かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【映画】泥棒役者(2017/11/20@ユナイテッド・シネマ金沢)

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とと姉ちゃん」「小野寺の弟・小野寺の姉」の西田征史監督が、自身の舞台作品を映画化。

嘘から出た勘違いと偶然の一致というパターンのやつですが(アンジャッシュ的な)、よく練られており、主演の丸山くん、市村さんら役者さんも軽妙で面白かったです。

とある方々のカメオ出演もお見逃しなく。

 

【映画】ドリーム(2017/11/20@ユナイテッド・シネマ金沢)

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さすが良作。

米ソの宇宙船開発競争とその裏にある黒人差別、女性差別というポリティカルな内容ながら主役の3人が実に軽やかで力強い。個人的にも、先日コスモアイル羽咋でマーキュリーの宇宙船を観たばかりなので、特にテンション上がりました笑

そういえばこの作品は邦題への批判・変更といったちょっとした騒動がありましたが、やはり原題の「Hidden Figures」のほうが、隠れた人物/数字というダブルミーニングの的確なタイトルだったろうなと思いました。

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【OEK定期395M】ドイツ、音楽の街〜ミヒャエル・ザンデルリンク&ゾフィー=マユコ・フェッター(2017/11/18@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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OEK定期公演です。今季のマイスターシリーズのテーマは「ドイツ、音楽の街」。今日のプログラムはメンデルスゾーンから始まり、モーツァルトが2曲、そしてドイツの現代作曲家ヨストの作品でした。指揮者は当初予定されていたペーター・ルジツカ氏から変更され、ベルリン出身で音楽一家のミヒャエル・ザンデルリンク氏。

1曲めは「フィンガルの洞窟」。波のうねりが体感できるような、テンポ・音量とも強弱の奥行きを感じさせる演奏。いいスタートです。

次はモーツァルトのピアノ協奏曲第18番。独奏はドイツ人の父、日本人の母を持つゾフィー=マユコ・フェッターさん。フィギュアスケート本郷理華さんを彷彿させる手足の長い大柄な方ですが、(本郷選手とは違って?)しなやかな腕の動きにより優雅にピアノを操ります。第1楽章は小鳥がさえずるような可憐な軽やかさ。第2楽章は晩秋に寄り添う哀しげな響き。第3楽章までオーケストラとの調和がとれていて気持ちのいい演奏でした。アンコールのスクリャービンも見事。

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後半はヨスト「ゴースト・ソング」から。現代曲にありがちな楽器が悲鳴を上げるような無理な奏法でなく、弦楽の美しい響きはそのままに、構成の妙によって幻想的な作品に昇華したというか。現代曲にしては個人的に好ましい傾向の曲でした。

最後はモーツァルト交響曲第39番。モーツァルトといえば、1ヶ月前、前回の定期に登場したヴラダーさんの超高速版を聴いて度肝を抜かれたばかりですが(笑)、今回のザンデルリンクさんのモーツァルトは、実に心地よく安心できるバージョン。 

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とはいえ退屈するわけではまったくなく、1曲めのメンデルスゾーンでも感じたのですけど、音楽が立体感をもったまま滑らかに流動するとでもいいましょうか、全体的に何とも気持ちのよい躍動的な浮遊感に包まれ、しかしある瞬間にはハッとするようなメリハリがあったりもします。そしてそれは、ザンデルリンクさんがそのようにオケを自在に操っているのだろうなあと感心したのでした。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第395回定期公演マイスターシリーズ

2017年11月18日(土)14:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:ミヒャエル・ザンデルリンク 指揮
ピアノ:ゾフィー=マユコ・フェッター

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第18番 変ロ長調 K. 456
■(アンコール)スクリャービン:2つの左手のための小品 より ノクターン Op.9-2
 独奏:ゾフィー=マユコ・フェッター

■ヨスト:ゴースト・ソング(2017)

モーツァルト交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

 

 

 

第30回O先輩の昭和歌謡レコード鑑賞会(2017/11/4)

およそ7ヶ月ぶりの昭和歌謡レコード鑑賞会。今回のゲストはO先輩のご同僚の若いご夫妻で、昭和62年・63年生まれという昭和歌謡を直接には知らない世代。そんなご主人がレコードプレイヤーも持ってないのにディアゴスティーニビートルズLPコレクションを購入。それを聴くためにリーズナブルなレコードプレイヤーを入手したのをきっかけに、O先輩のオーディオに興味を持ったとのこと。で、せっかくレコードプレイヤーがあるのだからと中古レコード市(北陸音盤祭)に出向いてレコードを買い求め(そこで漁盤中のO先輩に遭遇したとのこと笑)、奥様ともども昭和歌謡に目覚めたそうです。

というわけで、若いゲストご夫妻に捧げるO先輩王道のプレイリストとなりました。

  

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ゲストご夫妻が小学生の頃にデビューした宇多田ヒカルからスタートし、すかさずその母・藤圭子のド昭和歌謡をどどーんと披露。まるでナイトクラブでバンドメンバーがそこにいるかのような臨場感溢れるこのシングル盤のクオリティにまずは驚愕いただいたはず。カトちゃんの桑田佳祐シリーズをはさみ、ゲスト奥様リクエストの「時をかける少女」から自然な流れで「セーラー服と機関銃」へと進み、当然のように原曲「夢の途中」に到達したため来生たかおシリーズとなりました。

その後キャッチー&パンチのあるアイドル歌謡を立て続けに聴き、ついにO先輩といえば本丸の「筒美京平先生」特集へ。「木綿のハンカチーフ」では松本隆の歌詞に涙する奥様の姿も。郷ひろみ「小さな体験」のジャケットを見て、スーパースター・ヒロミ・ゴーの勇姿しか知らないであろうゲストご夫妻はそのプリティ少年ぶりに目を丸くし、ならばとしばし「郷ひろみ」特集へ。「セクシー・ユー」から南佳孝の原曲「モンロー・ウォーク」へバトンタッチし、「スタンダード・ナンバー」から薬師丸ひろ子「メインテーマ」へと美しい流れが続きます。

ここでO先輩が「ケン田村」という知られざる名ミュージシャンを投入。大村雅朗の洗練されたサウンドと、その完成品をあえて自身の世界にすっかり染めた筒美京平ワールドの2つのアレンジを楽しみました。

そして昭和歌謡の到達点ともいうべき松田聖子が満を持して登場。特に「風立ちぬ」以前、ハスキーになる前ののスーパークリアボイスを中心に展開しました。

終盤はフォーク&ニューミュージックで締め。遠藤賢司はっぴいえんどのバックバンドを務めた曲で追悼し、桑田佳祐の最近のCD曲、上田正樹のブレイク前の珍曲、ローカルスター夢博士、そして竹内まりや松任谷由実、風、中島みゆき井上陽水の名曲を堪能したのでした。

 

なお、鑑賞会前の景気づけはいつものように「いろは食堂」でした。

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アマデウスLIVE −ムービー・オン・クラシック− (2017/11/3@石川県立音楽堂コンサートホール)

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映画「アマデウス」を音楽部分はオーケストラによる生演奏で…!という「アマデウスLIVE」日本初演を鑑賞。

映像にピタリとシンクロさせたオーケストラ・アンサンブル金沢アマデウス特別合唱団、そしてそれを精緻にコントロールした指揮の辻博之さんの素晴らしい職人技に感動しました…!

サリエリモーツァルトの楽譜に書き直しがないことに驚愕するシーンでは、楽譜の束を慌ただしくめくるタイミングに合わせて名曲の断片が次々と絶妙に展開。

またレクイエムの作曲シーンでは、モーツァルトの頭の中で鳴っている各パートが、サリエリによって書き起こされる際に実際に演奏され、最後にそれらが一発で鮮やかに重なって完成しているという、天才的な作曲プロセスがリアルに実感できました。

 

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アマデウスLIVE −ムービー・オン・クラシック−

2017年11月3日(金祝)13:30開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:辻博之
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢
合唱:アマデウス特別合唱団

 

 

【OEK定期394PH】シュテファン・ヴラダー弾き振りモーツァルト(2017/10/18@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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今回のOEK定期は、過去何回か登場しているシュテファン・ヴラダーさんが指揮&ピアノでモーツァルト

いずれもよく知る曲でありますが、かなり度肝を抜かれる演奏でありました。とにかくどの曲もテンポが超高速なのです。ピアノ協奏曲第21番の第2楽章なんかは、天にも上るような旋律をゆったりと聴きたいものですが、ここも相当に速く、正直ちょっと戸惑いました。後半のジュピターも、前月の岩城メモリアルコンサートで聴いたばかりの井上道義指揮OEK王道ジュピターに比べるとやはりとても速い。 

とはいえ、通して聴いていくと、スーパーハイテンポの中にもしっかりとアクセントがあり、特にジュピターは、ピリオド奏法のキビキビ感に加え、絶妙な表情の付け加えによりとても活き活きとした演奏となっており、おおいに心躍りました。

前半の終わりにヴラダーさんはピアノ独奏のアンコールでリストを弾いていましたが、これはまた何とも美しくその技量の確かさを示してくれました。もしかすると井上さんの後任候補の大穴かも…とちらりと思ったり…

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オーケストラ・アンサンブル金沢
第394回定期公演フィルハーモニーシリーズ

2017年10月18日(水)19:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮・ピアノ:シュテファン・ヴラダー

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
(アンコール)リスト:コンソレーション 第3番

モーツァルト交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
(アンコール)モーツァルト:カッサシオン ト長調 K.63 より アンダンテ

 

なお、開演前のロビーコンサートは坂本久仁雄さんと大澤明さんでした。

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【OEK定期393PH】井上道義×神尾真由子のベートーヴェン(2017/9/20@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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 オーケストラ・アンサンブル金沢「2017−2018シーズン」の始まりです。井上道義音楽監督は2018年3月末での退任が決まっており、OEK音楽監督としての井上さんの指揮が聴けるのはあとわずか3回。シーズンのスタートとなる本公演はそのうちの貴重な1回です。

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しかも、客演は神尾真由子さんというビッグネーム。先月のIMA20周年記念公演でのメンデルスゾーンに続いて、今度はベートーヴェンのコンチェルトを演奏します。 

quackey.hatenablog.com

開演前のロビーコンサートは、OEKの四人のチェロ奏者による四重奏。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席チェロ奏者だったユリウス・クレンゲル作曲の「即興曲」を演奏しました。静かな出足から徐々に盛り上がり、突如としてメンデルスゾーンの「結婚行進曲」のフレーズで終了。じつはソンジュン・キムさんが先日結婚式を挙げ(お相手はOEK第2ヴァイオリンの若松みなみさん)、そのパーティの際にチェロ四人でこの曲を演奏したそうです。おめでとうございます。

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さあ開演。1曲めはペルト「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」。ステージ裏からベルが鳴る中、静謐で神秘的な弦楽合奏が繰り広げられました。

そして神尾真由子さんの登場。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲です。井上さん指揮のもとゆったりとしたテンポで曲が進みます。いよいよ神尾さんの独奏、最初はかなり不安定…というか硬い感じでしたが(メンデルスゾーンのときもそうだった)、徐々にノッて鳴り出しました。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲といえば、メンデルスゾーンチャイコフスキーのような超絶技巧を見せつける感じではなく、イメージとしては比較的平坦な旋律を淡々と弾いていくというもので、逆にそれゆえの難しさがあると言われています。神尾さんのベートーヴェンは初めてだったので、どのように弾くか興味津々でありました。

すると…

こんなベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は初めて聴いた!!というオドロキがとまりませんでした。情緒的…を遥かに超えて「劇場的」とでも申しましょうか、神尾さんがひとりでソプラノとアルト、テノールバリトンを唄ってるかのような感覚、まるでオペラを観ているかのような興奮を覚えたのでした。まさに唯一無二の個性を放つ、目を離すことのできないヴァイオリニストであります。だからついつい追いかけたくなるのです。

後半は「田園」。第1楽章からまさに田園風景がふわっと目に浮かぶような丁寧な演奏。第3楽章からピッコロ、トランペット2、トロンボーン2、そしてティンパニがステージに加わり、さまざまな自然の顔が描写されていきます。そして終楽章に向かい、井上さんが自然の歓びをたっぷりと浴びせて大団円。思えばはじめてOEK定期公演に来たときのプログラムは田園でした。(指揮は金聖響)。それ以降、何回も聴いているこの名曲ですが、井上さんの田園もやっぱり素晴らしかったです。堪能させていただきました。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第393回定期公演フィルハーモニーシリーズ

2017年9月20日(水)19:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:井上道義
ヴァイオリン:神尾真由子

■ペルト:ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌(1977/1980)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェン交響曲 第6番 ヘ長調「田園」作品68