浅田次郎「シェエラザード」

ということで、ここ最近リムスキー＝コルサコフ「シェエラザード」を聴き込んでいたわけだが、同時に、同名の小説も並行して読んでいたのだった。

シェエラザード〈上〉
浅田 次郎


シェエラザード〈下〉
浅田 次郎



登場人物の語りによって過去と現在が交互に描かれる。
浅田氏お得意の手法。

終戦間際、米軍の「誤爆」により沈没した豪華客船「弥勒丸」。
謎の台湾人・宋英明が画策した引き揚げ話によって、企業舎弟の金融業者軽部や、そのかつての恋人律子、そして、この「事故」に関わった人々が吸い寄せられるように次々と現れる。
やがて弥勒丸を通して、彼らの胸にそれぞれの人生への想いが甦っていく。

弥勒丸がロシアで積み込んだ物資の中に、
その「シェエラザード」というレコードはあった。
女性不信の暴君ですら魅惑した賢妃シェエラザードのように、
当時世界最高峰だった豪華客船・弥勒丸は、
荒れ狂う運命に気高く立ち向かっていく。

乗員たちが愛してやまなかった弥勒丸の航海には、
「シェエラザード」の華麗な調べが美しく響いていた。


この物語は2年ほど前にNHKで単発ドラマ化されていたらしい。
我がアンテナにはまったく引っかからなかった。う～む、不覚。

もっとも、原作からは設定が変更・簡略化されているようで、
沈没シーンの出来栄えなどネットでの評判は概して芳しくない。
だが、「シェエラザード」の音楽が劇中でどう使われているのか、
ちょっと見てみたい気もする。

シェエラザード 海底に眠る永遠の愛
反町隆史 小澤征悦 長谷川京子