かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期239F】小曽根真×井上道義&OEKのガーシュウィン

小曽根真さんといえば、今年の冬ドラマ「あしたの、喜多善男」の音楽がかっこよかったのが印象的です。しかし、やはりなんといっても昨年東京で行われたラ・フォル・ジュルネで井上マエストロと共演した「ラプソディー・イン・ブルー」でありましょう! 今回は、OEKの定期公演で待望の再演が実現しました。

その前にプレコンサート。金管五重奏ウエスト・サイド物語とか天空の城ラピュタとか。トランペットの谷津さん以外はOEK団員以外の方々。今日はジャズ風の曲があるのでエキストラさんが大勢います。

さて、本番です。まずはモーツァルトのピアノ協奏曲第27番。白いタキシード風シャツ(笑)の小曽根さん。演奏は思ったより正統的。軽やかに余裕しゃくしゃくで弾いてらっしゃいます。ただし、カデンツァでは思いっきりジャズ風味に。やはりこうでなくては。

後半はショスタコのジャズ組曲第2番より。これは爽快! 先日のピアノ協奏曲第1番もそうですが、ショスタコーヴィチは陰鬱なだけじゃないぞ!と井上マエストロに諭されているような選曲です。プレコンサートに出演された金管の方々などエキストラの皆さんが大勢加わって響きもにぎやか。大好きな祝典序曲ふうの快活な曲もあったりして、一度聴いたら忘れないキャッチーなメロディが印象深く、意外な収穫でした。

そしていよいよメインの「ラプソディー・イン・ブルー」。小曽根さんはグレーのシャツに着替えて再登場。ユーモラスな響きのする切ないイントロから、やがて小曽根さんのピアノがはじまると、ずんずん興奮が高まってきます。そしてブラス満載のゴージャスなサウンドが一気に弾け、華やかな世界に突入するのです。
ソロパートでは小曽根さんワールドが炸裂。自在に変わるテンポと量感。本領発揮です。いつしかコントラバスがベースを刻みだします。ついで4人のサックス隊が立ち上がり、セッションがはじまりました。おお、ジャズだあ・・・! 井上さんも足でリズムを取り、やがて体がスウィングし始めました。うう、こっちだって手拍子したくてうずうずしてるんですけど(する勇気はない)。
4人のサクソフォン奏者は全員エキストラさんですが(大森義基さん筒井裕朗さん作田聖美さんウェルカムスプリングコンサートソリストさんです)、塩安真衣子さん)、みなさんの個人ブログによりますと、このセッション部分は小曽根さんが前日に考えて楽譜に起こしたものだそうです。かっこいいね!!

万雷の拍手のあと、アンコールに現れた小曽根さん。井上さんが、ショスタコーヴィチの頭文字に由来する「DSCH音型」をモチーフとした即興演奏をリクエストします。少し困って苦笑いを浮かべた小曽根さんでしたが、しばしの瞑想のあと見事に弾いてくれました。これぞショスタコ(?)といった陰のある感じで、しっとりと終わりました。

ああ、日曜の夕方のなんという充実。

そういえば、プレトーク池辺晋一郎さんが、日曜日に定期公演を行うオーケストラは珍しいというようなことをおっしゃっていました。そうなのか・・・。そういえば、最近の定期公演は日曜とか土曜が多くて便利だなあと思っていたのですが、それは配慮された稀有な例だったのでした。もしかするとわたしたちOEKの定期会員はすごく恵まれているのかもしれません。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第239回定期公演ファンタジー・シリーズ

日時:2008年4月20日(日)15:00~
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
指揮:井上道義
独奏:小曽根真(ピアノ)
コンサートマスター:アビゲイル・ヤング

モーツァルト
 ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
 ~ピアノ独奏:小曽根真

---休憩---

ショスタコーヴィチ
 ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)
 ・第1曲 行進曲
 ・第5曲 抒情的ワルツ
 ・第4曲 小さなポルカ
 ・第7曲 第2ワルツ
 ・第2曲 第1ダンス

ガーシュウィン(グローフェ編)
 「ラプソディー・イン・ブルー
 ~ピアノ独奏:小曽根真

(アンコール即興)
 ~ピアノ独奏:小曽根真