かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

ノリントン+シュトゥットガルト放送交響楽団

前から4列目の席。OEK会員割引とはいえ7500円といえばわたしにとっては上等な席であります。2階席のいつもの席とは雰囲気も少し違います。背広姿のおじさんが多いですなあ。主催者からご招待されたお偉いサンかもしれません。

指揮はロジャー・ノリントンさん。古楽奏法の大御所です。中華風のダークスーツですが、ぽっこりおなかが目立っております。スコアを持たず、終始にこやかに余裕しゃくしゃくな感じで振っておられました。弦は左から1stVn、Vc、Va、2ndVn。Cbが最上段最後部に並ぶノリントンさんおなじみの配置です。

冒頭の「すずめばち」序曲は初めて聴く曲。けっこうおもしろい。リムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」よりさらに優雅にグラインドしている感じ。この曲はノンヴィブラートではなかったように思います。

次はベートーヴェンピアノ協奏曲第4番。これはまず楽器配置が異色。ピアノは反射板を取り外し、鍵盤を客席側にして舞台中央に据えられました。ノリントンさんはピアノの左奥、チェロの前あたりでストゥールに腰かけて指揮をします。ピアニストを正面から見据える形です。弦楽器はピアノを中心として放射線状に配置。両翼のヴァイオリンおよび小菅さんは客席に背を向けて演奏することになります。

ピアノの響きが少し鈍かったような気がしました。ピアノが真上に向けて開かれていたせいでしょうか。だとすれば奮発して前方に座ったのが仇になってしまいました。いつもの2階席のほうがむしろいい響きだったのかもしれません。皮肉なことです。ただ、逆に言えばピアノが浮くようなことはまったくなく、ちょうどいい具合にオーケストラとなじんでおりました。また、アンコールのショパンも、弱音の美しさが際立ちかえって絶品といえました。

ブラームスの1番。最近やたらと聴く機会が多いのですが、その中でもとりわけ印象的な演奏でした。第1楽章序奏部は超高速なテンポ。ノンヴィブラートの透明な響きと相まって颯爽、溌溂とした若々しいブラームスです。

ヴィブラートに関して言えば、一同にノンヴィブラートが徹底されていたように見受けました。コンサートミストレルの女性の方だけは、ソロ部分や歌い上げる部分などの要所要所でヴィブラートをかけていましたが、それ以外の箇所ではやはりノンヴィブラート。

さて、一度落ち着いたテンポも第4楽章の終盤で再び高速化。ふだん聴くOEKとくらべると倍近くの人数がいますが、そのためもあって迫力はさすがにすごいです。かといって響きが濁ることもなく、高揚を感じつつ堪能いたしました。

東芝グランドコンサート2008金沢公演
シュトゥットガルト放送交響楽団

日時:2008年2月6日(水)19:00~
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
指揮:ロジャー・ノリントン
ピアノ:小菅優
管弦楽シュトゥットガルト放送交響楽団

ヴォーン・ウィリアムズ
 劇音楽「すずめばち」(むずかし屋)序曲

ベートーヴェン
 ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
  ~独奏:小菅優

(アンコール:小菅優
ショパン
 ノクターン

---休憩---

ブラームス
 交響曲 第1番 ハ短調 作品68

(アンコール)
ブリテン
 マチネ・ミュージカルより第1曲「行進曲」

シューベルト
 劇音楽「ロザムンデ」間奏曲 第3番 変ロ長調