【OEK定期390M】チェンバー・オーケストラの妙技 アビゲイル・ヤングの弾き振り(2017/6/24@石川県立音楽堂コンサートホール)
OEKが誇る我らがコンマス、アビゲイル・ヤングさんの弾き振りによる室内オーケストラ集。
初っ端のショスタコーヴィチの室内交響曲がまず驚愕。これほど壮絶な曲があったとは。ドレスデンを訪れたショスタコーヴィチが戦争の惨禍を目の当たりにして書き上げた魂が響く楽曲を、アビさんの強烈な統率のもと、高い集中力を保って駆け抜けます。
続いてラヴェルのツィガーヌ。アビさんの技巧が冴え渡ります。前曲の緊迫感を引き継く序盤から、ヒューマンな本性を露わにし、やがて人生の歓喜の表現へと昇華していくかのようです。
後半は、さわやかな初夏の空を吹き抜けるようなバターワース「青柳の堤」から。ヴォーン・ウィリアムズ「揚げひばり」もそうでしたが、英国の作曲家というのは、晴れやかな空への憧れがよほど強いのでありましょう。そして最後はモーツァルト。OEKのお手のものであります。
鋭く重苦しいショスタコーヴィチから、ラヴェルで歓びに転じ、晴れやかな空を舞い、最後は幸福感たっぷりのモーツァルトで締めくくる。万全な構成で、大大大満足の回でした♪
オーケストラ・アンサンブル金沢
第390回定期公演マイスターシリーズ2017年6月24日(土)14:00開演
石川県立音楽堂コンサートホールアビゲイル・ヤング(リーダー、ヴァイオリン)
■ショスタコーヴィチ:室内交響曲 作品110a
■ラヴェル:ツィガーヌ
■バターワース:青柳の堤
■モーツァルト:交響曲 第29番 イ長調 K. 201(186a)(アンコール)
■アーノルド:シンフォニエッタ 第1番 より 第5楽章