きを増していきました。

アンコールはスクリャービンの「左手のためのノクターン」。夜想曲の繊細さもさりながら、左手だけで弾いているとは思えないほど表情豊かなロマンティックな曲でした。感服です。

「左手のためのノクターン」収録↓
B0002ZEZZOベスト・アルバム
小山実稚恵 ショパン ファリャ
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2004-11-17

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後半はベートーヴェンの田園交響曲。個人的にはベートーヴェン交響曲の中で1、2を争うくらい好きな曲です。少なくとも聴いた回数としては最も多いのではないでしょうか。僕がはじめてOEKのコンサートに行ったときのメインプログラムでした。

おなじみの第1楽章はひたすら心地よく、第2楽章も幸福感満載。穏やかな田園風景が眼前に広がります。そしてとりわけ大好きな第3楽章のスケルツォ木管が繰り広げる田舎ふうのメロディが楽しい舞曲です。微妙なリズムで挿入されるファゴットが特に味わい深く、いつまでも耳に残ります。続いて嵐の第4楽章から、陽光差す感謝の終楽章へと切れ目なく演奏されていきます。クラリネット&ホルンののどかな響きは牧歌的な雰囲気を象徴的に演出します。終楽章の終盤、弦の美しい盛り上がりはどこか神々しさすらが漂う最大の恍惚ポイント。そしていつまでも聴いていたいコーダの余韻・・・。いやあ、やっぱり「田園」は名曲です。

愛聴版はこの全集のもの↓
ベートーヴェン:交響曲全集
ベートーヴェン:交響曲全集スウィトナー(オトマール) ベートーヴェン クノーテ(ディートリヒ)

おすすめ平均
starsクラ音痴の私でも凄いと思います
stars渋いベートーベン全集
starsこの値段でこの内容は、ほんとうに嬉しい。
stars良かったです。
stars聴け、これがドイツの弦の音だ。

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はじめて聴きに行ったときの収録版はこちら↓
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
金聖響 ベートーヴェン オーケストラ・アンサンブル金沢

曲名リスト
1. 交響曲第6番ヘ長調《田園》作品68 第1楽章 田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め
2. 交響曲第6番ヘ長調《田園》作品68 第2楽章 小川のほとりの情景
3. 交響曲第6番ヘ長調《田園》作品68 第3楽章 田舎の人々の楽しい集い
4. 交響曲第6番ヘ長調《田園》作品68 第4楽章 雷雨、嵐
5. 交響曲第6番ヘ長調《田園》作品68 第5楽章 牧歌-嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち
6. バレエ音楽《プロメテウスの創造物》序曲 作品43 ライヴ録音

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定番といったらコレでしょうかね↓
ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番
ワルター(ブルーノ) ベートーヴェン コロンビア交響楽団

曲名リスト
1. 交響曲第5番ハ短調op.67「運命」
2. 交響曲第6番ヘ長調op.68「田園」

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演奏会の結びはシベリウスの「悲しきワルツ」でしみじみと。今日も存分に堪能しました。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第248回定期公演フィルハーモニー・シリーズ

日時:2008年10月9日(木)19:00開演
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
指揮:ドミトリ・キタエンコ Dmitrij Kitajenko
コンサート・マスター:松井直 Naoki Matsui

■ヴィラ=ロボス H. Villa-Lobos
 ブラジル風バッハ 第9番
 Bachianas Brasileras No.9

グリーグ E. Grieg
 ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
 Piano Concerto in A minor op.16

  ~独奏:小山実稚恵 Michie Koyama

(アンコール)
スクリャービン: A. Scriabin
 「左手のための2つの小品」より「左手のためのノクターン」作品9-2
 Nocturne for the Left Hand op.9-2

  ~独奏:小山実稚恵 Michie Koyama


---休憩---


ベートーヴェン L. v. Beethoven
 交響曲 第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
 Symphony No.6 in F major op.68 "Pastorale"

  第1楽章「田舎に着いての愉快な心の目覚め」
  1. Erwachen heiterer Empfindungen bei der Ankunft auf dem Lande.

  第2楽章「小川のほとりにて」
  2. Szene am Bach.

  第3楽章「田舎の人々の楽しい集い」
  3. Lustiges Zusammensein der Landleute.

  第4楽章「雷雨、嵐」
  4. Gewitter. Sturm.

  第5楽章「牧歌、嵐のあとの歓びと感謝」
  5. Hirtengesang. Frohe und dankbare Gef���hle nach dem Sturm.

(アンコール)
シベリウス J. Sibelius
 「悲しきワルツ」 作品44-1
 Sad Waltz op.44-1