かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

幻影師アイゼンハイム

原題の「The Illusionist」は、「幻影師」と訳されています。聴きなれない職業名ではありますが、この作品を観たならば、主人公はまさに「幻影師」であると実感できるでしょう。邦題が珍しく成功している例だと思います。

ネタバレ承知であえてひとついうなら、ラストシーンで警部が全てを把握する種明かし映像の処理が秀逸でした。警部が思いついた仮説の映像とアイゼンハイムの過去の言動の映像がスピード感を保ったまま交互に流れ、それらが警部の中で即座に一本の糸で繋がってすべてを悟ります。と同時に、わたしたち観客もこのトリックの全貌を知り、この事件は超常現象でも何でもなく、やはりトリックであったのだということを確認します。すっかり騙されてしまっていた警部ではありますが、謎が解けたという知的満足もさりながら、そうだとすればアイゼンハイムと公爵令嬢は間違いなく健在であることを確信し、最後は実に爽快な表情を見せるのです。そしてわたしたち観客も同様の感情を抱いているがゆえに、警部のその表情の絶妙さにすっかり共感し、極上のカタルシスを与えてくれます。これですよ、これ。わたしの非常に好きなタイプのエンディングでありました。

★★★★★

(2008/07/11@シネモンド)