かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

吉祥天女

なぜか最近、石川県がちょくちょく映画に出てきます。「舞妓Haaaan!!!」では、京都の花街・夢川町の場面は金沢市主計町で撮影されました。「憑神」に登場する上野寛永寺五重塔は、実は石川県羽咋市にある妙成寺の五重塔でした。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は石川県能登地方の山村が舞台であり、実際に奥能登でロケーションが行われました。そしてこの「吉祥天女」であります。舞台設定は金沢。ロケも金沢です。まさにご当地映画そのものです。浅野川に架かる梅の橋は、「舞妓Haaan!!!」と同様、大事な場面で登場します。

でも、それぞれの場所になじみが深いぶん、位置関係がどうだとか、そんなところに道はないとか、瑣末な矛盾についつい違和感を覚えてしまいます。そのせいで虚構の世界に入り込みにくかったという面はあるかもしれません。

時代設定もそうです。昭和45年という設定ですが、そういうレトロな時代の雰囲気が感じられないのです。学校(ロケ地:石川県立工業高校)はキレイすぎますし、登場人物のファッションもかなり現代風。遠野家のアキラなんて腰穿きです。もしかすると、古い町並みとか能楽とかお茶会とかで時代を感じさせる目論見だったのかもしれません。しかし少なくともわたしたち金沢市民にとって、それらは今でも日常の風景だったりします。

方言については、金沢弁は使われていません。それは別に構わないのですが、唯一、転校してきた小夜子に「家どこ?」「わたし、八日町」と語るクラスメイトの女の子だけが、金沢弁のナチュラルかつ的確なイントネーションでありました。それゆえ彼女はおそらくは地元エキストラであろうと思われますが、それはともかく、そのシーンが妙に生々しく印象に残ってしまい、他の人の喋りがリアルさに欠けるように感じてしまうのです。

なお、鈴木杏ちゃんですが、たしかに上手だとは思います。眼光の強さは相当なものですし、少女のような嗚咽なんておやすい御用でしょう。ただ、いかんせん体型がアレですので、妖艶といった雰囲気には程遠い。男女とも虜にする美貌の持ち主だとか、旧家のお嬢様という感じがしないのです。この点も残念。

★★