かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

歩いても 歩いても

主人公夫婦の阿部寛さん&夏川結衣さんといえば「結婚できない男」ですが、この作品では無事結婚しており、すでに子どももいます。もっとも、妻はバツイチ、息子は連れ子で、そのことを夫の両親は気に入らない様子。そんな実家に嫌々ながら久々に帰省した息子一家と、それを迎える老親。姉一家も交えたある夏の二日間を描いたお話です。

とりたててナニゴトかが起こるわけでもなく、親子、嫁姑の微妙な関係も含めて、お盆に帰省した家族の間でありがちな光景が繰り広げられます。役者さんたちの演技がみな達者で、まるでドキュメンタリーを観ているよう。一見すると「あるある」要素満載のホームドラマなのですが、実はそんなお気楽な作品ではありません。この日は15年前に海難事故で亡くなった長兄の命日で、そのことがいまでも両親の胸に暗い影を落としていたのでした。なかでも、母親役の樹木希林さんが必殺のひとことを繰り出すのですが、このシーンがものすごく印象深いです。

ありがちな光景だけに家族のそれぞれの立場に自らを感情移入しつつ、それぞれの心の痛みに直視せざるをえない。結構深いところでじわじわとくる作品です。といいつつ、妻子を持たないわたしには、本当には自分のこととして実感できていないのでしょうね。それは少しさびしい。

(2008/08/13@シネモンド)

★★★★