かっきーの雑記(仮)

あちらこちらで興味が湧いたものをとりあえず書き留めておく用。

【OEK定期395M】ドイツ、音楽の街〜ミヒャエル・ザンデルリンク&ゾフィー=マユコ・フェッター(2017/11/18@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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OEK定期公演です。今季のマイスターシリーズのテーマは「ドイツ、音楽の街」。今日のプログラムはメンデルスゾーンから始まり、モーツァルトが2曲、そしてドイツの現代作曲家ヨストの作品でした。指揮者は当初予定されていたペーター・ルジツカ氏から変更され、ベルリン出身で音楽一家のミヒャエル・ザンデルリンク氏。

1曲めは「フィンガルの洞窟」。波のうねりが体感できるような、テンポ・音量とも強弱の奥行きを感じさせる演奏。いいスタートです。

次はモーツァルトのピアノ協奏曲第18番。独奏はドイツ人の父、日本人の母を持つゾフィー=マユコ・フェッターさん。フィギュアスケート本郷理華さんを彷彿させる手足の長い大柄な方ですが、(本郷選手とは違って?)しなやかな腕の動きにより優雅にピアノを操ります。第1楽章は小鳥がさえずるような可憐な軽やかさ。第2楽章は晩秋に寄り添う哀しげな響き。第3楽章までオーケストラとの調和がとれていて気持ちのいい演奏でした。アンコールのスクリャービンも見事。

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後半はヨスト「ゴースト・ソング」から。現代曲にありがちな楽器が悲鳴を上げるような無理な奏法でなく、弦楽の美しい響きはそのままに、構成の妙によって幻想的な作品に昇華したというか。現代曲にしては個人的に好ましい傾向の曲でした。

最後はモーツァルト交響曲第39番。モーツァルトといえば、1ヶ月前、前回の定期に登場したヴラダーさんの超高速版を聴いて度肝を抜かれたばかりですが(笑)、今回のザンデルリンクさんのモーツァルトは、実に心地よく安心できるバージョン。 

quackey.hatenablog.com

とはいえ退屈するわけではまったくなく、1曲めのメンデルスゾーンでも感じたのですけど、音楽が立体感をもったまま滑らかに流動するとでもいいましょうか、全体的に何とも気持ちのよい躍動的な浮遊感に包まれ、しかしある瞬間にはハッとするようなメリハリがあったりもします。そしてそれは、ザンデルリンクさんがそのようにオケを自在に操っているのだろうなあと感心したのでした。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第395回定期公演マイスターシリーズ

2017年11月18日(土)14:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:ミヒャエル・ザンデルリンク 指揮
ピアノ:ゾフィー=マユコ・フェッター

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第18番 変ロ長調 K. 456
■(アンコール)スクリャービン:2つの左手のための小品 より ノクターン Op.9-2
 独奏:ゾフィー=マユコ・フェッター

■ヨスト:ゴースト・ソング(2017)

モーツァルト交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

 

 

 

第30回O先輩の昭和歌謡レコード鑑賞会(2017/11/4)

およそ7ヶ月ぶりの昭和歌謡レコード鑑賞会。今回のゲストはO先輩のご同僚の若いご夫妻で、昭和62年・63年生まれという昭和歌謡を直接には知らない世代。そんなご主人がレコードプレイヤーも持ってないのにディアゴスティーニビートルズLPコレクションを購入。それを聴くためにリーズナブルなレコードプレイヤーを入手したのをきっかけに、O先輩のオーディオに興味を持ったとのこと。で、せっかくレコードプレイヤーがあるのだからと中古レコード市(北陸音盤祭)に出向いてレコードを買い求め(そこで漁盤中のO先輩に遭遇したとのこと笑)、奥様ともども昭和歌謡に目覚めたそうです。

というわけで、若いゲストご夫妻に捧げるO先輩王道のプレイリストとなりました。

  

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ゲストご夫妻が小学生の頃にデビューした宇多田ヒカルからスタートし、すかさずその母・藤圭子のド昭和歌謡をどどーんと披露。まるでナイトクラブでバンドメンバーがそこにいるかのような臨場感溢れるこのシングル盤のクオリティにまずは驚愕いただいたはず。カトちゃんの桑田佳祐シリーズをはさみ、ゲスト奥様リクエストの「時をかける少女」から自然な流れで「セーラー服と機関銃」へと進み、当然のように原曲「夢の途中」に到達したため来生たかおシリーズとなりました。

その後キャッチー&パンチのあるアイドル歌謡を立て続けに聴き、ついにO先輩といえば本丸の「筒美京平先生」特集へ。「木綿のハンカチーフ」では松本隆の歌詞に涙する奥様の姿も。郷ひろみ「小さな体験」のジャケットを見て、スーパースター・ヒロミ・ゴーの勇姿しか知らないであろうゲストご夫妻はそのプリティ少年ぶりに目を丸くし、ならばとしばし「郷ひろみ」特集へ。「セクシー・ユー」から南佳孝の原曲「モンロー・ウォーク」へバトンタッチし、「スタンダード・ナンバー」から薬師丸ひろ子「メインテーマ」へと美しい流れが続きます。

ここでO先輩が「ケン田村」という知られざる名ミュージシャンを投入。大村雅朗の洗練されたサウンドと、その完成品をあえて自身の世界にすっかり染めた筒美京平ワールドの2つのアレンジを楽しみました。

そして昭和歌謡の到達点ともいうべき松田聖子が満を持して登場。特に「風立ちぬ」以前、ハスキーになる前ののスーパークリアボイスを中心に展開しました。

終盤はフォーク&ニューミュージックで締め。遠藤賢司はっぴいえんどのバックバンドを務めた曲で追悼し、桑田佳祐の最近のCD曲、上田正樹のブレイク前の珍曲、ローカルスター夢博士、そして竹内まりや松任谷由実、風、中島みゆき井上陽水の名曲を堪能したのでした。

 

なお、鑑賞会前の景気づけはいつものように「いろは食堂」でした。

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アマデウスLIVE −ムービー・オン・クラシック− (2017/11/3@石川県立音楽堂コンサートホール)

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映画「アマデウス」を音楽部分はオーケストラによる生演奏で…!という「アマデウスLIVE」日本初演を鑑賞。

映像にピタリとシンクロさせたオーケストラ・アンサンブル金沢アマデウス特別合唱団、そしてそれを精緻にコントロールした指揮の辻博之さんの素晴らしい職人技に感動しました…!

サリエリモーツァルトの楽譜に書き直しがないことに驚愕するシーンでは、楽譜の束を慌ただしくめくるタイミングに合わせて名曲の断片が次々と絶妙に展開。

またレクイエムの作曲シーンでは、モーツァルトの頭の中で鳴っている各パートが、サリエリによって書き起こされる際に実際に演奏され、最後にそれらが一発で鮮やかに重なって完成しているという、天才的な作曲プロセスがリアルに実感できました。

 

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アマデウスLIVE −ムービー・オン・クラシック−

2017年11月3日(金祝)13:30開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:辻博之
管弦楽オーケストラ・アンサンブル金沢
合唱:アマデウス特別合唱団

 

 

【OEK定期394PH】シュテファン・ヴラダー弾き振りモーツァルト(2017/10/18@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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今回のOEK定期は、過去何回か登場しているシュテファン・ヴラダーさんが指揮&ピアノでモーツァルト

いずれもよく知る曲でありますが、かなり度肝を抜かれる演奏でありました。とにかくどの曲もテンポが超高速なのです。ピアノ協奏曲第21番の第2楽章なんかは、天にも上るような旋律をゆったりと聴きたいものですが、ここも相当に速く、正直ちょっと戸惑いました。後半のジュピターも、前月の岩城メモリアルコンサートで聴いたばかりの井上道義指揮OEK王道ジュピターに比べるとやはりとても速い。 

とはいえ、通して聴いていくと、スーパーハイテンポの中にもしっかりとアクセントがあり、特にジュピターは、ピリオド奏法のキビキビ感に加え、絶妙な表情の付け加えによりとても活き活きとした演奏となっており、おおいに心躍りました。

前半の終わりにヴラダーさんはピアノ独奏のアンコールでリストを弾いていましたが、これはまた何とも美しくその技量の確かさを示してくれました。もしかすると井上さんの後任候補の大穴かも…とちらりと思ったり…

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オーケストラ・アンサンブル金沢
第394回定期公演フィルハーモニーシリーズ

2017年10月18日(水)19:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮・ピアノ:シュテファン・ヴラダー

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
(アンコール)リスト:コンソレーション 第3番

モーツァルト交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
(アンコール)モーツァルト:カッサシオン ト長調 K.63 より アンダンテ

 

なお、開演前のロビーコンサートは坂本久仁雄さんと大澤明さんでした。

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【OEK定期393PH】井上道義×神尾真由子のベートーヴェン(2017/9/20@石川県立音楽堂 コンサートホール)

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 オーケストラ・アンサンブル金沢「2017−2018シーズン」の始まりです。井上道義音楽監督は2018年3月末での退任が決まっており、OEK音楽監督としての井上さんの指揮が聴けるのはあとわずか3回。シーズンのスタートとなる本公演はそのうちの貴重な1回です。

www.chunichi.co.jp

しかも、客演は神尾真由子さんというビッグネーム。先月のIMA20周年記念公演でのメンデルスゾーンに続いて、今度はベートーヴェンのコンチェルトを演奏します。 

quackey.hatenablog.com

開演前のロビーコンサートは、OEKの四人のチェロ奏者による四重奏。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席チェロ奏者だったユリウス・クレンゲル作曲の「即興曲」を演奏しました。静かな出足から徐々に盛り上がり、突如としてメンデルスゾーンの「結婚行進曲」のフレーズで終了。じつはソンジュン・キムさんが先日結婚式を挙げ(お相手はOEK第2ヴァイオリンの若松みなみさん)、そのパーティの際にチェロ四人でこの曲を演奏したそうです。おめでとうございます。

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さあ開演。1曲めはペルト「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」。ステージ裏からベルが鳴る中、静謐で神秘的な弦楽合奏が繰り広げられました。

そして神尾真由子さんの登場。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲です。井上さん指揮のもとゆったりとしたテンポで曲が進みます。いよいよ神尾さんの独奏、最初はかなり不安定…というか硬い感じでしたが(メンデルスゾーンのときもそうだった)、徐々にノッて鳴り出しました。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲といえば、メンデルスゾーンチャイコフスキーのような超絶技巧を見せつける感じではなく、イメージとしては比較的平坦な旋律を淡々と弾いていくというもので、逆にそれゆえの難しさがあると言われています。神尾さんのベートーヴェンは初めてだったので、どのように弾くか興味津々でありました。

すると…

こんなベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は初めて聴いた!!というオドロキがとまりませんでした。情緒的…を遥かに超えて「劇場的」とでも申しましょうか、神尾さんがひとりでソプラノとアルト、テノールバリトンを唄ってるかのような感覚、まるでオペラを観ているかのような興奮を覚えたのでした。まさに唯一無二の個性を放つ、目を離すことのできないヴァイオリニストであります。だからついつい追いかけたくなるのです。

後半は「田園」。第1楽章からまさに田園風景がふわっと目に浮かぶような丁寧な演奏。第3楽章からピッコロ、トランペット2、トロンボーン2、そしてティンパニがステージに加わり、さまざまな自然の顔が描写されていきます。そして終楽章に向かい、井上さんが自然の歓びをたっぷりと浴びせて大団円。思えばはじめてOEK定期公演に来たときのプログラムは田園でした。(指揮は金聖響)。それ以降、何回も聴いているこの名曲ですが、井上さんの田園もやっぱり素晴らしかったです。堪能させていただきました。

オーケストラ・アンサンブル金沢
第393回定期公演フィルハーモニーシリーズ

2017年9月20日(水)19:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:井上道義
ヴァイオリン:神尾真由子

■ペルト:ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌(1977/1980)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェン交響曲 第6番 ヘ長調「田園」作品68

 

山下達郎 PERFORMANCE 2017 @金沢歌劇座(2017/8/29)

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はじめて山下達郎さんを知ったのは小学生の頃でした。当時ヒットしていた「RIDE ON TIME」を聴いて、なんてカッコいいんだ…!まるで外国の曲だ…!と子供ごころに圧倒された覚えがあります。

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

 

ところが、その段違いのカッコよさがかえって自分にはまったく分不相応なハイレベルな音楽だと気後れしてしまい、それ以降、達郎さんに関しては、ラジオのヒットチャートに流れてくる新譜などはおさえていたものの、自らアルバムを買って聴き込むというほどには深くのめり込んでいたわけではありませんでした。 

それから数十年(苦笑)。ひょんなことから前回ツアーの金沢公演(2016年3月)に行く機会に恵まれましたた。かねてより、達郎さんのライブは凄い、一度行ったほうがよいという話をほうぼうから聞いていたものですから、とりあえず「OPUS」を聴き込みつつ、必須だと教えられたクラッカー云々とかのお作法を頭に入れ、どきどきの初参加をいたしました。果たして、お察しの通り、すっかり達郎ライブの虜になったわけであります。 

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

 

というわけで、今回のツアー「PERFORMANCE 2017」の金沢公演にもぜひ行きたいと切望し、チケット争奪戦に参戦。1次・2次販売では落選しましたが、ラストチャンスのキャンセル待ちでギリギリチケットをゲットできた次第であります。まあ、二階席の後ろから2列目、右端から2席目というほぼ最遠方の座席でしたし、私自身ライブ参加2回目の新参者ではありますが、そんなことはまるで関係なく、とってもとっても楽しめました。

今回の49公演のうち、金沢公演は48本目でした。千秋楽の一つ前。ラス前、セミファイナルであります。金沢公演の二日後、8/31に千秋楽の長野公演が終わり、ツアー全行程が無事完了しましたので、ネタバレ解禁してもよかろうと判断し、金沢公演のセットリストを以下に記します。 

  • ポケット・ミュージック (Interlude)
  • SPARKLE
  • いつか(SOMEDAY)
  • DONUT SONG (ドーナツ・ソング)
     (メドレー)
     夏への扉 ←?
     ハンド・クラッピング・ルンバ[大滝詠一
     Willie and the Hand Jive[Johnny Otis]
  • 僕らの夏の夢
  • 風の回廊(コリドー)
  • Guilty鈴木雅之
  • FUTARI
  • 潮騒 (THE WHISPERING SEA)
  • ターナーの汽罐車 -Tuner's Steamroller-
     ※還暦/城北トリオ アンプラグド・ヴァージョン
  • It's Not Unusual [Tom Jones] 
  • THE WAR SONG
  • SO MUCH IN LOVE《ON THE STREET CORNER 2》[The Tymes]
  • STAND BY ME《ON THE STREET CORNER 3》[BEN E. KING
  • JOY TO THE WORLD (Interlude)
  • クリスマス・イブ
  • 蒼氓
     (メドレー)
     People Get Ready[The Impressions]
     Blowin' In The Wind[Bob Dylan
     私たちの望むものは[岡林信康
     希望という名の光
  • GET BACK IN LOVE
  • メリー・ゴー・ラウンド
  • LET'S DANCE BABY
     (メドレー)
     Summertime Blues[Eddie Cochran]
     Summertime[Janis Joplin
     Theme From a Summer Place[Percy Faith]
     愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-
     LOVELAND,ISLAND
     踊ろよ、フィッシュ
     CHEER UP! THE SUMMER
     Mean Woman Blues[Roy Orbison]
     いかすぜ!この恋[大滝詠一
     シーズン・イン・ザ・サン[TUBE]
  • 高気圧ガール
  • CIRCUS TOWN

    【アンコール】

  • ハイティーン・ブギ近藤真彦
  • RIDE ON TIME
  • DOWN TOWN
  • YOUR EYES

 

いやあ、圧巻のステージでした。達郎さん曰く、いままで冬場のツアーが多く体調管理が大変だったが今回は春~夏のツアーなので声の調子がすこぶるよいと。まさにその通り、歌唱力が半端なくすごい。達郎さんのヴォーカリストとしての力量をあらためて感じ入ったのでありました。そして、バンドの各プレイヤーの方々もまるで隙のない素晴らしい演奏。充実のステージとはこういうことを言うのでありましょう。

名曲ぞろいのセットリストでしたが、そのなかでもあえて個人的に特にツボった曲として、達郎さん、難波弘之さん(Keyboards)、伊藤広規さん(Bass)の「還暦トリオ」または「城北トリオ」(笑)による、アコースティック版「ターナーの汽罐車」を挙げたいと思います。新宿ロフトでの音源をサンソンで聴いたことはありましたが、これを生で聴けて感激しました。

そして後半の「GET BACK IN LOVE」。心にぐっとこみ上げるものを感じながら聴き入りました。じつは歌謡曲道の我が心の師であるO先輩もこのライブに来ており、終演後、O先輩ご夫妻と一杯やりながら本ライブの感想戦をする機会に恵まれたのですが、三人とも印象に残った曲として、この曲を挙げたのでした。今思うと、「クリスマスイブ」そして「蒼氓」の壮大なバラードメドレーの後、という満を持しての順番だったこともあるかもしれません。

またこの日は、北朝鮮が北海道を通過する弾道ミサイルを発射した日でした。達郎さんが「私は政治に絶望して政治にコミットするのをやめた人間ですが、私は音楽家ですから、言いたいことがあれば音楽でモノを語ります」と言って歌い始めたのが「THE WAR SONG」。まさに、語りたいことは十分に伝わってきたと思います。

あと、恒例(だそうです)の洋楽カバーコーナーも忘れてはいけません。前回はフランキー・ヴァリの「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」でしたが(大好評だったとのこと…!)、今回は、トム・ジョーンズの「It's Not Unusual(よくあることさ)」でした。カッコよかった!


Tom Jones - It´s Not Unusual.. (1964)

洋楽カバーだけでなくセルフカバーも。他人に提供した曲は自分のキャラクターに合わないことも多く、いままでは歌うのを敬遠していたがこの年齢になったらもう関係ない、みたいなノリで唄ったのが、鈴木雅之「Guilty」。


Guilty(ギルティ) 鈴木雅之 Masayuki Suzuki

そして本ライブ最大のサプライズといってもいいのが、アンコールで披露してくれた近藤真彦ハイティーン・ブギ」!!! 達郎さんが男性アイドルに提供した最初の曲だということは知っていましたので、心の何処かで達郎さんがセルフカバーしたら面白いなあ…と思っていましたが、まさか本当に実現するとは! いやあ、盛り上がりました!


ハイティーン・ブギ  近藤真彦

 

そんなわけで、今回も大大満足、大大満喫のライブでありました。

 

なお、上記セットリストは、どなた様かがネット上に公開されていた金沢会場セットリストを基に、自己の記憶と照らし合わせ、他会場のセットリスト情報等を参考にして補正しつつ作成しています。なのでところどころ曖昧な箇所がありますのであしからずご了承ください。

たとえば、「ドーナツソング」「蒼氓」「LET'S DANCE BABY」の中のメドレー部分については、私の記憶が全然ついていけてない部分も多々ありましたので、他会場情報をおおいに参考にしています。特に「ドーナツソング」の冒頭は、各会場でそのときどきの季節ソングで始まるとのことですが(童謡「春が来た」や「さよなら夏の日」など)、金沢での採用曲は、ネット上には「夏への扉」あるいは童謡「あめふり」という二つの説が存在します。これについても私自身、恥ずかしながら記憶が定かでありません。ですので、誤りなどあればご指摘いただければと思います。

 

(余談)

じつは、当日、本人確認用に持参した運転免許証を紛失してしまいました。ライブ翌朝、そのことに気づき、会場の金沢歌劇座に問い合わせたところ、しばらくして座席近辺に落ちていたと折り返し連絡をいただきました。というわけで、いそいそと二日連続で金沢歌劇座に赴いて免許証を受け取ってきた次第でございます。面目ないことでございました。 

そして、応対したいただいた事務の方が、なんと奇遇にも高校の同級生だったというオチ。落とし物だけに!(違うか)

【OEK】岩城宏之メモリアルコンサート - 邦楽器とオーケストラ/ヤング・カンタのサン=サーンス(2017/9/2@石川県立音楽堂コンサートホール)

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故・岩城宏之永久名誉音楽監督の功績を記念して、毎年この時期に開かれるコンサート。1曲めは、岩城さんの音大時代の同級生・三木稔氏の作曲による邦楽器とオーケストラの共演で「序の曲」。オケはほぼ伴奏と言った感じで、尺八・二十絃箏・太棹三味線がかなりイレギュラーで技巧的な演奏を組み合わせてきます。岩城さんが好みそうな意欲的なプログラムでした。もっとも、この曲の演奏後、井上さんがお客さんに対して楽器の説明をしつつ邦楽のススメみたいな話をしていましたが、今日のような特殊な演奏を聴いて邦楽器をやろうと思う人はあんまりいないんじゃないかと思います…。

このメモリアルコンサートでは、毎年、北陸ゆかりの音楽家に贈られる「岩城宏之音楽賞」の受賞者がOEKと共演することになっていますが、今年の受賞者はなし、とのこと。かわりに、ともに過去の受賞者であるOEKコンマスアビゲイル・ヤングさんと、首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんが独奏者としてOEKと共演。サン=サーンスの「ミューズと詩人」が演奏されました。穏やかで美しい旋律が奏でられ、最後は一気に盛り上がるサン=サーンスらしい楽曲でした。

後半はモーツァルトのジュピター。祝祭感があふれるおなじみの曲を井上さんは暗譜で指揮。冒頭はゆったり(じっくり)としたテンポではじまり、流麗な部分と歯切れよさ、力強さといったメリハリをつけ自在にオケを操ります。まさに十八番といった感じの本格的な演奏を堪能しました。

アンコールは、ヴィオラ隊が笛や太鼓に持ち替えての「おもちゃの交響曲」。なお、井上さんはこの曲の作曲はモーツァルトのお父さんと言っていましたが、近年はエトムント・アンゲラーというドイツの作曲家の作品であるというのが定説らしいです。

アンコールをもう1曲。モーツァルトのディヴェルティメントK.136 から第3楽章。サラッとスカッと快速快活な演奏で締め。かえすがえすも井上さんの退任は残念だなあ…

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オーケストラ・アンサンブル金沢 岩城宏之メモリアルコンサート
2017年9月2日(土)14:00開演
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮:井上道義

三木稔:序の曲
 三橋貴風(尺八)/野坂操壽(二十絃箏)/本條秀慈郎(太棹三味線)

サン=サーンス:ミューズと詩人 op.132
 アビゲイル・ヤング(ヴァイオリン)/ルドヴィート・カンタ(チェロ)

モーツァルト交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」

(アンコール)
■エンゲラー:おもちゃの交響曲 より 第1楽章
モーツァルト:ディヴェルティメント K.136 より 第3楽章